魔王城の憂鬱
「むふふ この薄汚い強欲な王に比べなんと美しいことよ 妾はリストがたどり着くのをたのしみにしておるぞ」
漆黒のドレスをきた美少女魔王ラミスは怪しく光る水晶をうれしそうにのぞきこむ
ラミスは悪ではないがその強すぎる力故に魔王と呼ばれる
もはや破壊や蹂躙はもう面倒だけのなにものでもない
数千年前、我が欲の為に絶対的な力でほとんどのものを蹂躙し尽くしこの世界を我が物に
しようとしたのであったが神との戦いによって女系の神罰をあたえられてしまったのだ
しかし神もその時の戦いの痛手は大きく
その後おたがい干渉をできるだけ避けるという暗黙のルールが
できあがり今に至っている
精神年齢お年ごろのラミスに残ったのは孤独という枷であった
弱すぎる人間の男たちは自分と相対するだけで怯え竦んでしまう
数千年前の蹂躙の再来を恐れた人間たちは忖度し魔王討伐という名において独身勇者一行パーティーを
結成させ一年に一度程度魔王に相対しても怯えることのない装備と力で送り出していた
なぜ大義名分が魔王討伐なのかは人間側の大人の事情であることは察するに優しい
いや...広義でいえばラミスを討伐(落とす)するのが目的なのにかわりなかろう
しかし何分にもパーティーは熟年ツワモノ揃いのごつい輩ばかりでラミスのお眼鏡に叶うものは
いままででてきていなかった
しかしいつか必ず自分の王子様が現れると信じていた
ラミスは毎年自分にできる最大限のおもてなしを用意してきたのだった
そんな唯一の楽しみの年間行事がある時を期にぱたりとなくなってしまったのだ
密偵をおくり調べた結果、王自らが横領を働きしわ寄せとしてこの年間行事が削られたというのが
真相であったようだ
「くっ 人間どもを信用していればこのことよ.... 」
報告をうけたラミスは涙目でサンドバックをたたくのであった
いっそのこと国ごと滅ぼしてしまおうかと考えたのだが神との暗黙のルールもひっかかり
思案していた
そんなラミスをみかねた家臣であるカンナとナベンナは女王のため一族のためと
ラミスのパートナー探しをかってでたのであった
ラミスの力により現世と異世界ともにもっとも自分に適しているであろう血をさがす
カンナはその血を自分の身を持って召喚しナベンナはその血をラミスにもっとも好まれるもの
とするために働くのである
ナベンナにとって難しいのはラミスの最も好むもの=傀儡ではないということだ
ゆえに大掛かりな脚本を考えプラゴミン討伐を最終テストの判断材料としたのだった
たとえ数十年かかろうとも・・・永遠を生きるラミスにとってそれは取るに足らない時間なのだから