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転生したので狂信します  作者: 枝無つづく
六章:祀ろわぬ『御使い』

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第179話 偽薬効果

side 日暮蓬


「まず前提として、マスターは『守護者が暴走しているとしたら、その主にとって「有害な存在」の判断について設定ミスがあるのかもしれない』、そう仮説を立てていたのよ。ま、他にも仮説はあるけど、その中でもそれなりに有力な説としてね」


 狂信者さんが『準備は任せてしまったので』と言って実験の片付けをしている間に、私の前に座ったテーレさんが今回の実験の意図を説明してくれた。

 それに、医学的な知識も持っているテーレさんの方が質問にも答えやすいだろうという意図もあるらしい。というより、狂信者さんは思考の仕方が他の人と少し違うからそういう説明が苦手だとか。


「『防御設定が過敏になっていて触れるもの全てを有害指定してしまう』……それは『守護者が勝手な判断で主を苦しめている』っていうのとは似ているようで違った状況よ。後者だったら転生特典の欠陥でクレーム出せば済むけど、そうなってないわけなんだから。そして前者であったとして、どうして過剰反応してしまう設定になっているかがわからなかった。転生特典の初期設定がおかしいっていうのもそうそうない事態だから……まあ、私が言うのもなんだけど」


 そう言って目を軽く逸らすテーレさん。

 狂信者さんの話でもうまく行かなかった時期があるっぽいこと言ってたし、何か転生特典としていけないことをやったことでもあるんだろうか。

 今見る感じだとピッタリの組み合わせ、割れ鍋にとじ蓋って感じだけど。


「つまり、私の転生特典は設定不良とかでもなかったってこと?」


「ええ、あなたが正直に話してくれたことでマスターには見当がついた……あなたの守護者は、あなたが触れる全てを燃やして台無しにしようとしていたわけじゃない。ただその特性の応用で『熱消毒』をしていただけなのよ。あなたの身体にとってはそこらの雑菌でも極めて有害になると『正常な判断』をしてね」


「せ、正常な判断って……いくらなんでも、全部燃え尽きるまでやらなくてもいいんじゃ……」


「そこら辺は守護者のパワーと引き換えに精密性が死んでるせいじゃないかしら。有害物を完全にスルーするか完全遮断するかでいったら守護者としては完全遮断しかないわけだし。あと、気付いてないかもしれないけど、あなたの身体の表面には今もすごい高熱の膜みたいなものがあって呼吸する空気すら瞬間滅菌してるわ。その圧倒的な熱量を無駄遣いするみたいに、消毒でナパーム弾を使っているみたいなものね」


 パワーと引き換えに精密性が死んでいる。

 そう言われれば、返す言葉もない。器用か不器用かで言えば、私の魔人は『極端に不器用』であることはどうやっても否定できない大味にも程がある能力なのは一目瞭然だ。


「さながら完全防護服、いえ、『歩く無菌室』ってところかしらね。そして、それはしっかり消毒した無害なものが出入りする瞬間だけ、通過に最小限必要な分だけ穴が空く。さすがに、石とか枝とかの自然界の雑菌が内部の奥底までへばりついてそうなものは消毒液にちょっと漬け込んだくらいじゃ無害だとは判断されないみたいだし、生物や食べ物は体内に常在菌なんかを持ってるのが当たり前だからダメみたいだけど」


 確かに……私はこの世界に転生してから、一度も病気になっていない。寝不足とかでの不調は感じたことがあるけど、雑菌とかが原因になってそうな腹痛とかもない。


「普通なら毒薬とか有毒ガスとか、そういうのを防ぐための機能だけど、本体にとってはあらゆる物体が雑菌まみれで毒が塗られているような状態だったから、過剰に反応した。そう仮定して、マスターが提案したのがさっきの実験よ。ちゃんと消毒した直後のものなら、有害指定されないんじゃないかっていうね。実際その通りだったわね」


「それじゃあ……」


「寝てるときに勝手に動くとかは別の設定を見直さなきゃいけなさそうだけど、とりあえずまともに物を触れないっていうのは、何とかできると思うわ。マスター、例のあれちょうだい」


