最後の家具
マールがいつも通りになったところで、俺は一つ疑問を持っていた。
カプリス:そういえば二人で一緒に作るって言ってたやつ出てきてないよな
そう、ずっと謎になっていたもう一つの家具である。俺は三つ作っているから問題ないが、二人は二つずつのままである。
マール:ふふん、ようやく聞いてくれたわね
ルーナ:何だか見せるの緊張してきました
マール:ルーナ、そんなこと言うならこれ私用に使ってもらうからね
ルーナ:そ、それはダメだよ!
何だか俺を置いてけぼりで話が盛り上がってきた。俺に使ってもらう家具? そんな家具あったけな。
カプリス:気になってきたしどんな家具か教えてくれよ!
何だか焦らされているような気分になって思わず急かしてしまう。
ルーナ:これ見ても引かないでくださいよ
カプリス:うん? どういうことだ?
マール:……見てみればわかるわよ
興味津々だった気持ちが少し恐怖に変わってきた。
ルーナ:それじゃあ
マール:出すわよ
カプリス:あ、ああ
固唾を飲んでじっと画面を見ていると、一つの枕が出てきた。
カプリス:枕? 何でこれが
表が黒色、裏が白色の枕が出てきた。一見普通の枕だが……。
マール:これ受け取ってアイテムボックスで見てみて
ルーナ:ほ、本当に見せるの?
マール:ここまできたんだから見せるしかないじゃない
言われた通りに拾ってアイテムボックスで詳細を見てみる。
カプリス:双子枕……?
枕の名称はそうつけられており、黒い面にはルーナと白い文字で書かれ白い面には黒文字でマールと書かれている枕だった。
マール:イエスノー枕ならぬ、マールルーナ枕よ
ルーナ:これは、お姉ちゃんが作ろって言って作りましたから
マール:ちょっと素が出てるって! それにルーナも提案をノリノリで受け入れてたじゃない
ルーナ:それは……
そりゃルーナが出すの恥ずかしがるわけだ。何だか怒るよりも呆れる気持ちの方が強くなってきた。
カプリス:……で、俺にどう使えと?
マール:そんなの決まってるじゃない。まだどっちに決められなくても日によってちょっと好きとかは変わるじゃない?
カプリス:まぁ……確かに?
ルーナ:だから、その日の気分で枕の向きを決めてくれたら、次の日のお昼ご飯はその枕の人が来る的なものです
カプリス:二人ともそれでいいのか!
マール:どういうことよ
カプリス:いや、だってさ
色々ツッコミどころがありすぎて、どこから突っ込めばいいのかわからなくなっていた。少し頭の中で整理しているとチャットが飛んできた。
マール:そりゃあ、ちょっと、ううん結構、めちゃくちゃ変だと思ってるわよ。でも私たちは本当にカプリスのことが好きなのよ
ルーナ:その気持ちは本当に間違いありません。カプリスさんの意見を尊重しつつも、私たちもこれまで以上に仲良くなりたいって思ってます。三人じゃ無くて、二人きりでも
カプリス:二人とも……
もうカプリスが葉山司だと気づいて結構な時間が経っているのに、いまだにこんなに好きでいてくれる。俺も少しずつでも答えていかないとな。
カプリス:その気持ちは本当に嬉しいよ。俺も二人と今まで以上に仲良くしたいと思ってる。お昼ご飯も一緒に食べて楽しかったし、だから、このシステムをちょっとは受け入れようと思う。
ルーナ:本当ですか!?
カプリス:ただし、二人きりでご飯を食うようになったからって結婚するってわけじゃないからな!
マール:そこはいつまで経っても頑丈なのよね
やはり譲歩できる部分は最大限譲歩するが、俺の最低ラインは守らないといけない。
マール:でも私たちの魅力に我慢できるはずないんだから
ルーナ:私もマールには負けないよ!
カプリス:そんなに張り切らなくてもいいけどな
マール:それは無理ね
ルーナ:無理ですね
なんだか、これからより一層学校生活が厳しくなる予感がしているけど、最低ラインは守れるのか。
いや多分絶対大丈夫なはずだ。
こうして今度こそ、本当に家具紹介が終わった。




