メサイアの正体
第二回オフ会の日。
待ち合わせ場所は第一回と同じ駅前。メサイアはどうせイケメンだろうから、俺も見劣りしないようにと第一回と同じように髪をセットしてここまできている。
少し待っていると先に鏡花と彩花が来た。
「あっ先に来てたのね」
「お待たせしました」
「お、二人とも来たか」
二人とも相変わらず美人だなっと見入ってしまう。彩花はカチューシャをつけていていつもより可愛らしい雰囲気を醸し出している。
そして鏡花は、髪を編み込みポニーテールと学校よりも、大和撫子的な雰囲気を纏っている。
「で、どうなのよ……?」
「えっ? ……ああ、メサイアのことか? まだ来てないぞ」
「そ、そうじゃなくってさ……」
「私たちの今日の容姿はどうですか?」
そういうことか。確かに言われてみればこんなおめかしした状態を見るなんて最初のオフ会以降初めてだ。
「そ、そりゃあ二人とも可愛いよ。元がいいのに服装と髪もおしゃれにして化粧もしてきたら可愛いに決まってるって」
「そ、そうですか……」
「そこまでいえとは言ってないじゃない!」
「どっちだよ!」
せっかく恥ずかしさをできる限り無視して、褒めたのにひどい言われようだな。
「司も……かっこいいわよ」
「はい、司さん、学校よりも男らしくてかっこいいです……」
「あ、ありがとう……」
最近は慣れてきたと思っていたのに、こんな美少女二人から面と向かって褒められたらむず痒くてどうにかなっちゃいそうだ。
「…………」
「…………」
「…………」
恥ずかしくなっていたのは俺だけではなかったようで、二人もバツが悪そうに下を俯いて黙っていた。
「そ、それにしてもメサイアおそいなぁ……」
「そうね!」
「待ち合わせ5分前ですしもうそろそろくるんじゃないですかね!」
沈黙に耐えきれなくなった俺は、しょうもない話を二人に振ると二人もそれを感じ取ったのか話を合わせてくれる。
そんな時だった。
「もしかして、カプリス……?」
「えっ?」
俺は一瞬メサイアが来たのかと思ったが、思っていた声とは比べ物にならないほど高かった。
まだそれだけなら良かったものの、なぜかその声に聞き馴染みがあった。
俺は恐る恐る振り返る。
「沙織……?」
「あはは……やっぱりこの三人だったか」
「えっ? 葉月さん?」
「委員長ですよね?」
俺たちは明らかに動揺していたと思う。学校では見せてこなかった仲の良さが今さおりにバレようとしているのだから。
そしてそれ以上にメサイアが沙織だということが信じられなかったためだ。
「あ、えっとメサイアです?」
「「「えええーーー!!!」」」
俺たちは人目を憚ることもなく、大きな声をあげてしまった。




