単位履修
午後の授業がはじまり、各自教室にあつまった。
先生がカツカツとヒールを鳴らし、みんなに授業の予定表をくばった。
毎日クラスで英語の授業が2コマある。あとは保健体育の授業が1つ。あとは空白だ。
「みなさんでこの空白の授業を埋めていきます。好きな授業をとっていいですが、1年生は一般教養の授業を取るといいでしょう」
先生の甲高い美声がクラス内に響き渡る。みんなまじまじと配られたシラバスを手に取って。入念に考えているようだ。
「おれは何の授業もとらないすべて『空白』でいく」
ミスズが呆れた声で言う。
「バカかお前、少しずつ単位とらないと卒業できないぞ」
「おれは天才だから余裕。最初はウォーミングアップ程度にしておかないと4年ももたないわ」
「バカがうぬぼれやがって。最後のほうに泣きをみても面倒みてやらないからな」
「うるさい。俺はパチンコに、麻雀に、ネットゲームに毎日時間を割かねばならんのだ。俺の一生のスタイルを崩すわけにはいかんのだよ。それは俺自身を否定することになるのだ」
そういうことで康弘は無謀にも最低限の単位数で履修登録を終えることとなった。
もちろんこのことが後々彼を苦しめるのは明白であった。
「単位を登録した人から、今日の授業は終了です。お疲れさまでした」
カツカツをヒールを鳴らし、先生はPC教室から出て行った。みんなわいわいがやがやと単位の登録しているの尻目に、さっそうと教室を出る康弘。
「おまえ、まじバカなのか。4年で卒業する気あんのか?」
ウサギ耳が煽ってくる。
「あったりめーよ。英語もペラペラ。異世界最高。すべてミスズお前のおかげだわ、サンキュ」
「あ、ちなみに私の魔法は4年も続かないから。早く勉強しておいたほうがいいよ」
「なんだと!まぁ魔法が切れたらまたかけ直してくれ。たのむよミスズ様」
「いきなり、なれなれしいな。別にお前が好きってわけじゃないんだよ。かわいそうだったから慈悲をかけてあげただけだ。調子に乗るなよ」
「頼むよーなんでも御馳走するからさ。逆バニーに衣装だってプレゼントしちゃうよ」
「きもちわりーな。いっぺん死んでみる?あの世に簡単に送れる魔法だってあるぜ?」
「じょ、冗談だよ。まぁとりあえず今学期はできるだけ遊ぶ、今までのようにな。大学生って遊ぶものだろ。じゃーまた明日な」
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