朝食ー出発
おいしそうな焼き立てのパンの匂いが部屋中に広がっている
席に座ってどこでもありそうな普通のパンとみたこともないフルーツが並んでいる
「どう? リストちゃん おいしいでしょ?」
なべちゃんが反応をみるため覗き込んできた
「はい とてもおいしいです」
「こんなに親切にしてもらってどうやってお礼をいえばいいのか・・・」
「リストちゃん あらたまらなくてもいいよー こっちが無理に呼んじゃったんだからさー」
カンナは少し憂いをおびた視線を一瞬食べ物に落としたがすぐに顔をあげ
「森に行く前に装備を整えたいんだけどー リストちゃんの属性もまだわからないからー
まあ 竜車のなかでおいおい話すからー」
竜車という言葉に聞き覚えがなくなんだろうかなとおもいつつパンをほうばる
「そうね 武器にはきちんとした属性を付与しておかないと苦労するわ
あと、もう一人パーティーに入ってもらう人を街の途中で拾って紹介するわね
時計台で待ち合わせしてるのよ」
「あとーレベルがあがるとースキルポイントが手に入るからーそれをうまく使ってね」
メニューはこうやって陣を描いてメニューオープンで開くからあとでみておいてー」
穏やかな朝食の時間が過ぎていった
部屋へ帰るとリストは早速メニューを開いてみた
「メニューオープン!」
「おおおお」
目の前にに開くよくある感じのUIがでてきた
自称ゲーマーのリストには今までの経験上どこに何をすればいいのかが
自然とわかる
「ふんふん ここにあるスキルにポイントをふれば使えるようになるんだね」
昨夜の講習?のおかげか魔法系スキルにはたくさんの魔法名が薄字で羅列されていた
「このカーソルをこっちに・・・なるほどなるほど」
いろいろと動きを試してみた。振るべきスキルポイントはどうやらまだないようだ
「どうやったら 経験値はいるのかな...やっぱり魔物と戦うのかな」
・・・魔物と戦うなんてことはできれば避けたいなとおもうリストであった
なべちゃんが準備ができたと部屋に来たのはそれから2時間ほどした頃だった
裏庭に案内されそこにいたのは一頭の竜だった
「リストちゃんこっちにおいで この子かわいいでしょ」
なべちゃんはそうゆうと竜に頬ずりした
竜のほうもいやがるそぶりもなくうっとりと目をとじてグググと喉をならしている
朝食のときの竜車という聞き慣れない単語を理解した
かわいいでしょといわれても噛みつかれそうで怖い
しかし元の世界の馬のような存在であるならばこの期になれておくほうがよいかなとおもい
そっと手を出した
「ガブッ!」
意地悪そうになべちゃんがそんなことを大声でいった
あわてて手を引っ込める
涙目でなべちゃんに目をやり
竜をみるとこちらの怯えを知ってか
そっと目を閉じた
「ほら 頭なでていいよっていってるわよ」
もう一度そっと手を出す
「ガブッ!」
今度はカンナが後ろからそんなことをいったが今度は手を引かないでそっと
竜の頭を撫でてみた
竜は目を閉じたまま手に頭をすりつけてきた
「ははは リストちゃん ごめんごめん」
「ごめんねー 」
「しかし ここまでこの竜が気を許すとはおもわなかったわ」
なべちゃんは竜車をつなぐ手綱の手入れをしながらそんなことを
つぶやいた
「さあ準備できたわよ 乗って乗って」
旅のはじまりだ