冬のフライングディスク部
冬は寒い。よって、運動系サークル活動も活発ではなくなる。練習に参加するものも減ってきた。しかし、留学生のスターシャは常に参加していた。康弘が屈託なく問う。
「スターシャちゃんは偉いね。こんな寒いのに運動するなんて」
「私の国は寒いのです。雪が降って、外で練習なんてできませんでした。だからうれしいんです。雪の降らない冬は」
「そうなんだ。俺にはこれでも凍えるほどの寒さだよ。女の子たちはみんなジャージ姿になっちゃったし。萌える欲求もなくなってしまった」
「あはは。さすがにスカートは、履きませんよ。風が強くて捲れてしまいますから」
「バカヤスヒロ。なに留学生にスケベなこと言ってんだよ。真剣に練習しろ」
怖いウサギ耳のミスズが怒鳴りこむように間に入ってきた。
「うるさいやつだなー。別にいいだろ、単なるコミュニケーションだよ。お前こそ、ジャージのズボンにパーカー姿で、地味で面白くないぞ」
「お前を喜ばせるために、着る服を選んでいるのではない。もうすこし頭の中スケベなことから離れてみたらどうだ?」
ミスズに的を得る発言をされ、がっくりとくる康弘。ストレッチをして、3人でフリスビーの受け取りを練習することに。ミスズがシュッとフリスビーをクルッと回転させ、手首をスナップするように投げてくる。それをスターシャとヤスヒロがキャッチするというわけだ。
「しっかり、取れよ。2人とも」
ミスズが勢いよく投げてくる。これをスターシャが難なくヤスヒロを差し置いてキャッチした。
「スターシャ。うまいぞ。それに比べてバカヤスヒロ。もっと前に出て取りに来い」
スターシャはどうやら経験者のようだった。ディスクの受け取り方がうまい。さっと前にでて、体を使いつつ、手首をしならしてキャッチする。どうやら、康弘が敵う相手ではなさそうだ。
ミスズが10本投擲したが、取ったのはすべてスターシャだった。
「スターシャちゃんはすごいな、スター選手間違いなしだよ」
「いえいえ、わたしこの競技結構やっていたんです。だから今だけですよ。ヤスヒロさんも練習したらうまくなりますから。頑張ってくださいね」
スターシャのブルーの瞳が透き通り、運動場のライトに照らされて、さらに美しく輝く。康弘はその輝きに一瞬、立ちすくみ。彼女の記憶が鮮明に脳裏に刻まれた。
「それじゃ、帰りますね」
スターシャが後ろ姿を見せると、金髪ロングの髪が冬の寒風にゆられて、なびく姿もまた康弘には記憶にはっきり残る印象的な出来事だった。
お読みになり、ありがとうございました。もし、お時間を許すのであれば評価のほうをよろしくお願いいたします。また、これからも投稿してまいりますので、ブックマーク登録も重ねてよろしくお願いいたします。




