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転生した私はバイプレイヤーで満足です  作者: 乙 麻実
バイプレーヤーは目立ってはいけないと思います
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不本意ながら・・・お手伝いさせていただきます

「・・・チッ・・・使えない 」


( ちょっと、何? 今の!! 舌打ちした?? )


さっきから乾燥した草・・・薬草と絵入りの書物を見比べながら右往左往していた秀鈴は、書物から視線を舌打ちした主に向ける。


薄いブルーの汉服ハンフーを着た白銀色の長髪に色白の肌のその人は、そんな毒を吐くようには全く見えない清楚な佇まいで書物を読まれている。


ここに3日に1回通うようになり10日が過ぎた。

割烹着様の白衣を身に着けた助手の1人が、この治薬院に初めて出勤した日から秀鈴の面倒を見てくれている。ここはいわゆる東洋医学の医院だ。生薬を製造して薬を作ったりしている。


「 薬剤師じゃないんだからさー、無理だっての 」


顔はいいけど性格は陰険で最悪だ。自分を完全無視する宋先生の背中に向かいブツブツ愚痴をいいながら、生薬の材料を小分けしていく。


「 なんかいいました? 」


助手のリャンがミカンの皮みたいな生薬を籠に移し替えながら振り返る。亮は秀鈴と同じくらいの歳だと思うが真面目で大人しく幼く見える。


「 え? いえなんでもないです 」


亮に向かって作り笑いをして答える。


「 あ、ああ。ならいいですけど 」


身長は低めで秀鈴より少し高いくらい。武官でもある光偉とは違い彼は治薬院の調剤師らしくひょろっと男子だ。こうして目が合うと赤面して恥ずかしそうに口籠ったりする。


「 これって何? 」


木くずみたいなものを手ですくって見せる。


「 それは『葛根』です 」

「 『葛根』て風邪ひいたとき飲むやつ? 」

「 はい、大正解です よくご存じですね 」


彼は目を見開き感心したように拍手をしながら言う。そして、すごいとか天才とか賞賛し始める。


「 褒めるほどのことではありません 」

「 褒めると調子に乗るぞ 」


静かな抑揚のある低音の声とやや高めの張りのある大きな声がハモる。低音の声の主はもちろん宋先生だが、大きな声の主は、


「 どうしてあん・・・貴方様が? 」


光偉だった。秀鈴は『どうしてあんたがいるの』と叫ぶところを傍目を気にして言い換える。2人で会っているときは言いたい放題だけど、この光偉、身分としたら秀鈴が話しかけられるような人物ではないからだ。


「 様子を見に来てやった。ちゃんと働いているか? 」

「 (余計なお世話だよ) ご心配していただきありがとうございます (不本意ながら)なんとかお手伝いさせていただいていますからどうぞお帰り下さいませ 」


礼儀正しく笑みを顔に張り付けて光偉にお礼の言葉を伝えつつ嫌味も盛り付けて言ってやる。それを聞いて3人3様の表情を見せる。


「 秀鈴さん・・・」

そんな言い方していいの?と怯えた子犬のような顔してこちらを見る亮。


「 ・・・ はぁ~ 」

呆れた様な顔で目を反らす宋先生。


「 おお、そうか。 頑張れよ 」

よしよしと秀鈴の頭を撫でて、笑顔で励ます光偉。馴れ馴れしいというか、他人が見てますから誤解されたらどうするんだと秀鈴は光偉を睨む。それでも彼は全く気にしないで白い歯を見せて笑顔だ。

意志が強そうな濃い眉に大きな瞳、鼻・口も形よくくっきりとした顔つきだ。


そんなスポーツマン系のイケメンの笑顔は、普通の女子であれば破壊的にメロメロにされるだろうが人となりを知っている秀鈴は騙されない。ムッとした顔を隠せなくなる。


「 いい加減にしなさい 」


無言でやり合う2人に宋先生は釘を刺して制すると、


「 光偉殿、ご用件は? 」


光偉に向かい言う。さっきまで秀鈴とじゃれ合っていた光偉は、表情を引き締め宋先生に視線を向けるとここに来た本当の用件を伝えるのだった。





また、お願いします

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