28 プリンセス リターンズ(1)狐男の悪だくみ
地球から遠く離れたここアルテミス星は、自然が破壊され、温暖化する地球とは違って自然と高度な文明が見事に調和した理想郷である。
重傷を負ったプリンセスは高度な治療を受けつつこのサナトリウムで療養していた。ベッドに横たわっているプリンセスのそばに、一匹の綺麗な蝶がひらひらと飛んできた。
それはプリンセスの命令に従って働く蝶型コパンのパピヨンであった。
「パピヨンちゃん、私は順調に回復しているわ。もうすぐ地球に帰れるけど、それまで妹のマーガレットのこと頼むわね。何かあればすぐに連絡してちょうだい」
「了解しました。プリンセス」
その頃プリンセスたちの通う学校の近くで、怪しげな狐のような覆面をした男が悪巧みをしていた。
「この学校には100年前に寄付で集められた100万円が敷地内のどこかに隠されているという情報を掴んでいるのだ。
そしてそのありかを示す暗号カードがここにあるが、この暗号、つまり数式が難しすぎてどうしても解けないのだ。
しかしこの学校はエリート校だから、きっとこの数式を解くことのできる秀才がいるはずだ。さあ、フォックスよ、そういう生徒を探すのだ」
すると狐そのものの格好をした四つん這いの生き物たちが20匹も集まってきた。するとその生き物たちは一斉に赤い光を放ちながら少しずつ小さくなっていき、何とハムスターの大きさになってしまった。
そして散り散りバラバラになって各教室の方へ走っていき、校舎内に入ると透明モードになって情報を集め始めた。3日後その中の一匹から狐男に連絡が入った。
「3年2組大泉和世という生徒は数学の天才です。この生徒なら数式を解けると思われます」
ある日和世が下校して駅に向かって歩いていると、眼鏡をかけた白髪のお婆さんがよぼよぼとゆっくり歩いて近づいてきて彼女に話しかけた。
「お嬢さん、私はこの学校の卒業生です。つまりあなたは私の後輩というわけです。そこでお願いがあるのです。
実は私のある先輩方が世の中の困っている人たちのために役立てようと、一般の人々から寄付を募って100万円を集めたのですが、それを活用する前に担当した生徒たちは卒業してしまい、彼女たちとその下の学年の生徒たちとはあまり仲が良くなかったので、そのお金のことがうまく引き継がれず、この学校のどこかに隠されたままになっているという噂があるのです。
それってあまりにももったいない話だと思いませんか?それにそのままでは寄付に応じた人々の善意を踏みにじることにもなると思うんですよ。
ですから何とかそのお金を見つけ出して、恵まれない人たちのために役立てたいと思うんです。私はもう高齢であまり時間がありません。いつ死ぬかわかりませんから。
ここにそのお金のありかを示していると言われている暗号、正確には数式があります。私には難し過ぎて到底解けないので、数学の得意なあなたに解いてもらい、苦しんでいる人々のために役立てたいのです。お願いできるかしら」




