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一話.プロローグ


「……ん、むぅ…」


 はっ、あぁ…。寝っむ。今何時だろ……。

 それにしても、変な夢だったなぁ。教室に隕石が落ちてきて、俺含めたクラスメイト何名かが死んで、女神様とやらに会って、異世界に勇者として転生するって。何処の小説だよ。

 まあ、俺はあんまりその手の小説は見ないから、あの後どうなるか何てわからないけど……クラスメイトたちと異世界は楽しそうだなぁ。


「さって、起きます……か?」


 ここで俺は初めて異変に気が付いた。


 自分の部屋じゃない。


 それどころか、見知った場所ですらない。辺りを見渡す。すると俺は目を疑う様な光景を目の当たりにした。


「おい、ひかる。……ひかる!」


 そこには俺の親友、神聖こうせい ひかるが横たわっていた。光だけではない。他にも何名ものクラスメイトたちがその場で横たわっていたのだ。


「おい、光! りきひじり! 起きろよ!」


 俺はクラスメイトたちの身体を揺する。


「ん、むぅ……なんだぁ、竜也りゅうや……あれ? いつの間にお前、僕の家に来たのか? 悪いが、冷蔵庫から水を」


 良かった、光に反応が!


「寝ぼけてないで! 起きてくれ!」


 光は身体を起こし、目を擦る。


「どうしたんだそんなに慌てて……らしくない」


「周りを見てみろ!」


 光は「周り?」と呟きフリーズする。脳の処理が終わったのか、数秒した後動き出した。


「皆!?」


 光はクラスメイトたちの元による。


「りゅ、竜也りゅうや。これは、一体……」


「わからない。俺もさっき目が覚めたばっかりだからな。取り敢えず、皆を起こさないか? 俺たちだけで考えるより、みんなで考えたほうが言いと思う」


「そ、そうだな。僕たちだけで出来ることには限りがあるだろうし」


 俺たちは取り敢えず皆を起こすことにした。起こしている時に確認したが、ここで横たわっているクラスメイトたちの中に息を引き取っている人はいなかった。


 それから、ここにいる人数は13人だった。驚いたのはその中に先生がいたことだ。俺たちのクラスの人数は37人。その中の12人と1人(先生)がここにいることになる。この12人は俺の記憶が正しければあの時教室に居た皆だ。


 あの時、とはあの夢の中だ。皆を起こす最中、光にもそれとなく聞いてみたがどうやら同じ夢を見たらしい。普通に考えるなら、あれは夢ではなく実際に起きたこと。同じ夢を、同じタイミングで見るなんておかしいだろう。


 それからこの部屋だが、見渡した限りなにもない。内装はシンプルで壁にランタンが無数に吊るされているだけの駄々っ広いホール部屋だ。階段も見当たらない。


 五分ほどして皆を起こし終えた。その頃には俺の頭もすっかり整頓され、寝起きよりかは冷静な判断が出来るようになった。


「さて。これからどうするか、だな」


「取り敢えず出口を探すか? まあ、探すとこなんて限られるだろうけど」


「まあ、ホール状の部屋ですからね。階段も見当たらない上、一見して、閉じ込められているような感じです」


 俺の問いに答えはのはりき木葉このはだ。

 りきは筋骨隆々の大男で背丈は180ある。それに加えて立派な筋肉だ。何も知らずに対面するとちょっと怖い。

 木葉このははショートボブの女子だ。家が剣道をやっていて本人もかなりの剣の腕がある。彼女曰く、幼少期から身内に丁寧語で話していたら普段口調から丁寧語が抜けなくなってしまったそう。そして俺の幼馴染みだ。


