2人の悪だくみ
約1週間程休む頃になりました神無月です。
事情は色々とあるのですが…。その期間中は投稿ストップの可能性が高いです。他人事のように言ってしまいすみません。おそらく現時点で間に合えば(この回の投稿は5月なので、予約という事です)続けられますが、少し無理があるのでお休みします。
1週間少ししたら、戻ってきた事を活動報告に出しますので。
それでは今回のも、お暇がありましたら。
■注意■
今回はいつもより若干長くなっています。また、誤字のチェックができていないのでお気付きになりましたら、ご連絡下さいますよう、お願い申し上げます!
まずは、と未希は京介にKRASHの正体を明かす決定的証拠を見せるためにも、渚にある事を申し出た。
1年C組の教室にて・・・
「どうも、渚さん?」
背後から未希に話しかけられただけで、渚はびくついた。そのうえ未希は、渚が1人でいるときを狙っていたので、なおさらだった。
「また、あの話?それなら、参加しないからね。」
「まあ聞いてくれてもいいじゃん。私何も言ってないし。」
「未希が言いたいことはわかってるから。目的もね。くだらない。」
渚は目をそらして、呆れた。一方で、未希もなんとしても頼みを聞いてもらおうと話をつづけた。
「確かにくだらないよ?でも、渚だって思ったことがないわけないよね?」
「何が?」
渚がふっと未希に目を向けると、未希はにやりとして言った。
「ほら。例えばKRASHの中に自分が入れないとかね。あの先輩のせいで自分にはあまり曲も来ないで・・・そういう事はあるでしょ?」
「・・・!」
一瞬渚は、ドキッとした。じわじわと汗が出る。・・・それは本当の事実だったのだ。
前にもあった通り、渚はKRASHに入りたい希望もあったのだが、yamakoはソロデビューさせ、先輩のKRASHはどんどん売れていき、しまいには渚の曲はあまり出なくなり・・・。未希も渚も、彼らKRASHと同じ年齢になっても、たとえ歌が上手くなっても、決して上にはならなっかった。
「それは、やまさんがソロのほうが成功するって言ってたから・・・」
弱気になりつつも、信じ続けたその言葉を言う・・・しかし未希はさらなる事実を渚に伝えた。
「それはね、やまさんって言うの?が、KRASHびいきだからよ。やまさんはあいつらと同じ学校卒業とかいろいろあるからね。そりゃあ、私らも同じ学校だったけど。ひいきしてんの。」
「だから!やまさんはそんなひとじゃないって!」
渚は未希を振り払うが、どんどん未希が吹きかける。
「じゃあ、私たちが実力でソロやってるのに曲がもらえないとか、KRASH優先以外どうやって説明するの?」
「…」
渚が黙り込み、もう何も返さなかった。それどころか、もうすっかり信じ込んで動揺してしまっていた。
「ち…違うって!」
「違くないよ。これが現実。KRASHはひいきの中でトップにきたって。」
未希の頭の中では、渚がここで立ち止まっているのもシナリオに含まれていた。そして、次の段階へ進む事も。
「で、同じ立場の渚に頼みがあるの。」
「頼み?」
「そう。」
未希はわざと悩んでいるフリ。
「KRASHの情報を私によこして欲しいっていうかー。」
「情報?」
渚には理解不能な話、それもそうだ。
「何か知ってるでしょ?」
「いや、まあ…。コンサートの事くらいしか。」
「全然いいじゃん!とにかく、KRASHがあの5人だと分かる証拠探しをしてんの。よければ探しといて。」
未希は嬉しい仕草をし、渚にそう言った。一方で渚は状況が掴めていなかったが、承知はした。
(なんで私がこんな事に…KRASHだと分かる証拠??)
