フライングディスク部2
大学生活も早いもので1ヶ月が過ぎようとしていた。ヤスヒロには珍しく、生活習慣にも慣れ、何とか朝10時半からの講義だけは出席を続けている。これもまた運動部に所属していることが大きいのかもしれない。基礎訓練を週に3回は繰り返しているから、自然と体力がついてきたのだ。
「おい、そろそろ今日からディスクを受け渡す練習をするぞ」
とミスズが言う。
「そろそろ、3大ストレッチにも飽きたわ。スパッツ姿になってパンツも見えないし」
「てめー。一言多いんだよ。まだまだお前は試合にでたらお荷物確定だ。なんとしても夏の団体戦までには最低限のプレーをしてもらわないと困るんだよ」
授業が終わり、運動場へと向かう。芝生が青々と茂り、夏が近づいてきているのが分かった。
「よし、まずはディスクの投げ方を教える。よく見ておけ」
「了解。ミスズ様」
運動場の奥までヤスヒロが構えるように位置を取る。するとミスズがディスクを片手に持つと、手首をクルっと返して、腕をひねり、その勢いディスクを放り投げた。そして、ディスクがいったん高くあがり、楕円の放物線を描くように舞いヤスヒロの目の前に回転しながら落ちてきた。
「すごいですね、ミスズ様」
「あたりまえだ。ちなみにお前は今のように落ちてきたディスクをキャッチできるようになることがこれからの課題だ。わかったか」
「わかりました。ミスズ様」
「なんか、今日のお前ちょっと変だな。急に『様』よばわりして、なんか悪いものでも食べたか?」
「悪いものなんか食べてねーよ。調子にのりやがってこのウサギ耳が。こんなもの簡単にキャッチしてみせるわ」
「ほう、そうか。なら、キャッチしてみるがいい。できない限り、また学食で飯を奢ってもらうぞ」
「まかせろ、さぁ投げてみな。華麗なるヤスヒロ様をなめるなよ」
ミスズが、体を少し捻り、手首をしならせ、シュッとディスクを投げる。勢いよく、楕円軌道にのりカーブを描きながら、ヤスヒロの元へやってくる。
「いまだ、キャッチ!」
身を乗り出し、手を差し出したが、無情にもディスクは芝生の上を転がっていった。
「バカヤロー。もっと全身をつかってキャッチしろ。時にはジャンプすることも必要だ。手だけを使って取りに行くな」
くるくる回転するディスクをキャッチするのは案外難しい。ヤスヒロは元々運動音痴、対してミスズは経験者のスポーツウーマンだ。
「罰として、腹筋30回」
「パンツの見えない腹筋はいやだ~」
「なんなら50回にするぞ?」
「やります。やります。ゼィゼィ」
スパッツ姿のミスズもまた、それはそれで魅力ある姿ではあった。美しい脛にパツパツの太ももやお尻が締まって見える。これもヤスヒロの運動意欲を駆り立てた。はたして、康弘が実戦投入されるのはいつのことになるのか。まだ、彼には知る由もなかった。
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