天国(への道)は地獄 2
こんなグダグダやってられないよオチがないじゃないか、そう思った人はUターンしましょう。
どうも神無月です。
「ヘロヘロだよ~参ったなー。」
その後直ぐに帰ってお風呂…にならなかったので、明莉はぶつぶつしていた。
「そりゃ俺達だってそうだぜ?トレーニングなんか…。」
考輝もぶつぶつ文句をならべながら、並列して小走りした。
そんな人の前方には、さっきから一言も喋らず真面目な顔でひたすら走る桜の背中。
「桜ー、今何周目?」
真っ暗という程でもないが、桜の姿すら見えなくなった。
そして隼人も前には居ない。建物の角を曲がっても、同時スタートのハズなのに居ない。けれど怪奇現象でも何でもない。隼人の走るペースが速すぎるだけ。
「おわっ、速えなあ隼人。疲れてんじゃねぇのかよ。」
考輝たちが走る横を、隼人が余裕な顔して(しかも倍の速さで)追い越していく。
「あ、あれウソだもん!」
「腹立つわ~。」
順位からいって1位は余裕で先着した隼人。2位は無言で我慢する桜。3位は今の段階で1度も触れられていない涼太。4位タイで考輝と明莉が涼太のすぐ後ろ。
「おーい涼太ー。」
「んだよー。」
前方を走る涼太を確認すると、考輝も考輝の脳もウシシと笑いながら声をかけた。
「なーなー、しりとりやんねえ?」
「え、ケツとり?」
「しりとり。」「りんご。」「ゴリラw」「ラッパ」「パ●ツ」「釣り」「りす」「スカンク」「熊」「マサキー」「誰だよマサキってー。」
そうやってふざけながら、考輝はごまかして笑顔で追い越した。…わざと涼太の顔を見て。
「あっ、…!!」
「へっへっへ残念でーしたーッ。」
そうしてようやく5人ともが5周し終え、やっとの事で帰る事ができたのだった。
現在、7時40分。電車での事を含め8時。これじゃ天国への道なんかただの地獄ではないか。
そして、翌日。
祝日の為に学校が休みという絶好のチャンス!という時。午前中から5人もコンサート練習、そしてランニングも今日は10周。実は学校の寮を出た時も、「まだやらされるよな…まだ絶対あるんだよな…」という思いでいっぱいだった。
「今からトレーニング始めるわよ!」
あわてて荷物を下ろして、その場で先生が見ている前で床に仰向けにさせられた。
「はい、腹筋よ、100回頑張って。」
「ちょっと…え?!」いきなりそんな事になり、取り合えず腹筋を始めた。
「100回ってキツいよ…!オレ1回だって分からねぇし!」涼太が言いながら続けていたので、明莉が「出来てるじゃん」。
「うわー腹痛くなるわこれ。」
「でも、天国の為だ!」
「おお、こんな所で。1日中やってるの?頑張るねえ~。」
仰向けになっている5人を、上から見下ろすようにyamakoが言った。
「あっ、やまさん!!何しとんのや!」
「いやー、覚えた?振り付け。」
yamakoが聞くと、つらそうにしながら代表して隼人が答えた。
「…覚えました…頑張って…あと、2曲くらいです…。」
「ほうほう、もう日にち無いからね。頑張ってよ?」
今日はそれだけを言い残して去っていった。
「…あと30回くらい…!!」
「頑張ろうぜ!」
何だかんだ言ってトレーニングをしている5人が、お互いに励まし合う声がyamakoの耳にも届いていた。
(あれは冗談だったんだけど…。あそこまでいくともう止められないわね。努力が無駄になってしまう。)
そう思いながら見ていたのだった。
「さ、100回出来た?」しばらくして先生が再び登場。またCDを何枚か持って5人の頭上に現れた。
「やっとのことですよ…。」
「じゃ次ね。」まるで聞いてないようにさっさと次へ移った。
「次は実際にステージで踊る時の動きね。まずココがオープニングの入位置とすると、5人はここからイントロの部分で…」
言われた通りに、あやふやでもそれぞれが動いて指示を確認した。
「あれ、俺こんがらがってきた。」
そして次に、少し広い部屋に移動しての歌&ダンスが午後からあった。昼に着替えを済ませ衣裳を着た。KRASHもそれぞれ色が決まっていて、隼人は赤、桜は桃、考輝は緑、涼太は青、明莉は黄というように。だからそれに合わせて、リボンとネクタイの色や、模様の違いも細かく作られている。
「午前中に5曲全部覚えてよかった~!」
明莉が喜ぶと、桜も頷いた。
「さあ!天国の為に頑張るぞ~!!」
「「オーッ!!」」
yamakoも見ていて、「何やってんだ…」という見てられないという顔。水無月先生は事情も知らず、「?」という顔。そして5人は、遊びたい気持ちで浮かれ顔。
「いいかいKRASH、天国の為と言えど練習はおろそかにしない事ヨ?」
「ハーイ。」
幼い返事がyamakoに返ってきた。
その3で終われ。作者は早く天国のシーンを書きたいんだ!!




