冬学期始まる
本学は秋休みがあるが、わずか2週間ほど、すぐに冬学期の授業となる。冬は寒い。チャリで通う康弘にとっては、試練の時だ。学校を往復する際に相見舞える、JK達のミニスカ自転車たちが、唯一の欲求となっていた。強風が吹くたびにスカートがひらひらと揺れるからである。
学校が始まると、夏はスカート姿だったミスズもパンツルックとなっていた。他の女子学生もほとんどパンツ姿だ。康弘は特に短いスカート姿に固執していた。
「おい、スカート履かないのか?」
ミスズに問いかける。
「バカ。めちゃくちゃ寒いんだよ。てめーに変な妄想させるため服装を選んでるわけじゃねーんだよ」
康弘は愕然とし、冬の終わりを待っていた。しかしながら、がっかりしている予定はなく次年度の単位履修を選択させられる。
「やばい、このままではとてもじゃないが卒業できない。なにか一般教養の科目を少しとり単位を埋めていかなければ」
康弘は、怠け者で楽天的だが、さすがに焦り始めていた、ほかのクラスメイトは康弘の倍は単位を修得する予定なのである。
「とりあえず、なんか面白うそうなやつを取ろう。『哲学の基礎』『文学的アプローチ』『キリスト教概論』この3つだけとろう。なんか簡単に単位が取れるって聞いたぞ」
康弘は履修登録を済ますと、ゆっくりと学食に行き、コーヒーを飲んでいた。すると、ウサギ耳のミスズがてくてくやってきた。
「お前、来年何の授業とるんだよ? もう英語の授業はなくなるから、あたしの必要はないな」
康弘は苦悶の表情を浮かべながら言った。
「いや、頼む。単位とれそうなものを選んだんだけど、自信がない。とにかく暗記力を得られる魔法をかけてくれ」
「そんな、便利な魔法あると思っているのか? まぁないわけじゃないけど、簡単には効果はでないぞ。あと、それなりの見返りも頂く」
康弘は神にでも拝むようにミスズに言う。
「なんでも、する。魔法をかけてくれ。奴隷のようにこき使ってもらって構わない」
「しょうがねーなー。とりあえず、飯を奢れ。一緒に食事しろよ」
「そんなのでいいのか。わかった。魔法をかけてくれ」
「じゃあ、ちょっとまってろ。『memorize!』」
ミスズは魔法を詠唱したが、特段康弘には効果を感じなかった。
「おい、なにも変化を感じないが?」
「効果が出るのには何か月もかかる、じわじわと自発的に勉強するようになるさ」
「俺が、勉強するようになるのか。まさかな。しかし、勉強しないと単位は取れないからな」
「そうだぞ、結局は自分でやるんだ。己の力を信じてやってみろ。ちなみに、『哲学』の授業は先生が変わって、相当厳しいらしいぞ。頑張れよ」
「そ、そんなこと聞いていないよ。ふ、ふざけんな」
「まぁ。これもまた試練だと思って勉強しろよ」
ミスズと別れ、康弘は選択を失敗したことを後悔していた。そもそも、康弘は『哲学』とはなんの学問かも全く知らず選択してしまったのだ。このことは康弘にさらなる苦悩を与えることとなるのであった。
お読みになり、ありがとうございました。もし、お時間を許すのであれば評価のほうをよろしくお願いいたします。また、これからも投稿してまいりますので、ブックマーク登録も重ねてよろしくお願いいたします。