 にしても、閉じ込められる、か。確かにそれは的を得ているかも知れない。とても監禁するような部屋には見えないが、現に俺たちはここで何も出来ていない。


「……ああ! じれってぇ!」


 力が立ち上がった。


「あ、おい力!」


「大丈夫、周りを見てくるだけだ。頭を使うことはお前らに任せる。俺ァ考えるのは無理だ」


 力は、悪く言えば脳筋だ。成績も万年最下位だし、発想力も欠如している。全てを力で解決しようとする悪い癖がある。


「はぁ……どうしてもって言うなら、誰か連れていって複数人で見てこい。その方が安全だ」


「んーー、それもそうか。和田! 壁田へきだ! 行こうぜ!」


「うげ、りにもって俺らかよ……」


「まあ、ここにいても出来ることはないしな」


 そう言って二人が立ち上がった。

 和田は少し低めの身長に、不良のような髪をしているのが印象的で、サッカー部に所属していた筈だ。

 壁田へきだは和田よりも背が低く、目が細いのが特徴。和田と同じサッカー部で和田とはかなり仲がいい。


 俺は三人が離れているのを見送った。

 

「……あ、そうだ。誰かスマホ持ってないか?」


 俺の通っている学校はスマホの持ち込みが許可されている。まあ、休み時間中に使うことは出来ないが。


「あ、私持ってます!」


 手を上げたのは先生だった。

 先生の本名は教江 教佳先生。若い(25)ということも相まって生徒からの人気は他の先生より群を抜いている。身長は低く160ちょっと。丸眼鏡が愛らしい先生だ。


「マップアプリか何かで場所って分かりますか?」


「ええっと……あ、圏外、です」


 くぅ……だが、圏外になるほど離れた場所、というのはわかった。山中か、はたまた外国か。


「他は? 誰か持っ『うォ!?』て、力たちか!?」


 聞こえた方は……こっちか! って! 力たちの前に誰かいる!


「竜也はここにいてくれ! 僕が様子を見てくる」


 力の声を聞き反射的に俺が立ち上がると、光が俺に待ったを掛けた。俺が心中で呆気に取られているのを察したのか、光は竹刀を振り落とす動作をしながら口を開く。


「知っているだろ? 僕は剣道をやっているんだ。いざとなれば、太刀打ちできる筈さ」


 俺は心中「いや、竹刀とかないだろ」と思いながら皆で行く事を提案しようとすると、後ろから木葉の援護の声が掛かる。


「なら、私も行きます。私も剣道やっていますし、一人より二人のほうが安全です」


 心の中で「だから竹刀ないやろ」と思いつつ、皆で行く事を再度提案しようとしたがその時にはもう時既に遅し。二人は小走りで行ってしまった。

 


 二人が離れて一分ほど経過した。


「大丈夫、かな? 声とか聞こえないけど、何か話してるみたい」


 そう心配そうに言うのは神田 ひじり

 ひじりは茶髪のロングヘアーが特徴で、中学の時に親父さんの都合で家の近所に越して来た転校生だ。


 ここのホールは確かに広いが端が見えない程ではない。現に、光たちが謎の二人と話しているのはこちらから見えている。

 すると、二人が進んだ方向から声が聞こえる。


「おーい! こっちに来てくれー!」


 光が俺たちを呼ぶ声が辺りに響く。

 特にすることもなく、出来ることも無い為俺たちは光に呼ばれた方へと歩く。


 そして段々と謎の二人と近づいて行く。

 二人は黒いローブを羽織はおった金髪の男性と、黒髪の女性。二人とも日系人のような顔立ちだ。


「はじめまして皆様。自分は()()()()()()()()()()副団長ハイラス・バーダンと申します」

「同じく、王国魔法師団参謀ニーナ・ハイルベンです」


 男性はハイラスと名乗り、女性はニーナと名乗った。それよりも、王国だと?


「はじめましてして。龍騎たつき 竜也りゅうやです。マーナル王国、とは?」


「疑問は多々あるでしょう。全てをお話する前に、一度やるべきことがあります。皆様、こちらへ」


 こちらの問いには答えずに二人は歩き出した。


 ここまで読んで頂きありがとうございました。「ここおかしくない?」という指摘や「ストーリー矛盾してない?」ということがありましたらコメントしてくれると幸いです。

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