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5/9

005話

アクセスありがとうございます。


☆★☆の間は、説明となっています。

◆◇◆の間は、登場人物のパーソナルなどに関わる説明になっています。

▽▼▽の下向きの三角は現実世界の始まり、△▲△の上向きの三角は現実世界の終わりを表しています。

▽▼▽


「ふぅ……フルダイブは、まだ慣れないな。体は動いていないはずなのに、かなり疲れてるな」


 そう呟いて時計を確認する。夕食を食べ終わったのが19時半で、決勝戦を見たのが大体20時半、そして今が21時半。試合は10分くらいで終わったから、ハジメと40~50分も話してたのか……俺たちも大概、暇人だよな。


 苦笑しながら、姉と妹の予定を確認する。


 予定確認とは、家族で共有しているスケジュール管理表に、ある程度の予定を入力するのが我が家のルールで、その中の入浴時間の確認である。


「ほのかは……夕食後に風呂に入ってるみたいだな。姉ちゃんは、今入ってて22時頃までか。じゃぁ15分くらいから入るかな。オカンは姉ちゃんの前に入ったみたいだし、オトンは今日は22時半過ぎに帰宅か。飯食って23時頃の入浴だろうから、その間に入らないとな」


 うちは、両親と姉、俺、妹の5人家族だ。


 杠葉(ゆずりは) (まもる)

 杠葉(ゆずりは) (りん)

 杠葉(ゆずりは) 愛花(あいか)

 杠葉(ゆずりは) (ほむら)

 杠葉(ゆずりは) 穂乃果(ほのか)


 上から、オトン、オカン、姉ちゃん、俺、妹の順だ。


 オトンは、普通の会社員だ。オカンもオトンと同じ会社で働いている。いわゆる職場恋愛の果てに結婚した2人だ。今は部署が違うので、仕事中に顔を合わせることは無いらしい。


 姉ちゃんの愛花は、俺の2つ上で同じ大学に通っている3回生だ。


 俺は、大学の1回生で、今年から大学に通い始めた。一般的に見れば遊んでいる方だが、ハジメのおかげで俺は、私立だが授業料の安い大学に通えている。


 竜胆(りんどう)大学という名前なのだが、竜胆(りんどう) 栄一(えいいち)氏が約30年前に作った大学だ。


 竜胆 栄一氏は、御年76歳の20世紀生まれで、1代で資産数兆円を超す会社を作り上げ、『優秀な人材を確保する』という名目で大学を作り、入るのが難関な大学として有名になった。だけど、この大学の卒業生で、竜胆氏の会社に入社する人間は5%に満たない。


 理由は、毎年1万人近い卒業生がいるのだ、いくら大きな会社とは言っても、毎年500人近い新人が就職する会社なんて、そう多くはない。それに、優秀であれば他の大学の人だって採用するし、中途採用だってもちろんある。


 でも、ごく一握りの卒業生を得るために、残りの在籍中の俺たちも学費が安くなるのだから、ありがたい話である。


 っと、話がそれたな。


 妹の穂乃果は、今年高校2年生のピッチピチとか言っている痛い妹だ。だけど、姉に似て頭がいい。姉弟の中で頭が一番悪いのが……俺だったりするのだ。


 それでも成績上位者でいられたのは、ハジメのおかげだろう。感謝してるぞ! 明日、一発は殴るけどな。



 姉ちゃんの後に入浴予定を入れといたら、呼びに来てくれた。


 コンコンッ!


 部屋をノックする音が聞こえた。


「フレア、入るわよ。あんた、次に入浴するんでしょ? あがったから入っていいわよ」


「……いつも言うんだけどさ、何で服着ないでバスタオルだけ巻いて家の中を歩くんだ? 恥ずかしいとは思わないの? 大学で友達に姉ちゃん紹介してって言われるけど……この姿を知っている弟からすると、どうなんだろうって思うんだけどな」


「裸じゃないんだからいいでしょ。それともなに、お姉ちゃんの裸が見たいとか? まったく、スケベフレアなんだから、このこの」


 タオルを巻いたままパンツだけはいている姉が、俺の頬を突っつく。


「いや、姉ちゃんの裸なんて見飽きたよ。去年までタオルすら巻いてないで、風呂上がりパンイチでウロウロしている姿を見て育ったんだぞ。なんとも思わんわ!」


「スケベな弟で困るわ。お姉ちゃんの裸姿を覚えているなんて……どうしてこんな子に育っちゃったんでしょ?」


「ほのか~、姉ちゃんをどうにかしてくれ~」


 姉はお風呂に入る前にお酒を飲んだらしい。ちょっと酒の匂いがしているのだ。こうなると面倒この上ないので、妹に助けを求める。この様子だと、オカンも食後にお酒を飲んだのだろう。捕まらないようにしないとな。


 姉ちゃんは酒を飲むとこんな感じで俺に絡んでくるのだ。素面でも、結構かまってくるのだがここまで酷くはない。オカンの方は、抱き着き癖があるのか飲むとガッチリホールドしてから眠ってしまう。引き剝がそうにも、何をどう固定しているのか、抜け出すのにかなり苦労する。


「お姉ちゃん、また飲んでるの?」


「ヒック、飲んでないよ」


「お兄ちゃんが迷惑してるから離れて! お兄ちゃんは私の物なの!」


「おぃ! 面倒なこと言うな。それに物扱いするな」


「何よ、ほのか。フレアがアンタの物だって? 私の物に決まってるじゃない! 退きなさい」


 この妹も妹で、姉や俺をからかうために、こういうことを言うことがあるのだ……それがまさか、今日だったとは。


「聞き捨てられないわね! フレアはアタシの物よ!」


 ここにきて、母親まで参戦してきた。マジ面倒なことになってきた! 世間一般の家族よりは、仲がいいと思う。3軒先のハジメの家族も仲がいいのだが、話をする分に俺の家の方が仲がいいらしい。


