自宅での会話
颯爽とチャリに乗り自宅へと走る康弘。
「帰って、まずアニメ見て、ゲームをして、ラノベ見て、まだ時間は3時も回ってない。大学生最高~」
「母さんただいま~」
「お帰り、あんた最初の授業はどうだった。クラスの友達できた?」
「余裕よ~なんか猫耳の子たちに助けられたわ」
「ああ、テール族の子たちね。彼女たちは個性的だけど、お勉強もできて、面白い子がおおいわよ」
「そうなんだ。どうりで勉強はできそうだったよ。じゃあ部屋でゲームでもしてるね」
「明日からも頑張って授業でるのよ」
そういって康弘は部屋にこもって大好きなアニメやゲームを貪るように見入った。
10年の引きこもり生活。けっして楽だったと思わない。学校でいじめられ、現実逃避をするようにゲームの世界へ。そして気が付けば10年の月日を経ていた。親は心配して精神科へと俺を連れ行った、診断名は「アスペルガー症候群」いわゆる『アスペ』と言われる空気の読めないやつだった。
『アスペ』は好きな物事に対しては集中力はすごい、俺がゲーム好きなのも関連性はあるだろう。
「さて今日はなんのゲームやろうかな。ウサギ耳のやつが癪に障ったから、バニーガールをいたずらできる、『うさぎとかめのかけこっこ』をやろう。なんか単純なアクションゲームなんだけど、亀がうさぎに罠をはめて妨害しながらスコアを重ねていくのが面白いんだよね。うさぎは当然あの生意気なミスズに似ている(笑)嵌めていじって、パンツめくってやるわ」
康弘はゲームに夢中で3時間が過ぎたころだった。『パンツめくり』も飽き、そろそろおなかが減ってきたころだった。
「母さん。飯まだ?」
「もうすぐできるわよ、降りてきなさい」
「わかった」
「今日はカレーライスよ」
「まじで?今日学校で食べてきたばかりなんだけど」
「贅沢いわないで食べなさい」
「わかったよ~」
「学校はどう?友達できた?」
「友達かわからないけど、変な奴とは知り合いになった。耳のついている子」
「ああ、テール族の子たちね。友達になっておきなさい。あまり我々ヒューマン族とはかかわりが少ないから貴重よ」
「そうなんだ。なんか確かに変わってる女の子だったな」
「我々ヒューマンとテールには深い溝があるの。昔、戦争があってね。ヒューマンがテールを虐待したのよ。だから彼女らは、ヒューマンをよくおもってない」
「男はみんなヒューマンだったぜ?」
「男は外見じゃわからないのよ。ただ、背中やお尻に紋章のようなあざがあって、そこで見分けるらしいのよ。服を着てる状態じゃまったく我々と見分けがつかないわ」
「まぁクラスに6人しか男はいなかったし、ほとんどいないでしょ」
「そーね。全体の3割ぐらいしかいないから、一人か二人ってところね」
昔、戦争があったのか。きっと猫耳たちは耳がついているからいじめられたのかな。それとも変な魔法をつかうからかな。まぁそのうち理由は聞けるだろう。
康弘は部屋へ戻ると、明日の予定を眺めた。英語のクラス2コマだけだが、なんにやらヘミングウェイという作家の本を読むらしい。
「くだらねぇ。しらねーよ。そんな作家。エロ本の解説してくれたほうが全然有意義だな。大学ってくだらねぇはやっぱ」
おもむろにテレビの前に座るとゲームのスイッチをつけて、またゲームをはじめた。空はもう暗闇に覆われ、颯爽と桜吹雪が舞い散るなかで、ボタンを連打する康弘。この10年間全く変わらずの光景だ。山積みされ、埃のかぶったゲームをおもむろにガサガサと抜き出し、ノソノソとパッケージを開け、ゲーム機に入れる。なんでもない作業だが、康弘にはこの行為さえ面倒な行為なのだ。
「はやく、俺の脳内でゲームが切り替わる新機能のゲーム機でないかな」
彼の中身は怠惰そのものである。とても大学で学問を修めようとは思っていない。
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