それから渚は、未希に様々な情報や噂を教えた。同じクラス同士であるから余計に話し易い。そして渚なら彼らのそばに居てもおかしくないのをいいことに、その時見た事やKRASHの行動なんかをくまなくチェックしていた。
最も有力な情報だったのが、KRASHとして活動している芸能人生徒として、芸能部に居るという事だ。それがなぜ、有力になるのか。彼らが一般生徒ではないのが簡単に明かせるからだ。
2つ目は、KRASHの5人の本名を明かす事。彼らyamakoの事務所のアイドルは、名前をアルファベットの大文字で表記するのが多い。ファンの中のファン以外、本名は決して明かされることはないのだ。それが一致すれば、あとはバラすだけだ。
「そんなの、どうするの?未希も知ってる情報しか集まらないけど。」
「いいのいいの。これを私の彼氏に話せば、きっと広まってくね。」
「…やめた方がいいとは言っておくよ。」
渚がぼそぼそと未希に言っても、彼女の耳には届かない。それどころか共犯者になるのを恐れる渚に対して
「いいじゃん~今更になって裏切る系?」
「裏切る…んじゃなくて。そんな事したって…。」
小声で渚が拒否するも、未希は聞こえてない(あるいは素振り)をして見せた。
「そもそも未希、赤城君を遣うの?人をそんな風に扱うなんて信じられない。」
「あの人別に彼氏じゃないし。」
もうこれは止めようもない。自分らの先輩を遣ってまでKRASHを困らせようとする未希の気が気でならない。
(頭がおかしいんじゃないの…)
一言もそんなのを口にできない渚は、大人しく従うほかはなかった。
「じゃあ、その2つは実行で。」
未希はいかにも軽そうに言うと、さっさとC組の教室を出ていった。足早に未希が向かった先は、2年A組の教室…京介のいるクラスだ。
「あっ、ちょっ、ちょっと待ってよ!」
渚が止める間もなかった。
KRASHに対しての企みをする2人の様子を、偶々C組の教室前を通りかかった人物がいたー‥。
「えっ?何だろう。あの子達って、確か1人は生徒会の人達の知り合いじゃなかったかな。」
はじめは、何しているんだろうなっていう美図の好奇心で話しかけようとしただけ。通りすがりに渚がC組教室前で屯していたから、挨拶しようとした時。
「KRASHの秘密!?え!?無理だよ、やらない方がいいって!」
(…もう1人は知らない子だな。だけど何の話をしているんだろう?)
近寄ろうとする足が立ち止まる。美図が知らない子と示す未希は、渚に[KRASH]という言葉の入った会話をしているのが気になったのだ。
(KRASH?まさかこの子も、同事務所の人なのかな?)
美図は逆に、気づかれないようにこっそり教室から離れ、2人の会話を聞いていた。
状況を掴むのが上手い美図は、すぐにその内容が分かってしまったし、もう1人は完全に悪い奴というのも分かった。
「だから!これは…KRASHを困らせてやるのよ!!」
(こ、困らせるって!!何それ、あの子は何をしようとしているんだ!?)
緊急事態だ、とも思いその一方では「またこんなくだらない事件を聞いてしまうとは」とも思った美図は、「KRASHの正体を唯一知る一般人」として、今後彼女らの動きを見張るべき、と考えた。
教室を一旦後にして、美図は騒動にならないよう、この話は本人らに伝えない事にして、自分の教室に帰った。
(こりゃあ、凄いまずい事訊いたってかんじ、かな!)
そんな間も、未希の策略は進んでゆくのだった。
■作者反省■
KRASHは今回全く出てきませんでしたね。触りもしなかった気がしましたがw
「元の題名忘れているんじゃないか…この作者」と思われがちですが、いいえそうではありません、偶々ですとそれだけ皆様にご理解して頂きたいです。
次回も登場が怪しいのですが、「KRASH!」前代未聞の事件にならないよう、KRASHが登場しないという事故を起こさないよう気をつけます。
■次回■
次はとうとう動き出す!1年生にして下剋上を目論む未希と、それについてゆく渚、計画を知り何としても事態を悪化させたくない美図、何も裏を知らずに操られる京介、本当に何も知らないKRASH…。果たして、KRASHの正体は校内に知らされてしまうのか!?




