ミスズ遅刻する
クラスの飲み会は丁度、みんなが飲みはじめ、料理の注文をしているところだった。そこにウサギ耳のミスズはやっと現れた。
「悪い。悪い。遅くなって」
「時間にうるさいお前が、遅刻するって珍しいな。よっぽど最初の乾杯が怖かったんだろ?」
康弘はミスズがアルコールを飲んだことがなく、恐れていると踏んでいた。
「バカ。べ、別に酒なんか怖くないよ。ちょっと、用事があっておくれたんだよ」
「まぁ。そういうことにしておいてやるよ。俺の隣に座れ。ニンジンジュースがおいてあるだろ」
「て、てめぇ。バカにしやがって。なんであたしだけ、ニンジンジュースなんだよ。ざけんな」
ニンジンジュースを片手に機嫌を悪くするミスズがさらに言う。
「じゃあ酒を持ってきて、その中にいれてやるよ。覚悟はあるのか?」
「い、いいぜ。なんでも持って来いよ」
康弘はおもむろにジン単品を注文すると、笑みを浮かべた。
「結構アルコールって飲みつけてないと、酔うぜ。いいのか?」
「酔わねーよ。ドンドンもってこいや。先につぶれるのはお前のほうだ」
ミスズはニンジンジュースをちびちび飲みながらかなり、気負っている様子だ。
さして、康弘にとってこの飲み会はこのウサギ耳との一騎打ちの構図となった。
「ミスズちゃん、がんばるのにゃ」
対面のヒトミちゃんが応援する。
「二人とも飲みすぎないでくださいね」
隣の皇女様が丁寧な気遣いをくださる。
ジンが卓上に置かれると、康弘はこれを一気にミスズが飲んでいるニンジンジュースのぶちまけた。
「なにをするんだ、バカ野郎」
「はい、ジン割ニンジンジュースのできあがり。ご賞味あれ」
ミスズは明らかにとまどっていた。しばらくニンジン割に手を付けない。恐れているに違いなかった。
「一気に飲めよ。慌てなくてもいいさ。俺はこれで生ビール2杯目だけどな。まだまだいけるぜ」
「生意気なこといいやがって。見てろよ。グラスを片手に一気に、ジン割ニンジンジュースを飲み干す」
「お、おえー」
ミスズが今にも吐きそうな声をあげて、唸る。
「やっぱり、飲めない口のようだな。勝負ありだ。俺は生ビール追加」
「勝負はこれからよ。レモンサワー1つ追加」
なにやら吹っ切れたのか、追加のオーダーを出すミスズ。
「ミスズちゃん、頑張るのにゃ」
ヒトミちゃんの応援がさらに後押しする。
「ミスズさん無理しないでくださいね」
皇女のアマネちゃんの心遣いがまた優しい。
康弘は一気に生ビール3杯を飲み干し、つまみのフライドポテトを食べながら言う。
「ミスズ、お前なんか、顔が赤くなってきたぞ、やっぱり無理なんじゃないのか?」
「黙れ、ニート野郎が。酒の飲み比べぐらいで調子に乗りやがって、そういう野郎が一番むかつくんだよ」
ミスズは、目の前にあるレモンサワーをぐいっと飲み込むと、グラスをガチャンと置きながら言い放つ。
「グレープフルーツサワー追加で」
なにやらミスズにエンジンがかかってきたようだ。飲み会も始まってまだ30分、みんなまだ和気あいあいとその場を楽しんでいる。卓上に置かれた、枝豆やフライドポテト、たこ焼きや卵焼きなどをつまみながら、談笑している。和やかな雰囲気の中、座敷中央で熱いバトルが展開されることとなった。
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