生き抜くために
主人公・ジンが文明を滅びた世界ので生き抜くために自分を助けてくれた大柄の男に教えを乞う。
ぐ~
大柄の男の元を去ろうとしたその時、オレの腹の虫が鳴き始めた。
「…」
「…」
気まずい沈黙が流れて、オレは恥ずかしくて下を向いていた。
「腹が減っているのか。」
「はい…朝から何も食べていなくて…」
「仕方ない。オレのメシを分けてやるから食べて行けよ。」
「いいんですか!?助かります。」
オレは大柄の男の提案を受け入れた。
本当に朝から何も食べれていなかったからありがたい。
「そろそろいいだろう。食べていいぞ。」
「いただきます。」
うまい!久しぶりにこんなまともな食事にありつけている。
しかし、食材が揃っているな。
米に肉に野菜。
どれも文明が滅びる前に食べていたようなものばかりだ。
まぁ、肉に関しては文明が滅びる前のように加工されているとはいかないが、
この状況では十分なおいしさだ。
「にしても、すごいですね。米とか野菜とかこんなにどうやって手に入れてるんですか?」
「自分で作っている。」
「えっ!?畑とか田んぼを作ったってことですか!?文明も滅びているのにすごいですね。」
「オレは世界がこうなる前からやっている。」
「そうなんですか!?」
「オレは文明が滅びる前から人と関わるのが嫌いでな。一人で畑を切り盛りして生活していたんだ。今はほとんどその財産に頼って生きている。」
「すごいですね。それなら一から作る必要もないし、文明も関係ないから滅びることもないですもんね。」
「まぁ、そういうこったな。」
「でも、人と関わるのが嫌いなのになんで助けてくれたんですか。」
「なんとなくだ。そもそも猪狩るのに気絶してるヤツなんか見たことなかったからな。なんとなくほっとけなかっただけだ。」
「ははは…そう言われるとなんだか恥ずかしいですね。」
「あの…」
「なんだ。」
「人が嫌いだって言ってるのに、こんなこと言うのも悪いんですが、生き方を教えてもらえませんか。」
「どういうことだ。」
「自分は誰ともグループを組めていないので、一人で生きる術が欲しくて…」
「そういうことか。だが、畑や田んぼの作り方は教えてやれないぞ。」
「なぜですか?」
「あれは一朝一夕で作れるものじゃない。ましてや、文明の力もなく、能力もないんじゃとてもじゃないが作れない。」
「そうか…」
「だが、狩りの仕方や食べられる野菜の探し方は教えられる。」
「本当ですか!?ありがとうございます。」
「あまり気は進まないが、一人で生きてその辺で死なれても嫌だしな。それにお前は他のヤツと違って相手を騙したりはしなさそうだ。」
「はい!恩を仇では返しません。よろしくお願いします。」
「だが、最低限を教えるだけだぞ。」
「はい!お願いします。」
こうして大柄の男に生きる術を教わる日々が始まった。
ここから大柄の男と主人公・シンの二人の生活が始まる。