20話
沈んだ気持ちのまま、私は母国から日本に来た。
中2の真夏の頃だった。
最初は東京を、行くあてもなくさまよっていた。
すると、ある少女に声を掛けられた。
とても可愛い、金髪ギャルの子だった。
『お姉さん、こんなとこフラフラして、どしたん?』
この頃の私は日本語が全く理解できず、「あ、日本語分かんない系か、ソーリーソーリー。ちょいまち。」
彼女はスマホで翻訳アプリを起動し、最初に、『お姉さん、どこの国の人?』
と言われ、ロシア人だと答えた。すると、『どーりで!綺麗だと思ったー。』
『ここで何してんの?』
『歩いてるだけよ。』
『暑くない?アイス食う?』
そう言われ、差し出されたアイスを受け取る。
『とても暑くて、冷たい物が欲しかったの、ありがとう。』
『いーよ、いーよ、お姉さん、名前は?』
『ヴェーラ・セルゲーエヴナ・スヴェトローヴァよ、あなたは?』
『あたしは紗良!小6!お姉さんは何歳?』
『中学二年よ』
『へー、中2かー、てか、なんて呼んだらい?』
『ヴィーラでいいわ。』
『おっけー!ヴィーラ!あんた今日からあたしの友達ね!』
『とも、友達?』
『そ、だって一緒にアイス食ったんだから、もう友達っしょ。』
『そ、そうなの?』
彼女の強引さに、私は少し驚く。
『で、なんでここフラフラしてたの?』
『理由は、ないわ、行くところもないし、。』
『なら、なんで日本に来たの?ロシアからだと結構離れてない?』
『そうね、時間はかかったわ。でも、いいの。』
『時間なんて、別にどうだって。』
『なんで?』
『え?』
彼女はアイスを食べ終えると、
『普通は、時間がどうだっていいなんて言わない。』
『私は、普通じゃないって?』
『そうかもね』
『あ、あなたに、何が...!!』
『でも、』
『普通なんて、それこそどうだっていい。』
『え?』
『なんで皆、普通ってのに縛られてんのかね。』
『普通が、正しいのかな』
『...』
『ねぇ、』
『何?』
『お姉さんの話、聞かせてくんない?愚痴でもなんでもいい。聞かせて。』
『...私ね、弱いから逃げたの。社会から。』
『私、こんな体してるから、女子からは嫌われて、男子からは性的な目で見られた。親にも、学校にも言ったけど、誰も助けてくれなかった。』
『だから、逃げた。行き先を日本にしたのは、ただの気まぐれ。』
『でも、泊まるとことかもなくて野宿ばっか。でも、ロシアには戻れない。戻っても居場所はない。』
そうして、私は紗良に、ロシアで周りから言われたこと、されたことも言った。
『私は、もう、生きたくないわ。これ以上は、生きれない。』
そう私が言うと、紗良は
『んじゃ、いいとこ連れてってあげる。』
腕を引っ張られ、ある場所に連れて行かれた。
そこは、神社のとても高さがある階段だった。
『この階段から落ちたら死ねるらしいよ。』
そうか、これで楽になれるのか。
あれ、なんだろ?足が震える。体が、『ダメ』って言ってるみたいだ。
でも、私は死にたい、体は生きたい。私はどっちを選べばいいの?
『ちなみに、ここで死ねなかったら、全身が動けなくなるらしいよ。』
紗良は2本目のアイスを食べながら言う。
『死ぬなら、1発でやらないとね。』
結局、数時間たっても私は死ねなかった。
『どうして!?どうして死ねないの!』
『そうだね、ヴィーラは死ねなかった、だって、それはあんたが『弱い』から』




