手紙
手紙はアガレスちゃんからのものであったがいつも送ってきていたピンクの触鬼フライパンダの図柄入りの可愛らしいものとは違い
裏には朱のろうの上をアガレス家の紋章で封印した無地で黒い封筒だった
手紙を受け取ったのはタマちゃんだった
「これ 魔王が相手に最大限の敬意を払って送る時の手紙にゃ ラミスにゃにかしたのか?」
タマちゃんがそういいながら手紙をラミスに手渡す
「あとで 読むね」
そう言って封も切らずにラミスは手紙をポケットにしまった
そしていつものバーベキューパーティーは続く
アガレスちゃんからきた手紙の内容を僕はなんとなく悟った
できるだけみんなに悟られぬようにできるだけみんなに優しくしてあげられるように
できるだけ穏やかにいられるようにここで過ごした日々を感謝の行動に変えて
このパーティーのほんの少しの時間しかないけれど、なにもできないけれど
みんなにありがとうと言いたかった
そんなもどかしい僕をなにも言わずただ優しい目をしてラミスは見ていた
いつもと変わらぬパーティーを終えいつもと変わらぬ別れがただあった
そして皆が帰った後片付けを終えラミスと二人黒い手紙の封を切る
「3日後、2つの月が重なる刻限 魔王城にて逆召喚の儀を行います アガレス」
書いてあったのはそれだけだった
その日僕らは手をつないで眠った




