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二話.ギフト


 二人ーーハイラスさんとニーナさんは長い廊下を俺たちを連れて歩く。そして歩く時間が長くなればなるほどみんなの不安は大きくなっていく。


「……おい、ひかるひかる


「ん? どうした?」


 光は何処かにやけ顔を無理やり正したような顔で返答してくる。……なんだこいつ。


「なんだお前その顔。正直気持ち悪いぞ」


「そ、そんなに変な顔しているか?」


「してる。まるで御祭りで売ってる仮面みたいな」


「さすがに凹むぞ……それで、どうした?」


「さっき、あの二人と話していたことだ。何を話してた?」


「ああ、実は……」


 光の話を掻い摘んで話すと、俺たちは勇者としてこの世界に召喚され、魔王を倒して世界を救って欲しい。という為に俺らを呼んだらしい。……いやまあ、そういった小説が流行っているのは知ってるけども……。


「なんだ? その安っぽい話し。まさかとは思うが、受けたのか?」


「いやまあ、本当の話だったら受けるつもりだが……流石に眉唾っぽくてな」


 本当なら独断で受ける積もりだったのか?

 まあ、それを今問いただしても意味はない。多分眉唾だろう。勇者て。魔王て。


「皆様、到着しました」


 二人が案内してくれたのはかなり広いグラウンドだ。多分高校のグラウンドの1.5倍くらいはあるだろう。それくらい、広い。


「えっと、ここは?」


「訓練所です。主に騎士たちのですが。皆様にはここで、各自に与えられたギフトを確認したいのです」


 ギフト? なんだそれ?


「ギフトとは?」


「神様に与えられた特別な力のことです。勇者の皆様には例外なく与えられる力ですね」


 神に与えられた特別な力、ねぇ。

 益々、眉唾っぽい。


「なるほど。それで、それはどうすれば分かるのですか?」


「こちらのカードに、血を垂らすか、魔力を流してくれれば分かります。初めにやりたい方は?」


 血、かぁ。それに、魔力ねぇ。魔力っていや、魔法の元になる力みたいな感じのやつだよな。フォ◯スみたいな感じかな? 違うか。魔力はまあ、置いておいて。血か。少し、抵抗があるな。

 だが抵抗があるからと言ってここで拒否をするという選択はない。というか出来ない。


 俺は周りをチラリと見る。殆どが怯えている。まあ、そりゃそうか。


「ここは、私がやるしか……」


 先生か呟く。よく見れば、先生の足元が震えている。やっぱり、怖いんだろうな。


「俺がやります」


 ここは、一歩踏み出す他ない。


「分かりました。こちらをどうぞ。指を切る用のナイフです。切ったら、このカードに指を当ててください」


 小さなナイフを渡される。

 怖い。心臓がドクンと跳ね上がったのが分かる。

 左の人差し指にナイフを近づける。

 

 スッ


 っ。痛い。が、声を出せば周りが不安がる。

 プクゥ、と半球状の血が出てくる。

 俺は血をカードに押し付ける。


 するとやがて、カードに字が浮かび上がった。

_ _ _ _ _ _

〔ステータス〕

名前:龍騎 竜也

年齢:16

種族:人

《祝福》

作製者[未解放5]


《特能》

記憶

魔力操作


《称号》

異世界人、勇者

 ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄

 ……ぅ、え?

 なんだ、今の?

 血が広がって、血が文字に変わった?


「指をこちらへ。治しますので」


 俺が困惑しているところに、ニーナさんは俺の指を強引に自身の手元に引っ張る。


「癒しよ・来たれ = 『ヒール』」


 俺の指は光に包まれる。


「……え?」


 思わず、声に出てしまった。

 なんと、光が消えると指の傷は完全になくなっていた。


「え? は? ……え? 今、のは……」


かい一象いっしょう回復魔法ヒールです。魔法の中でも初歩的な魔法ですね」


 ま、ほう? そんな、馬鹿な……いやでも、今体験しちゃったし……うぇ?


「それで、カードの内容は?」


「え? あ、ああ。これか」


 俺はカードをハイラスさんに渡す。


「こ、これは……! 特能が二つも!」


「特能?」


 ああ、この記憶と魔力操作ってやつか?


「凄い、のか?」


「はい! どちらもサポートタイプですけど、特能が二つというのは過去の事例を見ても片手で数えられるほどなのです!」


 ハイラスさんが目を輝かせながら説明してくれる。


「さあ、他の皆様もどうぞ」


 ハイラスさんとは裏腹に冷静なニーナさんの言葉に、みんなもカードに血を垂らし始めた。


 * * *


 ……さ、て。あの話、勇者と魔王の話が現実味を帯びてきたぞ。そして、光はあの話を受ける積もりと言っていた。このままいけば、話を受ける体で事が進むだろう。

 別に、いつも光に振り回されている俺、力、木葉、聖だけならまだいい。いやそれもやめて欲しいが、あいつらも俺と同じことを考えているだろうし。だが、今回ばかりは普段やっているボランティアとは訳が違う。ここには、他8人がいるのだ。勝手に決めては悪い。


「……おい、おい。竜也」


 考え事をしていると、和田 風磨から声を掛けられた。珍しいな風磨から声を掛けてくるなんて。


「どうした? お前から声を掛けるなんて珍しい」


「ぅるせ。それよか光だ、光」


「光? アイツがどうかしたのか?」


「どうもこうもねェよ。アイツ、さっきの話多分受ける積もりだぜ? どうすんだ?」


 さっき? ……ああ、そうか。コイツはあの二人が話していたのを聞いていたんだったな。


「そりゃ、止めるつもりだ。受けるにしても受けないにしても、みんなで話し合わないとな」


「ふぅ、それを聞けて安心したぜ。そんじゃあな」


 それだけか。

 でもやっぱ、怖いんだろうな。

 絶対に、アイツを独断で走らせたりしない。俺は心に固くそう決めた。


「おお! これは、凄い!」


「ん?」


 ハイラスさんの声か? 俺の時以上にテンションが上がっているような気がするが?


「ギフトが! ギフトが真なる勇者ですと!? これは初代勇者様以来です! それに特能がみ、三つも! なんという奇跡なのでしょうか!?」


 へぇ、三つかぁ。誰……って、光じゃないか。まあ、それであってもあんまり驚いたりはしないがなぁ。どちらかといえば、『ああ、やっぱり』って感じだよな。


 神聖 光という男は神から二物も三物も与えられた超人である。問題を解かせれば学年一位。運動をやらせても学年一位。十人に聞けば十人はイケメンと答えるほどの美貌。完璧な正義感を持ち、イジメがあれば他学年であっても止めに行く。そんな、完璧に限りなく近い人間なのだ。


「これで皆様の鑑定が終わりましたね。では次はこちらへ。ご案内致します」


 未だ興奮しているハイラスさんを横目に、ニーナさんは俺たちに告げる。

 どこに行くんだ? 何も言ってなかったが……。


 * * *


 俺たちが案内されたのは、ズラリとテーブルと椅子の並ぶ部屋。テーブルには花が添えられている花瓶が一定間隔で配置されている。


「席はご自由にお座りください」


 ニーナさんがそういうので俺たちは適当に席に着く。俺の隣は木葉と光だ。

 さてさて、ここでは何をするのかね。


 本当はもう少し書きたかったのですが次話の説明を早い段階で入れておきたかったのでここまでにします。


 ここまで読んで頂きありがとうございました。「ここおかしくない?」という指摘や「ストーリー矛盾してない?」ということがありましたらコメントしてくれると幸いです。

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