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弾丸の雨を降らせたい  作者: 代永 並木


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プロローグ


 気に入って頂けたらブクマ、星やハートを押して貰えると励みになります。

 現在、毎日20時頃に更新しています。

 俺、檜山(ひやま)伊織(いおり)は引きこもりだ。

 引きこもりになってから二ヶ月程度の新米引きこもり。

 一人暮らしで在宅(ざいたく)で出来るバイトをしながら、貯めていた貯金を切り(くず)して生活をしている。

 今は布団に包まり、ぼーっとしている。


 突如、ピロン、と背後から音が鳴り視線を音の主に向けた。

 そこにはスマホがあり画面が光っている。どうやらメールが来た通知のようだ。

 モゾモゾと動きスマホを手に取り確認すると、専門医からのメールだった。


「あぁ、今日診察(しんさつ)の日か。忘れてた」


 メールを見て思い出した。

 二ヶ月と少し前、訳があって身内が働いてる病院に行ったあと、定期的(ていきてき)経過観測(けいかかんそく)を行う事になっていた。

 今日はその経過観測の日だった。


 (ざつ)に選んだ背丈(せたけ)に合っていない服を着て外出用の身支度(みじたく)を済ませ、フードを深く被り家を出る。

 病院までは徒歩で向かう。徒歩だと20分程度の距離。

 時間には余裕があるため、ゆっくり歩く。

 車も人もそこそこの数を見かける。

 すぐにその理由に気づく。


 ……人が多いな。あぁ、今は昼か。この時間に歩くのは慣れないな。


 病院に着き受付で手続きを済ませて、椅子に座って順番を待つ。

 座った瞬間に疲れがドッと来た。足も痛い。

 椅子に体重をかける。


「相変わらず体力がないな。この程度歩いただけでとは……」


 少し前までは余裕な距離だったのに、息切れを起こしていた。

 ペットボトルに入った水を軽く飲み一息つく。


 名前を呼ばれて診察室に入る。

 白衣を身に(まと)った女性が椅子に座って資料を机に並べ待っていた。

 檜山美空(ひやまみそら)、俺の叔母(おば)に当たる人物。

 キリッとした着こなしをした凛々(りり)しい美人で、年齢は30代前半くらいだったはず。


「椅子に座って」


 促されて雑に椅子に座る。

 美空さんは、手馴(てな)れたように検査を行う。

 必要な器具を持ち素早く行われる。

 美空さんは検査が終わったあと、軽く頷く。


「異常はなし、身体に何かの変化はあった?」

「特に何も」

「身体には慣れてきた?」

「まぁ、私生活程度であれば」

「外には出てる?」

「コンビニやスーパーに行く時は、それ以外では出てない」

「感覚を慣らす方法として、1つ良い案があるのだけどやってみる?」

「良い案?」


 俺は首を傾げて聞く。


「VRフルダイブMMORPG」


 美空さんは、ヘッドギアのような見た目の頭に装着する装置を机の上に静かに置く。

 その装置には見覚えがあった。

 何年か前程度に話題になったフルダイブが出来ると言う装置だ。


「フルダイブ……ゲーム?」

「ゲーム好きだよね?」

「えぇ、まぁ人並みには……フルダイブは現実に近い感覚とは聞くしリハビリでも最近使われるとか……」


 最近、ニュースか何かで聞いたことがあった。

 現実で骨折をした人物がVRバーチャルリアリティフルダイブのゲームを行い骨折部位の感覚を忘れないための処置。

 まだ調査中の試みだが、確かに効果はありそうに感じる。

 俺の症状的に身体の感覚をゲームで慣らすと言うのは良い考えだと思う。

 変わってしまったこの身体を慣らす手段は必要だと自分自身でも考えてはいた。


「そう、君の病気は未知、だから希望的観測に任せるよりも今出来る事を試す必要がある。外に出る事が億劫(おっくう)でもゲーム内なら問題なく動けるはず、そこで必要な感覚を掴んで欲しい」

「確かに家の中だと激しい運動は難しい。ゲーム内なら自由に動ける」


 俺はアパートの一室(いっしつ)を借りて生活をしている。

 部屋で激しい運動をしては隣や下の階に住む人達の迷惑(めいわく)になってしまう。

 ゲームならその心配はない。


「一応、実験だからゲームの操作キャラはその身体に近づけて貰う予定だけど、大丈夫かな?」

「そこは問題ない」

「なら良かった。それじゃ定期的に経過報告はするように」

「分かった」

「話は終わり、もう帰っていいよ。これ持ってっていいから」


 美空さんは、そう言って紙袋に装置を丁寧に入れて手渡してくる。

 紙袋を受け取ると重さが一気に来て落としそうになった。

 装置そのままだったら落としていただろう。


 ……危なかったぁ。力も無いなぁ。


「ソフト一つだけダウンロードしてあるけど、他のゲームでもいいから」

「了解」


 のそのそと紙袋を抱えて家に帰った。

 何度か休憩しながら歩いた為、行きよりも時間がかかった。

 玄関で靴を脱いで部屋に向かい、近くの机にドンッと置いてベッドに寝転がる。


「生活に慣れないと社会復帰も難しいもんなぁ」


 一度立ち上がり姿見の前に立つ。

 1ヶ月半くらい前に美空さんから(ゆず)り受けた綺麗(きれい)姿見(すがたみ)

 全身が反射して鏡に映っている。


 だが姿見に檜山伊織本来の姿は映らない。

 映された姿は灰色の髪をたなびかせ、(あわ)い青色の目を持つ小柄な美少女。

 見た目だけではなく、肉体そのものが少女の姿をしている。

 医者である美空が未知と断じた症状、そして檜山伊織を突如(おそ)った病気。

 それは『性転換(せいてんかん)』である。

 個人的に難しいかもと思った漢字にルビを付けます。

 ゲーム用語についても説明を入れます。

 ルビや説明が無い物で分からないなどあれば教えてください(書き足します)

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