青春の1ページ
例えば無回答の答案用紙を紙飛行機にして学校の屋上から飛ばすように。青春の一ページってやつは瞬く間に過ぎ去っていくんだ。
ぼうっと屋上の給水塔に腰かけて残りの紙飛行機も風に乗せていく。全教科合計零点。担任にはしこたま怒られたし追試も決定した。元々の学力が良い方だったからそれ以上のお咎めはなく部活は追試の結果が出るまで出られなくなったが。寧ろそれだけで済んだのは先公に恵まれたからだろう。
あとは親にしこたま怒られるだろうが突拍子もないことをやらかすのは母親に似たわけだし父親は俺の性格を分かっているから説教は短めだ。まぁそういうのがこの性格を助長させているのかもしれないが、これ以上考えるのはやめておこう。結局何を言ってもやらかす時はやらかす。
「何で屋上カギ開いてんだよ」
屋上の扉が開いたと思えば出てきたのはツレで。タイミング悪く俺が飛ばした最後の一機が奴の頭上を通ったことで俺が座っている場所がバレてしまった。折角人が黄昏ているってのに、どうせなら可愛い女子に来てほしかった。
奴の手には先ほど俺が飛ばした紙飛行機。俺を見上げる顔はまさに馬鹿を見るそれ。
「罰として屋上の掃除任された」
掃除と言っても箒でゴミを掃く程度のもの。うちの学校は基本的に屋上への扉は施錠されていて出れないし出れたとしても転落防止のフェンスがあるから万が一は起きない。
風に乗り切れずフェンスに引っ掛かり墜落してしまった一機を奴が拾い上げ解体していく。一機から一枚へとなり果てたそれに書かれているのは俺の名前と零を表す真っ赤な楕円のみ。
「屋上から紙飛行機飛ばすってキミキスかよ」
「祇条さんが好きです」
「そこは二見さんであれよ」
「ご丁寧に名前だけの零点の答案用紙とは……」
呆れた様子で、しかしどこか楽しそうに奴が言う。
「でも今じゃないと出来ないだろ」
「だからって全教科零点はやりすぎじゃね?」
「全部零点じゃなかったらただの馬鹿と見分けがつかないだろー」
「心配しなくてもお前は馬鹿だ」
オレンジ色に染まっていく屋上で俺たちは笑い合った。親友と下らない話をして馬鹿みたいに笑うこの瞬間もいつか青春の一ページとなるのだろう。
「ほんっとお前が馬鹿やったから部活に支障が出てるんだが!?」
「それはごめんって! 追試まで何とか俺抜きで頑張ってくれ!」
「はあ~……まぁお前の馬鹿は今に始まった事じゃないけどよ」
「青春だからで許させることは全部しておきたいんだよな」
「……お前、タバコと暴力だけはやめとけよ」
「流石にそこまで馬鹿じゃないっての!」
悔いのないように。大人になったら常識や責任や理性が付いて回るだろうからこういうことは到底出来っこない。大人になった時“やっておけばよかった”と言わないように。
ま、こんなことやっててまともな大人になれるかって言われたらちょっと自信ないんだけどさ!