天国(への道)は地獄 1
特訓の部分1話じゃ終われませんでした神無月です。
「1、2、3、4…」
カウントを刻まれながら、速いステップに必死でついていく5人。
そうそう。ダンスの最初の位置は、センターにHAYATO、観客から見て左にAKARI、右にKOUKI。AKARIの後ろにSAKURA、KOUKIの後ろにRYOUTA。入れ替わるのは2番か間奏その辺り。2:3の時や、前から1、2、2人で並ぶのではなく後ろ3人前2人、前後入れ替わりという部分もあった。
水無月先生は説明を加えて、手を叩きながらリズムを作った。
「1、2、3、4…ここでHAYATO1人が前に出て来るんだけど、そのタイミングがAKARIとRYOUTAが抜けた時で…」
隼人の目はキラキラして、早く天国へ行きたいよという思いで溢れ、それ以上の事を考えてはいないようだった。
夕方5時頃。
「もう1曲終わってしまったじゃない。早いわ、早すぎるわ~尋常じゃないくらい。」
「「勿論です」」
汗を流し、5人は答えた。先生があの花見の事を知らなくて良かった。
「じゃあ2曲目…。」
先生はCDを入れ替えながら、休憩をとる明莉にウィンクした。明莉もそれを受サ止めた。何故ならそれは、明莉本人が作詞し、先生と共同で振り付けを考えた曲だったからだ。それに覚える曲目リストを見ても、残り4曲全てが明莉作詞の曲だった。
(やった…)
メンバーに作詞の事を黙っているのは残念だ。
「じゃあ次のやるよー」
先生に声をかけられ、男子は「テンゴク!」と呟きながら駆け足で集まった。
「…なんかいつもより張りきってるわね~。いいことだけど」
「て、天国の為ですから!」
「天国?」
先生は首を傾げ、ふーん、と思いながら続けた。
約1時間毎に1曲を覚えていくという圧倒的速さで、気付くと7時。
「も…ダメ…。」
「グタグターお腹減ったー。」
桜と明莉がぐったり床に座りこみ、あの運動神経抜群の隼人だって仰向けになって手足投げ出し。考輝はぜーぜーして、涼太は気絶しそうになって白目むき出しになりかけた。
「だ、大丈夫~?去年は連続全国ツアーでも全然体力あったじゃない~。」
「う…うへっ…ゲホッゲホッ…。ハアハア…。」
先生の問いに、答えていたらもたない。それくらいの息切れ。
先生はビックリして言った。
「ダーメじゃないそんなの~。分かった、体力つけるために今日から走りましょうか。この建物の外周5周してから帰りなさい。いいわね?」
「えーー!!!!」
とんでもないメニューが加わったようだ。曲は1日でもかなり覚えたのに、代わりにハードな特訓が入ってしまった。
5人共、大•ブーイング。
「て、天国から遠ざかったー!?」
なんすかコレは。




