第23話 採取中の奇襲
見た目を確認する。
やはり、少女のように見えるアバターだ。
遠目から見て間違えただけなら兎も角、近くで見てもそう見える。
……キャラメイクが結構幅広かったし、こう言う事も可能か。
キャラメイク時に見たあの大量の選択画面を、思い出して納得する。
中性的と言うべきか、それに近寄せる事くらいは容易いだろう。
ゲームで現実の見た目そのままや、現実に近付ける必要は無い。
俺のような例外的な事情がある以外だと、キャラメイクで遊ぶ方が自然だ。
この世の中には、やばいキャラメイクをする変人だって居る。
彼くらいのアバターなら、遊ぶ範囲としても自然だ。
「そう言えば、護衛のクエストは進行しなくていいのか?」
「……あっ! 忘れてた」
彼はハッ、と商人の方へ向かう。
商人や馬車は、無傷で会話中に整えて待機していたようだ。
商人と少し話した後、ヒョウは馬車に乗った。
「しばらくはローロ付近に居るから、見た目変えたくなったり、武器作ったらメッセージ飛ばしてね〜」
ヒョウは、手を大きく振る。
商人も軽くこちらへ会釈をして、馬車を走らせる。
ローロ街の方へ向かっていった。
クエストを再開したようだ。
「分かった。気をつけてな」
商人とヒョウを見送り、軽鉱石の採取に戻る。
軽鉱石を採取しながら、この山の頂上を目指す。
ボス討伐周回の前に、楽なルートを知っておきたい。
弾切れを起こしたら、街に戻らないとならないから、ルートを知っておくのは重要。
このマップは、複数の道が存在している。
行き止まりや頂上では無い場所に、通じてる道もある。
何処がどう繋がってるかは、見た目では分からない。
メニューからマップを開く。
頂上の場所が、しっかりと書いてある。
現在は、頂上に繋がってる道に居ると分かった。
偶然、正解ルートを歩いていたようだ。
「この先曲がって……こっちだよな?」
マップを見ながら進むが、簡易図のせいで実際の道と微妙に違う感じがあって分かりづらい。
細かい部分は省かれているような感じだ。
この山は、入り組んでいる。
油断すると、道を間違えて行き止まりに着く。
……ここ行き止まりか。あっ、鉱石ある。
軽鉱石を採取する為に、ツルハシを振るう。
上から鳥の声が聞こえて、バッと振り返る。
ローロバードが急降下してきていた。
「あっ、ヤバっ」
今、ツルハシを手に握っている。
そして、銃は手元に無い。
ツルハシを仕舞って、取り出すにも時間がかかる。
それでは間に合わない。
……迎撃は無理か、なら回避一択。
防具は初期装備で、更に耐久系のステータスも上げてない。
アクセで多少補正が入ってるとはいえ、ダメージは痛いだろう。
タイミングを測って、横に大きく飛んで攻撃を躱す。
「喰らえ!」
素早く体勢を直して、ツルハシで一撃を叩き込む。
ローロバードのHPが少し削れた。
ツルハシは採取用装備であって、武器では無いから攻撃補正が乗らない。
なんなら、素手の方が強そうである。
ローロバードは、その場で羽ばたいて、足の爪で引っ掻いてくる。
後ろに飛んで避ける。
……敏捷上げてるから、避けられるな。
このくらいの攻撃なら、見えるし動ける。
ツルハシを仕舞って、銃を取り出す。
ローロバードは、近付いてくる。
真っ直ぐ飛んできた為、構えて頭目掛けて放つ。
しかし、弾は頭には当たらず胴体を削った。
光の粒子となって消えた。
「頭を狙ったんだけどな。焦り過ぎてズレたか」
今までより早いモンスターで、接近されていたから狙いがブレた可能性は高い。
ここは感覚に慣れないと厳しいだろう。
……まぁ、一撃で倒せるなら問題無いか。
ローロバードも一撃で倒せた。
ボス以外一撃となると、かなりオーバー火力な気がする。
「これのお陰かな」
イヤリングに触れる。
銃の性能もあるが、恐らく森主スライムのイヤリング2個が大きいのだろう。
初期装備限定で攻撃に30%補正×2。
今使っているP90モチーフの改造銃でも、効果が適用されている為、序盤にしては破格の攻撃力となっている。
このイヤリングは、長く使いそうだ。
「採取中でも襲われるのかぁ。採取中も油断ならないな」
今回は声が聞こえたから反応出来たが、毎回そうとは限らない。
突然、奇襲されて攻撃を受けると、だいぶ体力が削れるだろう。
死ぬと街に戻されるから勘弁。
軽鉱石の採取をしながら、頂上へ向かっていく。




