第25話 仕立て屋
まだ通っていない道を通っていく。
そうして、少し歩くとローロ仕立て屋と書かれた看板が、立っている店に着いた。
大きなガラスが張られていて、外からでも中が見える。
様々な衣装や色鮮やかな布が飾られている。
……ここに仕立て屋用の素材が売ってるのかな。色々あるな。
「到着!」
「衣装に使う素材を売ってるのか」
「そうだよ。見た目を変える為のアイテムも売ってる」
ヒョウは扉を開けて、中に入っていく。
続いて、俺も店の中に入る。
中には、店員や客らしきプレイヤーが居て、真剣に話し合っているのが見えた。
「どんな見た目が良い?」
「特には、自由で良いよ」
「自由で良いんだね。なら試したかった見た目をやろうかな」
「そうか」
「あっ、防具を少し借りたいんだけど」
「あぁ、そうか分かった」
装備欄を開いて、防具を外す。
他に防具を持っていないので、ゲームで良くある下着状態になる。
そして、ヒョウに防具を渡す。
ヒョウは、一度こちらを見た後、直ぐに視線を逸らす。
「ちょっ……他に防具は?」
「買ってないから、持ってない」
ずっと初期防具の状態だった。
購入もしてないし、防具類はドロップもしていない。
当然、他の防具など持ち合わせていないのだ。
「なら、これ貸すから装備しといて」
ヒョウから服を渡された。
布の服と布のズボン、何かの職業の初期防具だろう。
MMOでは、この状態で走り回るプレイヤーもよく居るから気にする事でも無いと思うが、渡されたのだから着る。
……VRゲームだと、普通では無いのか?
ヒョウの反応的に、珍しいのかも知れない。
「装備したぞ」
「念の為にその服は上げるよ。5分くらい店の中でも見て回って待ってて」
ヒョウはそう言い残して、防具を抱えて店の奥に消えていく。
「分かった」
店の中にある椅子に座って、待機する。
暇なので、周りを見渡して衣装を見ていく。
様々な衣装が並んでいる。
ファンタジーな衣装から現実世界にもありそうな衣装まで、幅広く飾られている。
「ファンタジー系のこのゲームで現実に近い服装か。珍しいな。プレイヤーが作成してるのか?」
現実の服装に近い物は、ゴリゴリのファンタジー系だと多くない印象がある。
仕立て屋は服装の見た目を変更出来る。
つまり、プレイヤーが思う服装を作れるという事で、現実世界にありそうな服と言うのもプレイヤー次第では作成が可能。
……スーツに、名前を忘れたが前に流行っていた服もあるな。それにあれは水着か? このゲームに海あるのか?
「何か気に入った服でもありましたか?」
店員に声を掛けられた。
突然の事でビクッと身を震わせる。
「あぁ、いや、色んな服があるんだなぁと思って、これらはこの店で販売を?」
「えぇ、販売しております。仕立て職人達が制作した物です」
「なるほど」
……プレイヤーが制作した奴って事か。仕立て屋で売るのか。値段どのくらいだろ。
試しに1つの服の値段を見てみる。
そこには230万ゴールドと書いてあった。
……高っ!? あっ、これ性能良い奴だ。
値段に驚きつつ、装備のステータスを見ていく。
装備レベルが高く、性能も高い装備だった。
性能も高いとなれば、値が張るのも自然。
初心者が手の届く物では無い。
静かに閉じる。
「何か買いますか?」
「今は手持ちが無くて」
今回は買うつもりで来てないから、本当に金の用意が無い。
店員は、視線を少し動かす。
ウィンドウを開いて、見せてくる。
そこには、大量の衣装が並んでいた。
「この辺の衣装類であれば、安くなっていますよ。防具の別枠で装備出来ます」
「見た目防具か。こう言う機能もあるか。確かに安いな」
値段を見てみると、手が届きそうな値段で並んでいる。
安いからと言って、見た目が悪い訳では無い。
防具の性能が無いから、値段が下がっているのだろう。
店員は、静かに去っていった。
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