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転生した私はバイプレイヤーで満足です  作者: 乙 麻実
バイプレーヤーが巻き込まれてしまっています
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ホラーなオッドアイ

新たな登場人物が出てくるので今までと矛盾しないようにと思っています。

意味不明なときはご一報ください。


「 大丈夫ですか? 」


 右手の路地から聞こえた女の悲鳴を聞き駆け付けた秀鈴は、地面に力なく蹲る女性の肩に触れながら声を掛けた。

 さっき一瞬見えたのは背の低い男ともみ合いになっていた。その前に何があったかわからないし、彼女が男から暴力を振るわれたのかどうかも分からない。今、秀鈴の隣りを歩いていた光偉が逃げ去ったその男を追いかけていて、ここに今はこの白いシルク生地のサリーに身を包むほっそりとしたその人(女性)と2人きりで残された。


「 あ・・・ありがとう・・・ございます 」


 顔を上げた女性の顔には面紗で覆われて表情は読み取りにくいが、小刻みに震える肩から彼女の恐怖心が伝わってきた。

でも、それは彼女が顔を上げるまでのこと、


( うわ、綺麗な瞳 )


 ゆっくりと伏せていた眼を開けて長いまつ毛をパチパチと数回瞬いた後に視線が合えば、その瞳の色が青と黄色の左右違いのオッドアイなのに圧倒される。


「 あ、あの、、、た・立てますか? 」


 吃ってしまった。弱々しく感じたのが嘘のように、彼女の瞳は真っ直ぐに秀鈴を射抜く変な力がある。それに彼女の顔は面紗で隠れている分からないはずなのに、口元に笑みが浮かんでいるそれが分かってしまう。


( やだ、この感じなんか覚えがある )


 いい意味じゃなくて、どちらかといったら背にじっとりやな汗を掻くようなやな感じ。

瞬時に彼女の肩に触れていた手を引っ込めたかったのに、真っ赤なマニキュア…この世界だとなんかの染料?が塗られた長い爪の指先に捕えられてしまった。


「 危ないところを助けていただき、ありがとうございました 」

「 あ、いえ。助けたのは私じゃなくて… 」


 さりげなく彼女の手からそっと手を引っ込めようとしたが、反対に握り締められてしまって逃れられなくなってしまった。


 それどころか手を彼女の方に引き寄せられてしまい、彼女の顔がすぐ目の前にある。引き込まれそうな美しいオッドアイに、赤をベースに原色で彩られたアイシャドーはオークルの肌色にとても似合っている。ずっと中華系.東洋系世界の中に馴染んできたのに、急に舞台が変わったのかと混乱してきた。


「 私の名前は蕣花シュンカ。この御恩は必ずお返ししますね 」


 耳元に口元を寄せて彼女が歌うように囁く。笑みを含むような声音は、自分が男だったらすっかり虜になるんじゃないかと思うほど魅惑な響きがある。耳から聞こえているのに脳神経に強制的に直接伝達されるようなそんな支配され感に襲われる。


「 … お礼なんて 」


 そんな彼女の雰囲気に気圧されながらもなんとか丁寧にお断りしたかったのに、道向こうから走って戻ってくる光偉の姿がボンヤリ見えた途端に消えた…。


 今の今まで自分を抱きしめれるほど近くにいたはずの蕣花の姿が、漫画か映画みたい・・・ホラーに目の前から消えてなくなった。


( な? なに? )


 一瞬にして全身の毛が総立ちになる感じで鳥肌が立つ。


『 すぐにまたお会いしましょう。秀鈴さま… 』


 彼女の姿が見えなくなった後に囁くように小さな声が、秀鈴の髪を揺らすそよかぜに乗り耳に届いた気がした。




「 秀鈴 大丈夫か? 」


 駆け戻ってきた光偉に腕を掴まれていなければ地面に崩れ落ちていたかもしれない。思い出したくないあの出来事・・・巫覡事件のことが蘇ってきて、秀鈴は寒くもないのに震えていた。


「 しっかりしろ!俺がいる。大丈夫だ 」


 息が上がり蒸気する頬、心配気に寄せられた力強い眉に意志の強そうな黒い瞳が普段見せない焦りを含み深刻な色を呈していた。崩れ落ちるすんでのところで抱き留められた秀鈴は、今光偉の腕の中・・・抱き寄せるみたいに抱きしめられている。ここは街外れとはいえ首都の彩都さいとだ。誰が見ているか分からないのに、一介の侍女という立場の秀鈴と国の大将軍の御曹司の光偉の熱い抱擁。誤解されちゃうじゃないか!


「 ?! 」


 それなのに彼はまったく気にしないばかりか、それだで終わらず『 怖かったか? 』『 安心しろ俺がいる 』とか、慰めるみたいに囁きつつ秀鈴の頭を撫で撫でしてくるじゃないか。


「 ちょ・ちょっと やめてよ 」


 今あったホラーなことに思考が停止していた秀鈴もこんな訳の分からない甘々濃厚接触に、急激に正気に引き戻され彼の固い大胸筋に両手を当てて押すがまったくビクともしない。光偉は反対に逃さないとばかりに腕を込めて締め付けてきた。これじゃあまるでプロレスの技みたいだ。


「 ちょっと、ギブギブ。あっっ も~ 離してってば 」


 秀鈴は咄嗟に『ギブギブ』と叫んどいてこれは通じないと気が付き言い直す。締め付けられ過ぎで息ができないからもう一度力を込めて押しやると、やっと満面笑みの彼が放してくれる。でもなぜか手を握ったまま離してくれない。彼はあの事件から2年も経っているのに守りきれなかったことを悔いているのかもしれない。秀鈴に何かあると心配そうな顔をして必要以上の過保護になる。結局、お使いの間中、光偉は秀鈴の手をずっと離さず握ったままだった。


お読みいただきありがとうございます。

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