ようやく
オフ会を開くことになってから一週間後。遂に素材が全て揃った。
しかし素材集めが終わったのが夜遅くであったため、明日にじっくり見ようという事になったのだ。そのため、早く学校が終わらないかと思っている途中沙織に話しかけられた。
「顔が綻んでるけど何かあったの?」
「あ、ああ沙織か。いやーちょっとゲームでいいことがあってな」
「ふぅん。あの双子とのことじゃないんだ」
「なんであの2人が出てくるんだよ」
「何か進展がありそうじゃない」
「別に何もないって。それより何か用があったんじゃないのか?」
何か用事でもなければ、俺に話しかけてくることはないはず、そう思い訊いてみる。
「いやー別にちょっと頼みたいことがあったんだけど」
「うん? なんだ?」
今までお世話になっている分、出来ることならやってあげたい気もするけど。
「今日体育祭の会議が放課後にあるんだけど、体育委員が休みだから代わりに出て欲しいのよ」
「何で俺なんだ? 沙織じゃダメなのか?」
「もちろん私も行くわよ。でも、男子も1人は居た方がいいと思って」
「なるほどなぁ」
何の会議をするかはわからないけど、体育祭なら男女両方いたほうが効率は良さそうだよな。
「でもなぁ……」
今日は待ちに待った家具たちのお披露目会。すぐさま帰ってみたい気持ちもあるからなぁ。
「やっぱり用事あるよね」
「まあ、あるにはあるんだが……ってよくわかったな」
「ま、まぁね! ゲームで浮かれてそうだったし」
いきなり焦ったように返事をしてきた。まあ、それだけわかりやすかったってことなのか。
「それなら大丈夫よ! わざわざごめんね」
「こちらこそ申し訳ない」
「いいのいいの。私だってその楽しみはよーくわかるし」
そう言って沙織は去って行った。今回は少し申し訳ないことしたし、今度なにか奢るか。何となくそんなことを考えていた。
カプリス:メサイア中々来ないな
マール:そうねぇ
お披露目の日。俺たち3人は学校が終わって早々にゲームの中で集まっていた。
しかし中々来ないメサイアに対して心配になってきた。
ルーナ:何かあったんでしょうか
マール:カプリスはメサイアの連絡先とか持ってないの?
カプリス:そういえばTwitterでは繋がってたはずだ!
マールにそう言われてふと思い出した。かなり前に相互フォローした気がする。それならDMで連絡が取れるぞ。
そう思い、Twitterを開いてみるとメサイアからDMがきていた。
『ちょっと用事があって今日は無理になった。悪いから、先にお披露目しといてくれていいからな』
そうか……。それは残念だな。せっかく手伝ってくれたのだから一緒に見たかったんだけど。
ルーナ:どうでした?
メサイアからのDMで悲嘆に暮れていたところで、マールからチャットが送られてきていたため、とりあえず事情を説明した。
カプリス:というわけで結局今日は来れないらしい。
マール:そうなんだ。それは残念ね。せめて一緒に喜べたら良かったんだけど
ルーナ:そうだよね。材料も少し余りそうだったから、今日欲しいもの作ってもらおって思ってたのに
二人とも同じような感想だった。そりゃあ短い間だったけど、毎日バカみたいに狩りをしてたもんな。できれば一緒に見たかった。
カプリス:でも今日しなかったらメサイアが罪悪感を感じそうだからな。今日お披露目会やるぞ。また別の機会に色々お礼をしたらいいし。
ルーナ:それもそうですね。
マール:いつまでも悲しんでてもあれだし、気を取り直してやっていきましょ!
俺の一声に二人は自分を納得させるようにそんなチャットを送ってきた。あとからメサイアにはじっくり話をしたらいいか。オフ会もあるんだし。
そして俺たちはお披露目会を始めた。




