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魔方陣

 その部屋はただ広い石畳に明り取りの窓が一つだけある殺風景な部屋であったが

 描かれた魔法陣は魔王アガレスの魔気に反応し青白い光を放っていた

「じゃあ リスト はいろ」

 なんの動揺もないように見えるラミスは僕の手を離さずそう言った

 儀式は淡々と行われる

 僕達が魔法陣の中央に来るとアガレスちゃんが魔王の杖を掲げながら詠唱を始める

「魔王のアガレスが アガレス故に 魔王であるがゆえに アガレスの名において 魔王の名において ラミスの命と引き換えにリストを逆召喚する」

 そして呪文を唱えながらラミスに合図を送る

 ラミスはどこからか取り出したナイフで自分の手首を切り魔法陣に捧げる

 痛みに少しだけ顔を引きつらせたラミスを見たとき僕は思った

 間違いだった 間違いだった ここにきたのは 間違いだった

 なぜ ラミスとこの世界で一緒にいる選択をしなかったのだろう

「リストのこの世界での業を力を痛みをすべてラミスへ」

 アガレスちゃんがさらに詠唱を早める

「ラミス」

 僕は叫ぶ

 だが 重なった月の光が明り取りの窓からさしこみ魔法陣へ降り注いだ瞬間僕らの動きは封じられ徐々に消えてゆく

「リストまだいる?」

 その声は穏やかで優しい

「ラミス」

「リストいる?」

「ラミス」

「リスト」

「ラミス」

「リスト」

「ラミス」

「リスト」

 自分たちのの意識が無くなるまで名前を呼びあった

 それしかできなかった

 そして意識の無くなる瞬間どこかで声がしたような気がした

「アナタがそれを望むなら私は強く汚い魔王にもなろう、アナタがそれを望むなら私は弱くて優しい貧者にもなろう、アナタがそれを望むなら私はあなたのそばにいよう、だから願っていて私とともにあることを・・」

 そして僕たちは魔法陣から姿を消した

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