第20話 ツルハシ
湖の付近では、ローロラットでは無い別のモンスターが現れた。
銃を構えて、単発一撃で仕留める。
経験値を得てレベルが上がった。
直ぐにポイントを攻撃と敏捷に振り分ける。
……レベルは11か。結構狩ったのにレベル上がってないな。
森主スライムやローロラットを結構倒したから、普通ならもっとレベルが上がりそうな物。
このゲームは、必要経験値が多いのか経験値が渋いのか、レベル上げが難しいのかも知れない。
「まぁ周回しまくる身としては、レベル上がり過ぎてヌルゲーになるよりは良いか」
接敵したモンスターのみを倒して進み、アルレス山の麓に着いた。
ゴツゴツとした岩肌が剥き出しの山だ。
所々に鋭利な岩が突き出ているのが見える。
現実では怖過ぎて登りたくない山だ。
「おっ、鳥型のモンスターだ」
麓から見える所で、飛んでいるモンスターが居た。
直ぐにレベルを確認する。
ローロバード、レベル11と書いてあった。
……おぉ、まじか。さっきの奴レベル8だったんだが……一気に上がったな。
モンスターの平均レベルが違うようだ。
11が最大レベルなのか、それとも1番弱いレベルなのかは分からないが、警戒するに越した事はない。
レベルは負けていないが、勝ってもいないから普通に複数体で来られると負ける可能性がある。
何時でも撃てるように準備をしておく。
「上空から突っ込んでくるのかな。定期的に上を気にしないとならないのダルいな」
今までのモンスターは、陸のモンスターで空を気にする必要は無かった。
精々、森主スライムが飛び跳ね攻撃くらい。
だが、ここでは恐らく上空から襲ってくる。
陸のモンスターが居ないとも限らないから下も警戒しつつ、進む事になる。
山に入った後、周りを見渡しながら進む。
警戒と同時にお目当ての物、軽鉱石が無いかを見ている。
話によれば色の違う壁、露出している塊があるらしいから多分一目見たら分かるのだろう。
微々たる色の変化なんて、意地悪な事は流石にしてこない筈。
「もしかして、これか?」
地面から塊が突き出していた。
岩肌と色合いが違う。
色が軽鉱石に近い気がする。
今はインベントリに無いから、色の見比べは出来ない。
……掘ってみれば分かるか。
インベントリからツルハシを取り出す。
手元に現れる。
ズン、と手に重さが加わる。
「うおっ、重っ!」
重さに驚き、思わず手を離してしまう。
ツルハシは地面に落ち、先が地面に突き刺さる。
軽くは無いと思っていたが、思っていたより重かった。
購入時は持たずにインベントリに仕舞っていたから、気付かなかった。
……え、これ振るの?
今からこのツルハシを使って鉱石を砕く。
つまり、これを持って振り被り叩きつける必要がある。
VRゲームの為、重さは感じても疲れる機能は無い。
とは言え、少し困った。
「疲れないとは言えど、これを何度も振れるのか?」
重いと言う事以外にも問題があり、ツルハシはそこそこ大きめのサイズだ。
この身体は小柄、重い+大きい物を振るうのは、難しい。
振り被って、後ろに倒れそうに感じる。
「ゲームだし軽くでも叩いた判定で行けるか?」
両手でしっかりと握って、持ち上げる。
そして、軽く塊目掛けて振るう。
カンッと言う小さな音が鳴ったが、砕けない。
……砕けない。
何度、振るっても砕けない。
砕けないどころか、傷が付いているようにも見えない。
これでは一向に砕ける気がしない。
「仕方無い。物は試しだ」
深呼吸をして、ツルハシを大きく振り被る。
そして、勢い良く鉱石の塊に叩き付けた。
カンッと音が響く。
先程よりも大きい音だ。
「どうだ!」
鉱石の塊を見る。
すると、塊の頭上にHPバーのような物が現れた。
5分の1が削れている。
塊に体力が設定されていて、このツルハシでは5回叩かないと砕けない仕様のようだ。
つまり、今の大振りをあと4回やらないとならない。
「これで何個手に入るんだ? 流石に1個じゃないよな?」
5回叩いて軽鉱石1個だけだと、だいぶ効率が悪い作業だ。
もう一度大きく振り被ると、後ろに体勢を崩して尻もちを付いてしまう。
「振り過ぎはダメだ。探るかぁ」
軽く叩く、下から持ち上げるように叩く、横から叩くなどと色んな叩き方を行う。
そうして、鉱石の体力が減るギリギリの楽なやり方を探る。
何度か試して、体勢を崩さない振り方を見つけ出した。
「なるほど、こうすれば良いのか」
両手で握り、横薙ぎを放つように大きく横に振り叩き付けた。
これなら体勢を崩さないで叩ける。
疲れないから何度も出来る。慣れれば早くもなる。
そして、5回目を叩き込み砕けた。
軽鉱石が転がっている。
「数は3個……まぁ1個じゃない分良いか」
塊1つで3発分と考えれば悪くは無い。
モンスターに警戒しながら軽鉱石の塊を見つけると、同じように叩いて砕いて集めていく。
暫く採取をしていると、先の方から誰かの声が聞こえた。




