卒論発表
康弘は6年生になり、保健の単位も取り終え、介護タクシーの仕事と並行して卒業論文を執筆していた。『エロ本における日本文化』だ。
エロ本は別に特別なものでもなく、ごくごく普通の身近な存在として、日本に存在している。古くは日本の江戸時代の春画から、現代にいたる電子コミックまで長い歴史があるのだ。担当教授のアフロ先生は自由な発想を特に尊重している。確かに論文としては、成り立つことが難しいし、発表ともなると多数の女子生徒から非難の的になるだろう。
しかしながら、康弘は特に文学と呼ばれる作品を読む機会がなかったため、『エロ本』を選択した。中身は単純。特に男子にとっては思春期にかけて、異性への興味が格段とアップする。そのために『エロ本』は若い男子にとって不可欠なものであるとし、これらの本への文学的研究ももっとなされるべきであるという内容だ。
もちろん、普通に近代文学の文豪たちをクローズアップして取り上げるのが定石なのかもしれない。しかしながら、それらの論文は山ほどあり、とても康弘の力では新しい発見をすることは困難である。ならば、普通に『エロ本』をとりあげ、執筆したほうがよい。
康弘は、オネショタに興味があった。オネショタとは年上の姉さんとまだ毛も生えそろっていない男の子の恋愛、エロを描く物だ。康弘は根っからのM気質だ。女性に弄ばれるのは大好きなカテゴリーである。
卒論発表の場で、康弘は答えた。
「これから、エロ本について語ります。気分の害する方は教室から出て行ってください」
多くの女子生徒が教室から去る。康弘はある意味安心した。はっきりいって不快感の募る話なのである。仮に女子生徒がボーイズラブの話をし始めたら、多くの男子生徒は嫌悪感を抱き、同様に教室から去るだろう。
ほとんどの女子生徒が去ったあと康弘は語った。
「エロは日本文化です。みなさんエロ本を読んだことありますよね? いろいろな性癖があるかと思いますが、我々はエロがなければ生きていけないんです。これは人生に通じる共通の価値観ではありませんか?」
このとき、アフロ先生は立ち上がって、拍手した。
「すばらしい、日本文化の価値観を貫いている発言です。よく頑張って書き上げました。評価します」
康弘の論文の内容は割愛されたが、先生からはOKのサインを頂いた。これで康弘は単位をほとんど取り終え、卒業へと向かうのであった。
お読みになり、ありがとうございました。もし、お時間を許すのであれば評価のほうをよろしくお願いいたします。また、これからも投稿してまいりますので、ブックマーク登録も重ねてよろしくお願いいたします。




