24 狙われた運動会(2)
「幼い頃にお父様から教えていただいたのにどうしてもできなかった透視魔法を使うしかないわ。きっと成功させてみせるわ」
その魔法を使った途端、プリンセスの体全体に強烈な疲労感が押し寄せ、彼女は自分を支えることができなくなり、倒れてしまった。
「ダメだ、やっぱりできない。それにものすごい脱力感。気分も悪くなってきた。そういえばお父様が、これは膨大な魔法エネルギーを使うから、連続して使ってはいけないとおっしゃっていたわ。
体にものすごい負担がかかるって。ああ、ますます気持ちが悪くなってきた。それに目もかすむ。こんな状態では残りの魔法エネルギーを投入してもやはりできないかもしれない。
それでも、たとえ可能性が1%だったとしても、もう一度やるしかない。だって私は運動会を成功させたいの。生徒たちの思い出に残る最高の運動会にしてあげたいの!」
プリンセスは残された力を振り絞って透視魔法を使った。その時奇跡が起きた。さっきは立ったまま魔法を使ったが、2度目は倒れたまま魔法を使ったので、同じ地面という水平面上で魔法がかかりやすくなったのだ。
「あっ、ポケットスネイクが見えたわ。リレー第四コース11時の方向だわ。うっ、意識が朦朧としてきたわ。あとはマーガレット、お願い」
妹は涙を流しながら
「お姉さまのバカ、どうしてそんな無理をするの?」
一方、左右の頭髪が斜め上に尖って伸びている黒服の男は「ふふふ、こいつは見ものだぞ。大混乱が起きて運動会はめちゃくちゃになるぞ。その最中にあの子は一番になれるのだ。俺はあの子に自信を持たせてやるのだ。素晴らしいじゃないか。ははは」
ポケットスネイクは地中に潜んでいる。
「おっスタートしたな。真ん中あたりに来たところで俺が飛び出せば、走者たちは狼狽して大騒ぎになるぜ。ここにいる全員の目が俺様に釘付けになるのさ。俺は大スターになるのだ。大暴れしてやるぞ!」
走者たちがだんだん真ん中に近づいてくる。大歓声を受けながら。あの子は今のところビリだが。ポケットスネイクが今にも飛び出そうとした時、妹のマーガレットが第四コース11時の方向へ、対象を固まらせて動けなくさせる魔法を使った。
「石になれ!」
するとポケットスネイクの体が石のように硬く固まってしまい、動けなくなってしまったので、必然的に地上に飛び出すこともできなくなってしまい、100メートル走は無事に終了した。
沙織は
「駆け足はやっぱりビリになっちゃったけど精一杯走ったからとっても清々しい気分だわ」
無理をしたために立ち上がることさえおぼつかない姉のプリンセスをマーガレットは肩を貸して支え、ゆっくり二人で歩き始めた。
プリンセスは
「見て!みんなの楽しそうな顔を。競争に勝った人だけでなく負けた人たちも全力を出し切った清々しい顔をしてるわ。運動会は大成功。とーっても盛り上がったわね。
マーガレット、手伝ってくれてありがとう。今日は奮発してハーゲンダッツのアイス奢るね」
「ハーゲンダッツご馳走してくれるの?やったー!私、ラムレーズンがいいな」
すると背後の壁のところに人知れず不気味な影が立っている。それは何と宇宙人だったのだ。
「クックックッ愚か者め。まんまと罠にハマったな。今回の件を解決できて喜んでいるとしたら大間違いなのだ。お前はかなり無理をしたから、エネルギーを使い果たしてしまい、当分魔法は使えない。
これで邪魔者はいなくなったも同然だ。一年間にわたる調査と準備は完了。そして今こそ壮大なスペースプロジェクトが発動するのだ」




