康弘、パチンコで学費を稼ぐ
康弘は出席しなくても単位の取れる楽勝科目を選択していることで、余裕のパチンコ生活を送っていた。毎日講義には出席せず、パチンコ屋前でタバコをふかしながら並ぶ日々。腐ったような日常だが、これも大学生の特権ともいえるだろう。
すでにパチンコ生活をはじめて1か月。20万ペリカほどを稼いで、学費まであと半分だ。この調子ならば、留年も十分可能。康弘はできるだけ長く、大学生活を謳歌したかったのだ。しかし、最近サークル活動に顔を出していないのが悔やまれた。
「あれだけ練習したのにな」
部活動は3年の夏に引退することが決まっているので、いずれにしてもあと少しだ。今は単位修得を目指しつつ、学費を稼ぐことを目標とする。
康弘は今日も狙い台のアイムバークラーに着席すると、レバーを叩き始めた。店の環境がいいのか、うまく狙い台がヒットしてくれる。
「今日も1日勝負だな」
そうつぶやきながら、康弘は肩に手をやり労をねぎらうように揉んだ。その瞬間見慣れたウサギ耳の女性がやってきた。
「おう、なんかお前パチスロにはまっているらしいな。授業にもサークルにも出ず、毎日やってるそうじゃないか。結構噂になってるいるぞ」
「お、おう、ミスズ。久しぶり。申し訳ないサークル出られなくて」
「いや、いいのよ。もうすぐ引退だし、お前にかけた魔法の効果も出始めてきただろうから、単位も比較的簡単にとれるだろう。でもあたしの魔法の効果はあたしが大学にいる間だけだからな」
「つ、つまり、あと1年もすればミスズは卒業してしまい、魔法の効果も切れてしまうと?」
「そういうことだ、魔法をかけた本人が近くにいないと効果が薄れるんだよ。今のうちにできるだけ単位を取っておけ」
修得単位はまだ半分にも満たない。卒業までは134単位も必要だ。康弘は懇願しながらいった。
「なんとならないのか? ミスズ、大学院に進学する予定はないのか?」
「興味はあるけど、別にお前を助けたくて進学する理由はないだろ?」
康弘の体中に絶望感が流れた。ミスズの魔法抜きではすべての単位を修得するのは無理だ。専攻課程は修得できても、残りの教養科目や基礎科目が厳しい。
「ミスズ、心理学に興味あっただろ? うちの大学院、心理学有名だから進学したらどうだ?」
「進学するなら他大学かな、うちは学費高いんだよね。だからちょっと迷ってる」
「それなら、これからパチスロして、稼ごうぜ。うまくいけば学費はなんとかなるぞ」
「バカいうな。そんな音もうるさい空間に一日中いたら頭がおかしくなるぜ。しかも、確実に稼げるわけじゃないだろ。まじめにバイトして稼ぐさ」
康弘は自分の好きなパチスロを否定され、ガックリきたが、そもそも普通の女の子がパチンコ屋なんかに興味があるわけない。しかし、どうにかして、ミスズを大学に食い止め、魔法の効果を延命せねばなるまいと腹に据えて誓ったのであった。
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