居場所
俺には居場所がない。
いつもケンカをして、一時期、不良というレッテルを張られた。
中学校の頃だった、いつしか不良の頂点にまで上り詰めた俺は
いつもの様に他の族の奴等とケンカをしていた。
そこに一人の少女が居た。
少女は敵の囚われの身だった。
何故囚われたかは知らない。
俺達の仲間だと思われたから・・・かもしれないが、そうじゃないかもしれない。
しかしそんな事はお構いなしにケンカを始めた。
敵の族を倒すと、俺はついでに少女も助けてやった。
少女はありがとう、とお礼を言うと足早に帰って行った。
次の日他の族は殆どいなくなり、俺らが町を闊歩するようになっていた。
そこで、助けた少女と運命の再開。
それから俺と少女は二人でいつも過ごす様になっていた。
バカみたいな事を言って笑い、いきなり真面目になってテストの話をしたり、
普通の中学生で居られると思った。
しかし、それも長くは続かなかった。
少女は誘拐され、俺一人でこい、とメールがきた。
とあるマンションに俺は駆けだしていった。
そこには、待ち伏せする様に何人もの不良が居て、全部ぶっ飛ばしてきた。
しかし、最後の集団を目にした時は、足が竦んだ。
自分の居たチームスパロウズのメンバーの三分の一近くがそこに居た。
他の族の奴等が入りこんでいたらしい。
誰が味方か分らない、敵だったとしても一緒に笑ってきた友達だと思っていた。
「うおおぉぉぉぉーー!!!!!!!!」
その中に俺は切り裂くように入っていった。
「殺れェェェ!!!」
バットで殴りかかってくる奴。
パールで頭かち割ろうとする奴。
能力を使って殺そうとする奴。
俺は、攻撃をかわした。
そして、敵の懐に瞬間移動して鳩尾に一発入れた。
何処からともなく、パールが飛んできて頭を直撃した。
頭から、血が流れた。
しかしそんな事で俺を殺せる筈もなく、一人また一人と倒れて行った。
全部ぶっ飛ばした。と思っていた。
俺の背後に一人残っていた。
男は最後の力を振りしぼり、少女の事を人質に取った。
少女のこめかみに銃は突き付けられていた。
「これ以上来たら、コイツの頭をぶち抜くぞ!!」
それでも俺は近づいた。
撃たないと思っていた。
俺の浅はかな判断が一人の少女の命を奪った。
「く、来るなぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
ダァァン
乾いた銃声が鳴った。
俺は、居場所を失った。
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