第1話 初フルダイブとキャラメイク
「何度見ても慣れないなぁ」
俺はため息をつく。
鏡の中の少女も同じようにため息をついてる。
この姿を何度も鏡で見ている、なのに未だに慣れない。
自分だと認識が出来ないような感覚がある。
操作が自分でも、対象の身体が自分とは違う。
ゲームのアバターを操作して見ているようなイメージ。
ゲームならともかく、現実でこの感覚は気味が悪い。
「あっ、ダウンロードされてるゲーム確認しよ」
ふと思い出して机に置いた紙袋からVR装置を取り出す。
トコトコと姿見から離れてベッドの端に座る。
ダウンロードされているゲームを確認して好みではなかったら別のゲームを探す予定。
「うおっ、危なっ」
頭に装着すると自分の頭より大きく落ちそうになり慌てて両手で支える。
その上、重い。
「大きい。こういうのはこの辺に……あった」
サイズを微調整していく。
長時間プレイすることもあるだろうから、外れづらく頭が痛くならない程度で合わせる。
ケーブルを近くのコンセントに挿して、ベッドに寝転がり起動する。
ヘッドギアについてる透明な板に画面が映る。
……ダウンロード済みなのはこれか。クリスタルレギオン――あぁ半年くらい前に話題になってたゲームか。
SNSで話題になっていたゲーム。
フルダイブ機能をフルに使った自由度の高いゲームだと言われていた。
俺が知っているのはその程度でゲーム内容も知らない。
美空さんはゲームをやる人ではないから、おそらく人気なゲームで調べて見つけたのだろう。
……せっかくだからやってみるかな。フルダイブの感覚も知りたいから、一先ずチュートリアルだけでも。
クリスタルレギオンを選択してゲームを起動して目を閉じた。
次に目を開けると自分の部屋とは違う場所に立っていた。
「うおっ!? これがフルダイブか。聞いてた通りに凄いな」
驚きながら、キョロキョロと周りを見渡す。
今居る場所は特に何も無い白い部屋だ。
手足を動かす、現実ではベッドで横になっているはずなのに後ろにも足を動かせる。
手を動かすと思い通りに動く。
今、俺は現実の体ではなく、仮想現実のアバターを動かしている。
……現実と感覚に大きな差がないな。どうなってるんだこれ。
動きの確認をしていると目の前に空中に浮いているウィンドウが現れた。
内容を見ると
『チュートリアル〜世界観〜を始めますか。YES NO』
と書いてあった。
「世界観は知りたいな」
YESのボタンを押すと壮大な音楽が流れ始め周囲の景色が変わる。
そして、大きな大陸が現れ、森や海、ファンタジーな街などが次々と映し出されていく。
そして、様々なモンスターの姿も現れた。
狼や熊などの現実にいる生物がモチーフのモンスターから、スケルトンやドラゴンなどの仮想のモンスターまで居る。
「おぉ……」
思わず迫力に圧倒された。
VR技術の強みを全面に押し出している。
そして、場面が切り替わり空から水晶が降り注ぎ始めた。
……空から水晶!? どんな世界だよ。
それに合わせて『数百年前、突如として天から水晶が降り注ぎ……』と世界観のナレーションが始まる。
「本格的だなぁ。クリスタルレギオンのクリスタルってこの水晶の事か。各地に残ってるのか。何かのイベントに使われる設定かな」
数分の世界観説明が終わり、白い部屋に戻りキャラメイクが始まった。
目の前に大きいウィンドウが現れて様々な文字が並ぶ。
髪の色と書かれた部分を触ると切り替わり、髪の色合いを選択出来る画面に移り変わる。
他の場所も見ていく。
「ほぉ、最近のゲームはこんな凄いのか。色々あるなぁ」
一昔前のゲームよりも、キャラメイクの自由度が高いと分かる。
キャラメイクだけでも十分遊べそうに感じるレベルだ。
色んな髪色や体型に出来るようで、好きな見た目も探せばありそう。
……時間をかける人多そうだなぁ。
「……あった!」
俺は色んな文字が書かれている中で、ある設定を見つける。
それは現実の姿をスキャンしてゲーム内に投影する機能だった。
正確な体格の調整なんかはかなり面倒な為、やりたくない。
この機能があれば、その面倒なことをせずに軽く見た目を弄るだけで良い。
……髪色と目の色を変えればいいかな。白髪に変えて目の色は……緑にするかな。
髪色と目の色を弄り色合いの微調整した後、キャラメイクを完了した。
その後、職業選択の画面に移る。




