第27話 エルルバード
午前中にササッと、今日分のバイトを済ませる。
午後になり、食事を取った後に装置を被り、ゲームを起動する。
「エルルバード行くか」
昨日考えていた通りに、今日はボス周回の予定。
エルルバードの居るアルレス山頂上へ向かう。
道中は出来るだけエンカウントを避けて、弾丸を温存する。
軽鉱石の採取は忘れずに行う。
……2体目のボスだから、体力は少なそうだけど当てれるかが分からないからなぁ。
まだ戦闘スタイルも姿も知らない。
今日が初戦闘。
頂上に着いて、インベントリを確認する。
弾丸問題無し、回復アイテムも前に買った分が余っていて余裕あり。
「準備バッチリ」
ボスエリアに入る。
すると、岩の奥から黒い影が素早く飛び出してきた。
大きな影が地面に差す。
見上げると、全長2mはある鳥が翼を広げこちらを見下ろしていた。
「こいつがエルルバードか」
銃を構えて、照準を合わせて単発で発砲する。
かっこいい登場シーンだが、関係無い。
寧ろ、今が絶好のチャンス。
しかし、エルルバードは発砲と同タイミングで、地面に着地した。
弾丸は外れてしまった。
「降りてきたか。外れたな」
銃を構えながら、少し横に移動して距離を取る。
エルルバードは翼を動かして、風を起こす。
突風で砂や小石が宙を舞う。
「うおっ……」
服を小石が掠め、砂が視界を悪くする。
リアリティの高い突風で、危うく吹き飛ばされそうになった。
足に力を入れて堪える。
砂が目に入り思わず、目を閉じて顔を守るように手を出す。
……本物の風みたいだな。突風は厄介だ。
照準を合わせようと、目を開けると風や砂が当たる。
痛みもダメージも無いが、反射的に目を閉じてしまう。
まともに目を開けない。
視界が遮られてしまっては、まともに当てられない。
……どうするか。……そうだ! 確か近くに。
指の隙間から周囲を見渡す。
ボスエリアに入る前に確認した、エリアに配置されていた複数の岩を探す。
風を遮れる岩なら、この突風ギミックの対処法に使える。
……あそこか。
岩を見つけて、真っ直ぐ向かう。
風で横にジリジリと押されるが、堪えて走る。
「あと少し」
滑り込み岩に背を向けてしゃがむ。
考えていた通り、突風を岩が遮っている。
ここが安置のようだ。
「セーフ、これは時間かはたまた別の条件があるのか? ……あっ、横から攻撃すればいいのか」
突風は、エルルバードの前方に起きている。
つまり、横や背後はその影響を受けない。
岩を伝って、横に移動する。
……撃つなら3点バーストだな。行けそうなら次からフルオートにする。
銃の機能を単発から、3点バーストに切り替える。
恐らくは、一撃当てると別の行動に移ると考えられる。
なら単発よりも3点バーストで、3発叩き込んだ方が良い。
エルルバードは、前方に突風を起こしていて、こちらに気づいていない。
気付かれないように音を立てず、岩陰から少しだけ顔と銃を出す。
「この距離ならブレても当たるな」
目算だが、この岩とエルルバードの距離は遠くない。
当てられると踏む。
引き金を引き、発砲する。
3発の弾丸が連続で出て、3発とも命中し体力を削る。
3発なだけあって、結構ガッツリと削れた。
……これなら必要弾丸が少なくて良いな。次の行動はなんだ?
岩に隠れつつ、次の動きを確認する。
エルルバードは声を上げた後、空を飛び一度旋回を行った。
そして、俺目掛けて爪を立てて急降下をしてきた。
銃を構える時間が無い。
大きく前に転がって躱す。
しかし、胴体に攻撃が掠って体力が削れる。
防御値は初期防具分しか無いせいで、掠るだけでもそこそこ体力を持っていかれた。
……直撃だったら死んでたか?
ショートカットから取り出して、回復薬を飲み体力を回復する。
エルルバードは再び空を飛び、旋回を行う。




