8話
「君たちには明日からここに住んでもらうよ、大丈夫!男女別に生活するからさ!とりあえず、司くんは渡くんと、音羽ちゃんは愛音ちゃんと同じ家で生活してね!2人とも、引越し手伝ってあげるんだよー!」
『了解です。』
ちなみに、驚くことに私には雨空さんの声は聞こえているが、姿は見えてないのだ。
「あの、雨空さんはどうやって私たちに声を届けてるんですか?」
「あぁ、言ってなかったね、僕は今男子寮にいるんだけど、特殊なメガネをかけていてね、それを使えば相手に声を届けられるんだ。このメガネも今度渡すね!」
「じゃ、一旦校門に戻ってきて〜、あぁ、司くんと音羽ちゃんと姉さんはそのままそこにいて、2人だけに話があるから。」
『了解です。』「わかったわ。」
校門に戻ると、ちょうど渡とタイミングが被ったらしい。
「メンテナンスルームに戻ろう。」
「?わかりました。」
メンテナンスルームに戻ると、長机に座るよう言われ、座る。
「君たち、今日の試験で、お互いの事かなり気になるんじゃない?」
それはそう。渡のあれはいったい何?
それに私はどうしてたの?
「まずは愛音ちゃん、渡くんに聞いてみたら?」
「は、はい、。」
「渡、あれはいったい?」
渡は数秒黙っていた。
「...、そうだな、言わなきゃダメだよな。愛音、それから雨空さん、これから俺が言うこと、他言無用でお願いします。特に兄貴に。」
『わかった。』
渡は大きく深呼吸をする。
「俺は、」
「まず、未来を渡って来たんです。」
未来を、渡って来た?
「理由は、クソ兄貴を救うため。」
司さんを救う?
「兄貴は、10年後、エイリアンによって殺されます。」
え、。
「今日の試験の化け物、ツクヨミによってです。」
「ツクヨミって、何なの?」
「ツクヨミは、日本の神話に出てくる神様の事だ。」
「それが何でエイリアンに?」
淡々と質問を繰り返す。
「原因は、分からない。」
「雨空さん、あなたは、なぜツクヨミを試験に出したのですか?俺の能力を知っていたんですか?」
「さぁ?僕は秘密主義者だから。」
「そうですか...。」
「ですが、俺がいた未来では、あなたはいなかった。あなたは、何者なんですか?」
「さぁね。エイリアン、だったらどうする?」
笑いながら言っていた。
「迷わず殺します。」
「そう、それならそれでいい。」
「そうですか。」
「あと、もうひとつ、俺には能力がある。」
「何?」
「俺は、忘れていた未来でも、3秒後の未来が見える。たとえば、あと3秒後、愛音はくしゃみをする。」
1.2.3
クシュンッ!
「ほんとだ!」
「これで俺の正体はわかったろ?後は愛音の番だ。あの試験の時のやつは何だ?」
「そう言われても...。」
全く覚えてないのにどうやって話せというのか。
「私、あの時のこと覚えてないの。」
「そうなのか?」
「うん。」
「私、どんなだったの?」
そう言うと、その時の様子を話してくれた。
「マジか。」
「愛音ちゃんは、何かあるのかもしれない。だからこれから一緒に君が何者なのか、考えてみよう。」
雨空さんはやはりニコニコして言う。
「さ、帰ろっか。」
『はい。』
メンテナンスルームを出て、私はとりあえずおばあちゃん家へむかう。おばあちゃん家で暮らすのは今日が最後になるかもしれない。
「また明日!」
そう言い、私はその場を後にする。
家へと帰っていく愛音を見届けながら、雨空は、渡に言った。
「言わなくて良かったのかい?愛音ちゃんは10年後にはこの世にいないこと。」
「!?」
「なんで、それを?」
「そして、日本、いや、世界が破滅することもね。」
「!!!」
「...あんた、ほんとに何者なんだ?」
「...ただの秘密主義者だよ。」
「...今はね。」