 ちなみに、俺の両親もハジメの両親も4人とも、竜胆氏の会社の同期である。さらに言えば、竜胆大学の初代卒業生だ。


 仲が悪いより良い方が断然いいに決まっているのだが、時間的に早く逃げないとオカンに捕まってそのまま一緒に寝る羽目になる。


 ピーンポーン


 あーだこーだやっている内に、オトンが帰ってきたようだ。


「リビングに誰もいないと思ったら、またフレアの部屋で誰の物とかやっているのか……まったく、凛、お腹が空いたからお前の美味しい料理を食べさせてくれ」


「あら、あなた。おかえりなさい。まったく、愛花も穂乃果もフレアが私の物だって分かってないのかしら? 愛花だって穂乃果だって私の物なのよ!」


「はいはい、分かったよ。子供たちが可愛いのは分かったけど、その10分の1でいいから私を見てほしいものだね」


「もう、何言ってるのよ。あなたが一番に決まっているじゃない。今、温めなおすから待っててね」


 もうすぐ50になるのに、仲のいい夫婦だとこと……でもさ、オカンだけじゃなくて、他の2人も引き取ってくれないかな?


 結局俺が解放されたのは、オトンが帰ってきてから30分後だった。


 解放された理由は、姉ちゃんが眠ってしまったからだ。俺のベッドで……穂乃果は、散々酔っぱらった姉をからかって楽しんだ後、「宿題あるから~」と言って、姉ちゃんを放置して部屋へ戻っていった。


 今日は、リビングで寝る必要がありそうだな。


 風呂に入ろうと思ったが、既にオトンが入っており出てくるまでリビングで過ごすことにした。


 オカンは、オトンの食事を温め終わった後、ベッドへ連れて行ってもらったようだ。他の家では知らないが、うちの両親は同じベッドで今も仲良く寝ている。たまにそこに、姉ちゃんや穂乃果が混じることもある。娘に嫌われなくてよかったな、オトンよ!


 姉妹の相手をして疲れた俺は、ネットに接続して【ANYTHING(エニシング)】について、調べてみることにした。


 気になるのは、ANYTHING(エニシング)の動画だ。今まで見ていなかったので知らなかったが、かなりの数の関連動画が存在していた。


 どんな動画を調べるか……と思った時に、よく考えたらあのゲーム内で知っているのって、ハジメだけだったわ。ということで、あいつがどんな配信をしているのか気になったので見てみることにした。


 流し見をしてみたが、本当に雑談だけだった。だけど、自分から話題を振るだけじゃなく、しっかりとリスナーからの話にも答えていた。途中でリスナーと合流して、クエストを受けている配信もあったな。


 ん~俺はこんなに器用じゃないと思うから、こいつの真似はできないだろうな……真似ても、同じようなネットプレイヤーは沢山いるだろうし、埋もれるだけだよな。


 次に『初心者』で検索してみると、予想以上に動画や配信ログが出て来た。ソート(並べ替え)してみてわかったのだが、最近のは少ないな。


 このゲームがリリースされてからすでに5年が経っている。初期に比べれば、遊べるコンテンツが増えている。マップやダンジョンなども追加されていたり、ゲームの中でできることがどんどん増えている。


 それを考えると、初心者が少ないのは仕方がない気もする。嘘か真か、日本の人口が1億2000万人の現在、登録ユーザー数ではなく、定額支払者数が3000万人を超えているとか……人口の4分の1近くの支払者数がいるという、馬鹿げた数字である。


 これだけの人数がすでに利用しているのであれば、新規加入者は少ないだろう。


 それでも、ここ1ヶ月で配信している初心者が50人近くはいるっぽいな。全体でみると、5万人ほどがネットプレイヤーとして活動しているようだ。動画あげたり、配信をしていたりするだけ、という人であればもっと多くなる。


 5万人のネットプレイヤーがいるとはいえ、この中でこの収入だけで食べている人なんてほとんどいないだろうな。それこそ一摘みってところだろう。それでも、お小遣い程度は稼いでいる人は、それなりにいるんだろうな。ハジメの件もあるしな。


 っと、オトンが入浴から上がったようで、俺を呼びに来た。できればゆっくり入浴したかったが、明日は朝食の当番だし、1限目から講義があるのでさっさと寝ないと朝が辛い。


 ささっと入ったが、それでも30分ほどは入浴していたかな? うちの家では、最後にお風呂に入った人間が湯舟を洗って出るのが決まりなので、ベッドに入る頃には日付が変わろうとしていた。


 湯舟に付く汚れは、温かいうちの方が落としやすいので、お風呂から上がり軽く湯舟をスポンジでこすってからお湯を抜く。お湯が抜ける間に体を洗う場所の床を洗ってから上がる支度をして、お湯が抜けたらシャワーで流し、最後にもう一度洗剤で洗って流して、浴室乾燥を時間設定でかけて終わり。


 うちの家族の女性陣は、お風呂の後に洗いたくないので、早めにお風呂を済ませる傾向にある。なので基本的に洗っているのは、俺かオトンのどちらかである。仕事から帰ってきて疲れているのに、お疲れ様です。まぁ、仕事が休みの日はオトンが絶対に1番風呂なので、俺が洗うことになるんだけどね。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

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