学園祭はじまる
ついに本学の学園祭がやってきた。各サークルそれぞれ催し物するはずだ。本学はとても規模の小さい大学なので、有名人がくるとか、ミスコンをやるといった派手なことはできない。だが、康弘にとっては、初めてのお祭りであり、気分の高揚するものであるのは間違いなかった。なによりも気になる皇女アマネ様のサークルに飛び入り参加する予定となったからである。
「一人休むことになったの。ヤスヒロさん、お願いできますか?」
アマネちゃんが懇願する。
「どうしたの?俺の出番が来た?」
「そうです。端っこでいいので踊ってくれませんか? 私も隣で踊ります。最後列に前の人たちがいるので、目立たないはずです。前の人の踊りを真似てみてください」
練習はなし、ぶっつけ本番。舞台で踊るには無謀なチャレンジだが、皇女様と一緒にダンスできるかと思えば、恥ずかしさよりも興奮が勝ってくる。
「こんな機会は一生に一度もないはずだ。もう、なんでもいい、適当に足踏みして、腕振ってやる。客と目を合わせなければいいんだ。恥は一瞬、思い出は一生だ」
康弘は覚悟を決めると、サークルが準備する舞台へと昇って行った。人数は30人ほど。
観客は数百人いるだろうか。結構な視線が集中しているのがわかる。
「アマネちゃん、ごめんよ。笑いものになっても恨まないでね」
「いや、いいですよ。急な出場ですもの。気楽にやってもらえればいいです」
みんなで舞台に上がり、拍手をもらう。本番のはじまりだ。
センターにいる子が挨拶し、リズミカルに踊りだす。それにつれて周りの子も踊りだした。
「さあ、踊りましょう。自己流でも構いません。勇気出してください」
隣のアマネちゃんが声を震わすように語る。
「もうやけくそだ」
康弘は、手をぶんぶん振り回し、ステップを踏みながら。前で踊っている人の真似をするように踊りだした。
場内から、歓声があがり、舞台は盛り上がりをみせた。どうやら観客の目はセンター中心の踊りのうまい子たちに集中しているらしい。康弘は観客からの眼中にすらなかった。
アマネちゃんが隣でニコっと笑い、暗に成功を感じ取っている様子だった。その間も、無我夢中でグルグルと回る康弘。
「早く終わってくれ。もう限界だ」
その瞬間、流れている音楽がとまり。サークルの演技は終了した。息をゼーゼー言っている康弘にアマネちゃんがそっと康弘に語りかける。
「お疲れさまでした。よく踊れていましたよ。結構楽しんでたように見えました」
「いやいや、もう必死だったよ。どうにか人数合わせの役割は済んだね」
「ありがとうございました。もしよかったら、これからも遊びに来てくださいね」
「うん。アマネちゃん、これからもよろしくね」
こうして、康弘の初ダンスは無事に終えることとなった。皇女アマネからも好意的な言葉を貰い、気をよくして、家路へと着くのであった。
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