ヒーロー誕生?
「『月間ウィクリージャイアンツ新入生号』発売だにゃ」
ヒトミちゃんが校門で新刊を宣伝していた。
「1部頂戴な」
ヤスヒロが一声かける。
「一面のヒーローが来たにゃ。受け取るにゃ」
バサっとA4判数枚に束ねられた新聞を受け取る。すると、一面の見出しに『10浪生現る!』の文字がでかでかと踊っていた。
「俺の記事、一面かよ。目立つなこりゃ。しかも顔写真つき」
「ねーねーあの人じゃないの?噂の10浪生って」
さっそく見知らぬ女子学生に指をさされる。
「まじかよ。俺は二浪だけどあの人、神だな(笑)」
今度は、見知らぬ男子学生から指をさされて笑われる。
「くそが、まじめに記事を書いたのにこれではみんなの笑いものではないか」
ヤスヒロは手に持った新聞をくしゃくしゃに丸めると、近くにあったゴミ捨て場へ投げ捨てた。
「やめるにゃ。せっかくみんなで作った新聞だにゃ」
「ごめん、つい感情的になっちまってさ」
「べつにヤスヒロに悪気があって作ったわけじゃないにゃ」
「わかってるよ。自分のみじめさに腹がたったのさ、でも自業自得。これもまた運命かもな」
ヤスヒロは芝生の広がる校庭で一人横になり、一人物思いにふけった。
「まぁ。とりあえず、恥とはいえ有名にはなれたわけじゃないか。ポジティブに考えればそこはよかったかもな」
これ以来康弘はどこへ行っても見知らぬ学生から指をさされる存在となったわけである。
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