12話
次の月曜日、私は少し遅めに起きた。なぜ少し遅めなのかって?寮を出た瞬間、校門に着くから!!だからちょっとぐらい寝坊したって全然大丈夫なのだ!
とか思いながら校門に着いた。
「はぁー、最高っ!これこそ特権だよねっ!」
HRギリギリの時間なので、校門にはあまり人はいなかった。
教室に着くと、渡は席に座っていて、チラリとこちらを振り返り、ヒラヒラと手を振っていた。そして口パクで「おはよう」と言っていた。
私はボっと火が着いたように顔を赤くする。
「渡ー、話聞いてっかー?」
他の男子生徒が渡に話しかけたので、視線は戻された。
私が席に着くと、友達が、「愛音もいいかげん告りなよーっ、あいつまた告られたんだよ?しかも他校に。」
ニヤニヤしながら言ってきた。
その話なら知っている。
なぜなら直接渡から言われ、「俺が他の奴の物になったらどう思う?」とか聞いてきたから、思わず、「知らない!」と言ってしまい、後悔しているところだったから。
だけど「それはアイツの自由っしょ!私には関係ないっつーの!!」
とケラケラ笑っていた。
私は自分の心を隠す。
放課後になると、友達がマ○クに行かないかと言ってきたので、私は誘いに乗る事にした。
数時間後、友達数人と別れ、学校の校門へ着くと、男女の中学生が目に入った。
しかも知っている子達だった。
その子達はこちらを見るや否や、駆け寄ってきて、「のん姉!無事だったのか!」
のん姉とは私の事だ。
この子達は私のいとこの、神空時月夜と、その双子の弟の真陽だ。2人とも中学三年生。高校はここを受けるらしい。
「のん姉、心配したんだぜ、無事でよかった、俺ら色んなとこ探してたんだ!」
月夜は身体は女子だが、心は男子で、喋り方も男子のそれだ。一人称は俺。
「のん姉、何があったの?」
真陽は身体は男子だが、心は女子。とても優しい。一人称は私。
「ここじゃ人目があるから、近くのカフェに行こうか。」
そう言い、2人を連れて行った。
「心配かけてごめんね、実はおばあちゃんが亡くなっちゃって、とも、友達のような人の家に住む事になったの、だからあまり心配しないで、私は大丈夫だから。」
音羽さん達を友達と呼べるか分からないから濁した。
「え、おばあちゃん亡くなったの!?なんで!?」
びっくりしたようで、真陽が聞いてきた。
「...ろ、老衰、だよ。」
「ほんとに?」
「うん。」
なぜ嘘をついたか、雨空さんに口止めされているからだ。
それにエイリアンに殺されたと言ってもこの子達が驚くだけだ。
だから言わなかった。
「それより、施設はどう?」
「まぁまぁだな、でも、気の良い奴ばかりで退屈はしねぇな。」
「そっか。」
そう、この子達は今施設で暮らしている。
幼い頃から虐待されていたからだ。
この子達の服の下は、一生消えない傷がたくさん残っている。
それぐらい酷かったのだ。
そして児相に通報したのは、おばあちゃんだった。
おばあちゃんは、この子達の事も育てようとしたが、体力的にそれは難しく、施設に送ったのだ。
「ねぇ、のん姉、今住んでる家の住所教えて!今度遊びに行く!」
真陽が言ってきたのだが、これも、「ごめん、住所は教えられないんだ、代わりに今度どこか遊びに連れてってあげる!」
「おうっ!何か知らねーけどわかった!」
さすが、月夜、察するのがうまいな。
「じゃあ、帰ろうか。」
そう言い、店を出ると、双子は私の後ろにサッと隠れた。
「どうし...」
「!!!」
私たちの前には、双子の両親がいた。しかも何かブツブツ言っていた。
「オマエガ、...ッタ、カエセ、」
「何で、ここに?接近禁止命令出てるのに...。」
双子はカタカタ震えていた。
それを見て私は決意した。
守るんだ。
私が。
おばあちゃんのように。
この子達を。
「何があっても、この子達は返しませんよ!」
私がそう言うと、双子の両親はみるみる変身していき、そして、
嫌な予感してたけど、やっぱり、
「エイリアン化したのね、でも、この子達は守ってみせる、vt、on!!」




