2日目の授業
相変わらず、一番前の真ん中の席だけ空いている。ミスズの声が教室に響き渡る。
「おい、おせーぞ、もうすぐはじまるぞ、バカヤスヒロ」
「お、おぅ。誰も遅刻してないんだな」
「お前が一番先に遅刻しそうだもんな」
くやしいが、ぐぅの声もでないヤスヒロ。すぐさま、黒レースに黒縁眼鏡、黒タイツの先生がハイヒールをカツカツさせながら、歩いてきた。
「はい、みなさん。おはよーございまーす」
「今日はグループになってみんなで話し合ってください。特にまだよく知らない人と組んでみてくださいね」
3人の女の子と2人の男の子とグループになった。そのうち一人の1浪モブ君が言った。
「一浪と書いて『ひとなみ』と読むんですよ」
とあいさつしてきやがった。
「じゃあ俺はなんなんだよと問うと」
「10倍並みなんでスーパーサイヤ人並です(笑)」
みんなが大爆笑して、このグループも和気あいあいだ。
「ちなみに10浪のヤスヒロです。よろしくお願いします」
「みんなしってまーす」
とみんなが頷き。自己紹介は終わった。
とりあえずヘミングウェイの『老人と海』を読む。内容は聞く耳なしのヤスヒロは軽く眠っていた。みんなは老人とカジキの戦いがすごいとかなんとかいっているが、そんなもん単なる釣りゲーだろというのは言わないでおいて。
「このカジキ捕まえたらうまそう」
などくだらない発言にも加わっておく。
そしたら、隣のグループにいたウサギ耳が。
「お前バカだから、食い物の話しかしないよな」
余計な一言を浴びせてくる。こいつ俺のことを散々コケにしやがるが、なんか妙に気にかけてる雰囲気がある。単なるおせっかいかもしれないが、少し俺に気があるのかも。ウサギ耳だが、逆バニーの衣装に服を着せればなんか、違和感ある色っぽい女子大生のできあがりだ。顔はなんだかだいって美人だし、俺好みのバニーガールになってくれるかもな。そんな妄想をしているうちにグループの1浪人モブが言う。
「カジキ料理うまそうですね」
などと話しかけてくる。
「うまいのかなカジキって、うまかったら一緒にこの本売って食おうぜ」
「うはは、いいですね。授業終わったら売っちゃいましょうよ。カジキの足しになるかな」
こんなバカな会話も成り立つから1浪モブ君には大感謝だ。授業も終わりを告げる合図が示される。本校は70分授業なので、終わるのも早い。会話していれば結構あっという間だ。先生がヒールカツカツさせながら周りを歩き始め。
「今日の授業はここまで。また続きを明日やります」
と言って出てった。
「先生のパンツやっぱり黒の紐パンですかね?」
1浪モブ君がいやらしげに聞いてくる。
「そりゃそうだろ。絶対紐パンに決まってる。想像できるだろ?」
「妖艶で美しいですね。ガーターベルト履いて、鞭振るったら、もう完璧ですね」
「お前、そっち系なのか。まぁドMには最高だな。ヒールで踏み踏みされたいだろ」
「いいですねー。やっぱり先輩とは気が合いますね」
男友達はいいものだ、自然と盛り上がれる話ができる。1浪モブ君の名前はヒロシといって俺と同じヒューマン族だ。
「バカ男だ、変態話していやがる。周りのこともちっとは気にしろよ。聞いてていやな気分になるぜ」
とウサギ耳が康弘に言う。
「お前こそ、偉そうにものを言っているが男の性というものをわかっていない。下ネタこそが男の友情を深める一つの手段なんだよ」
「けっ。くだらねぇ。スケベ変態丸出しじゃねーかよ」
「じゃあ、聞くがお前のパンツは何色だ!?」
「な、なにを聞く。ふ、ふざけんな。このあたしがそんな下劣な質問に答えると思うか!」
急に顔を真っ赤にし恥ずかしそうな態度をとるミスズ。怒り出すかと思いきや、デレてるのか?
「まぁいいよ。ちなみに俺のパンツは紺色のウニクロ製パンツだが、とくに恥ずかしくもないぞ」
「お前のような下品な野郎のパンツと一緒にするんじゃねーぞ。バカ。乙女気持ちを察しろよ」
「あぁ。すまなかった。だが、毎回『バカ』と呼び捨てにするのも失礼だぞ」
「バカはバカなんだよぉぉぉぉ、この大バカやろうぉぉぉぉぉ」
ミスズはうっすら涙を堪えて教室から駆け出して行った。
「あーあ。泣かしちゃったにゃ」
ヒトミちゃんがぼそっと言う。乙女の気持ちは複雑らしい。しかし10年ニートのヤスヒロにはそんなのは分かりっこしない。いや、わざと分かろうとしないのか。恋愛ゲームの展開をふと妄想するも、現実に『ツンデレ』キャラがいるのは驚嘆の類だった。
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