27 さらばプリンセス(3)(アルテミス星へ)
「それでは最後の手はあの魔法しかないわね。私は生徒たちを救うためなら何でもやるわ。私には魔法エネルギーがほとんど残っていないから、この学校の校庭の全ての植物からエネルギーをもらうの」
体力の回復していないプリンセスは学校の100種類に及ぶ植物の力を集めて円盤の弱点となる箇所に石を高速で衝突させるべく、全精力をかけた魔法を使う決心をしていた。が、これは命を落としかねない極めて危険な魔法であった。
「私は愛する生徒たちを救いたい。さあ、校庭の100種類の花と草木たちよ、生徒たちを守るために私に力を貸してちょうだい。あなたたちがずっと愛し見守ってきた生徒たちを守るために!」
「菩提樹、ユーカリ、楠、欅、桜、ニセアカシア、カイヅカイブキ、ミモザアカシア、ヒマラヤ杉、シイノキ、シラカシ、ヤマモモ、アオギリ、ヒノキ、ギンナン、ラカンマキ、イトヒバ、ツゲ、サイカチ、トサミズキ、ムクロジ、ハクモクレン、ハクウンボク、ヤツデバフウ、ハナミズキ、モミノキ、モチノキ、サワラ、マロニエ、サルスベリ、トウヒ、ヤマモミジ、ヤマボウシ、柳、珊瑚樹、西洋楓、木蓮樹、ツモクレン、サンショウ、アキニレ、柿の木、ゆりの木、カリン、蜜柑、金木犀、クロガネモチ、モッコク、コウヤマキ、クロマツ、エノキ、榊、サツキ、コブシ、ドウダンツツジ、キョウチクトウ、野村紅葉、イチイ、梅、八重桜、かや、タイサンボク、シュロ、紫式部、紫陽花、柊木星、ナンテン、ネズミモチ、ベニカナメモチ、ハリギリ、ケンポナシ、雪柳、ハナズオウ、バラ、アベリア、マチバシイ、モミジバスズカケ、エニシダ、蝋梅、枝垂れ桜、榊、ノグルミ、アキニレよ!」
するとそれぞれの樹木から普通の人間には見えないがプリンセスには見える、樹木それぞれの個性を表すカラーの霧のようなものが放出され、それらが全てプリンセスの体に吸収されていった。
そしてプリンセスの体全体から鮮やかなイエローの光が浮き出て、その光はその小さな石を包み込み、そして石は急上昇し、円盤の弱点の部分にものすごい勢いで衝突した。
ズガガーンという大きな音がしてその弱点の部分が破損し、黒煙が吹き出し始め、円盤の飛行状態は不安定になった。乗船している宇宙人たちは狼狽した。
「うわっ、一体何事だ?」
「円盤の最も弱い箇所が何者かによって攻撃されました」
「早く修理するのだ!」
「自動修理装置で修理しながら飛行することはできますが、これ以上の攻撃を受ければ円盤全体がもちません。
今なら何とか修復して故郷へ帰ることができますので、更なる攻撃を受ける前にこの恐ろしい惑星を離れた方が得策かと思いますが」
「どうやらこの惑星には得体の知れない魔物が住んでいるようだ。この惑星は諦めて他の惑星を探そう。さあ、全速力で退避だ!」
校舎の近くには妹のマーガレットが涙を流しながら立ち尽くしていた。
「生徒たちは助かったわ。でも私の大事なお姉さまが!お姉さま、死なないで。死んじゃいや。あっ、爺!」
そこにはいつの間にかフクロウの姿をした科学者の爺が立っていて、その両手には意識を失ってぐったりしたプリンセスが抱かれていた。
「何という生命力じゃ。奇跡的に命はとりとめた。絶対安静じゃが心配は要らん。お嬢さまは生まれ故郷のアルテミス星へ連れ帰り、サナトリウムで3ヶ月間養生させるのじゃ。
我がアルテミス星の高度な医療技術をもってすればきっと元気になられるじゃろう」
その言葉を聞いて妹のマーガレットは
「お姉さま、どうかよく体を休めてください。お姉さまが元気になるまで私がきっとこの学校を守り抜いてみせるわ!」
と堅く誓うのであった。




