表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
KRASH!  作者: 神無月楓
スプリングの超多忙生活
3/88

暴走するヤツの蘇る前兆!?

伝説的(?)売上記録を持つ、KRASH始まって以来のヒットソング、それが、


「ページ」という曲だった。

この曲はアイドル“KRASH”の事務所に専属で作詞家をしている「ある人」が作ったらしい。

何故かあの明莉が「あの人」について一番詳しく知っているのだが、これまで様々な曲をくれたのは、社長よりも「あの人」の方が多いんだとか。

明莉は得意げになって4人に説明し始めた。

「社長はどちらかというとー、作曲やら編曲だよね。」

「んな事知ってるし。」


ぷつりと明莉の会話を考輝が切ることなどいつものことだ。それでもさほど彼女に影響はなかった。


「うーんと、えっと…なかなか話が纏まらないんだけどー。」

桜がせっせとメモをとった紙を見つめながら、半分苛立っていた。メモにはただ一言「曲はページ」と一見意味不明な言葉のみ記していた。誰もが認める完璧主義者の杏野桜からすると、自分らの所属事務所の社長に向かって、こんな適当なメモを提出するなんてあり得ないことだった。もし完璧主義な桜の事をメンバーも理解してさえいれば、今頃チームワークのチの字もないグループになってはいなかった筈だ。

「へーい」不謹慎なことしか発言をしない考輝が手を挙げた。

「じゃあ俺ら3人でー、ステージ中心でコスプレしようっていうのは。」

世間一般で言うバカなことを、真剣な表情で提案してくる考輝に、桜はつい吹いた。(そもそも桜はコスプレを知らなかった)

「何それ、折角のステージを壊す気なワケ?」

桜が雷を落とす一歩前に明莉がわざと聞くと、隼人がニシャリとして考輝の方をちらりと見た。

「何言ってんの、ステージの上で銃を乱射するパフォーマンスに決まっ」

「やめなさい?」

やはり聞くもんじゃなかったと、明莉はかなり後悔した。こんなガキでも、かれこれ14歳で同い年だ。恥ずかしいといったらない。

更に追い討ち(?)をかけるように考輝もおふざけのスイッチが入った。

「んじゃあ、それが駄目なら涼に腹踊りやってもらうし。な?」

メガネごしにクククと笑う彼の目の先-…それは話し合いに参加するのを面倒くさがる涼太のことだった。

「はあ?何でオレそんなな事やらなきゃなんねえの?!」

「フフフフフムフ…!」

「考輝やめてそれ。怖いよ。」

一気に2人だけの空間が出来たような気がした。残る桜たち3人は全く話についていかないまま、そっと空気的に遠くへ行って2人のやりとりを見ていた。

とくに桜に関しては、恐ろしくにこやかにして見つめていた。考輝が先に察したからまだ良かったものの、相当な時以外にこんな殺意を感じるオーラは出ない。多分。

「フフフフフ。あのねぇ~。考輝くんに涼太くん。分かってるかなあ?」

腕を組んでそう言う桜に、2人はただただプルプルしてるしかなかった。

「ね、姉さんさっきも言ったでしょ、怖いからその笑い方やめてって。」

アハハ、と涼太はごまかしてみせた。そして考輝は、「うん、その通りだ!何をやっているのかな涼!」と完全に涼太に罪をなすりつけている。

「あんたらねえ…!真剣に考えなさい!?話逸らしてんの分かる!?」

桜姉さんが暴力に出る前に、明莉は2人に警告をした。

「すみません。以後、気をつけますよ。」

全く反省をせず、2人共クスクス笑いをこらえながら桜に簡単な謝罪をした。

「たっく、時間無いからね?分かってる?分かって言ったんでしょうね?」

「まーいいじゃんいいじゃん。続けようぜ。」

状況を把握していないマイペースな隼人が、見事にこの強烈な空気を黙らせた。一応、沢渡隼人はこんなグダグダな有名アイドルKRASHのリーダーなのだが。


「あ、そうだ!」

明莉はしんと静まったところで意見を出した。ようやくきたかとメンバーの皆も少々期待していたようだ。

「また、あんたたち男子に関する事なんだけど。」

「え、嫌だなあー。」と即答される前に、明莉はつづけた。

「だーかーらー、“BBB”のカッコイいダンスと、爆笑ミニMCってどうかなー。」

「んだそれ。」

考輝が興味をなくすように聞き返すと、明莉はそのまま詳しく説明をした。

「“BBB”には曲もあるし、BBBのコンサートではダンスとMCやってるんでしょ?あんた達BBBの団扇持って来るファンいるんだから、特別にやったらいいんじゃないかって。」

「あーなるほど。」

ここでは発言権の無いリーダー隼人が賛成した。残り2人は不安な表情をして困っていた。

「だって、BBBのファンは多いだろうけど、あれは3人だけでやってると必ず暴走しまくるからって社長に止められてるし。」「そうそう、オレらやりたいことは山々なんだよな。」

そもそもBBB(トリプルビー)とは、現実他のアイドルがやってるようないわゆる「派生ユニット」と呼ばれるグループのことであり、「KRASHの中の派生ユニット」のことを指す。BBBはそのユニット名だ。

KRASHのメンバーにいる3人の男子HAYATO、RYOUTA、KOUKIが組んでいる。これはKRASH結成後に事務所社長のノリでつくられただけで、結成当時は売れることも考えてはいなかった。それに3人だけなんて、何をし出すのかは予測不能(腹踊りという考え方からして)。だから社長もふざけながら後悔はしていた。BBBはコンサート出場になるのだろうか…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