「はい、こちらですね。どうぞ」


 片付けをしていた狂信者さんが小さな瓶と小さなガラスの皿を手渡す。

 テーレさんはその二つを受け取り、ガラスの皿の上に地面の小石を一つ拾って乗せ、瓶から数滴の液体を垂らした。

 すると……ジュワジュワと音を立てて、石に穴が空く。一目見てわかる、強酸か何かだ。

 反応を見つめる私に、狂信者さんが声をかける。


「はい、見ての通り下手に触っちゃいけない系の毒薬です。しかし、ご覧下さい」


 テーレさんが、今度は自分の手に一滴、その毒液を垂らした。あわやテーレさんの手にも穴が空いてしまうかと思ったけど……なんと、毒液は肌の表面で弾かれて何ともない。


「この髪留めよ。防毒、防汚、防菌のマジックアイテム。厳密には『質量制限付きの対有害物質障壁』ね。普通の物理攻撃には全く意味ないけど、要するにフィルターだから障子紙で問題ないの。魔力消費もほとんどないし、細菌とかについての知識があるあなたなら多分一発で発動できる。まあ、魔法の力ですごく高性能になったマスクだと思ってもらえばいいわ。呪毒や転生特典由来の生物兵器でもなければ風邪予防率百パーセントのね」


「え……すごい……」


 ゲームで言えば『毒・病気を無効』のエンチャントアイテムみたいなものなんだろうけど、現実として目の前に出されるととんでもないものだ。

 テーレさんが付けてた髪留めがそんなすごいものだったなんて……


「ただし、私の医療知識込みでのハンドメイドだからまだこの世界の技術じゃ量産できないし、病魔や生物化学についてある程度の正しい認識を持ってないと使えないけど……日本からの転生者なら使えるはずよ。だから、同じのあげるわ。量産はできないけど、ちょうど素材が残ってたから」


 そういって、テーレさんは狂信者さんの差し出した消毒鍋からピンセットで取り出した髪留めを私の前に掲げる。

 テーレさん自身の髪留めは髪を一つに束ねるシンプルなリボンみたいなものだけど、目の前にあるのは二つの小さな球みたいなものが付いたタイプ。ちょっとオシャレな店とかで売ってそうな、女の子らしいアクセサリーみたいなデザインのやつだ。


「常時発動を前提に負担軽減のために二個連動式に調節、耐熱術式の回路を球体内に外付け、もちろん有害物質不使用だから、もし子供がのんじゃっても窒息以外の危険はなし。これを一晩で作れって言うんだからマスターも無茶言うわ……まあ、できるんだけど。ほぼ徹夜したわ」


 言ってることはちょっと難しいけど、要するに高性能な代物らしい。

 でも、詳しい医術もマジックアイテムの仕組みもわからない私には理解できなくても、専門知識を持ったテーレさんがそれだけ本気で作ってくれたものなら、きっとすごいものなのだろう。


「そ、それじゃあ……これをつければ、魔人も何でもかんでも熱消毒しようとはしない?」


「そのために作ったのよ……つけてみなさい。患者に必要な処方箋を用意するのも医術者の役目なんだから。後は患者自身がちゃんと言いつけを守って治りたいと思うかどうかよ」


 おそるおそる、髪留めを受け取る。確かに何か球の部分に仕込まれているのか、見た目より少し重い。

 ちゃんと消毒されてるからか、私が手に取っても燃え上がったりしない。髪留めなんて初めてだから少し手間取りながらだけど、髪をまとめてみる。私の髪は少し癖があるしそんなに長くないから左右の上の方でほんの一部を括って持ち上げたツーサイドアップって髪型……だと思う。アクセサリーとか初めてだから合ってるかわからないけど。


 何かが変わったようには感じない。

 これで、本当に……


「日暮さん、信じてください。さあ、この手を」


 テーレさんが引き下がり、狂信者さんが私に近付いて握手を求めるように右手を伸ばす。今度は手袋をしていない、素手だ。

 もしも、テーレさんの作ったアイテムがちゃんと機能してなかったら、狂信者さんの手が……


「本当に……いいの?」


「ええ、何も怖いことはありません。私はテーレさんもあなたも信じていますから」


 迷いのない答え。

 私が少し手を近付けても、狂信者さんは一ミリたりとも手を引こうとはしない。変わらぬ笑顔で私からその手に触れるのを待つ。

 もしも、狂信者さんから近付いてきたら、魔人はそれを『攻撃』だと思って燃やしてしまうかもしれない。

 安全に試すには……私から触れるしかない。


「も、もう少し、他の物で試してから……」


「大丈夫、そんなに難しいことではないのですよ。友人とこの手で触れ合いたい、それだけなのですから」


 狂信者さんは手を引かない。

 何で……そんなことは、わかりきっている。彼が、『狂信者』だからだ。彼は普通の人から見て狂気の沙汰と思えるような行動をしているけど……それは、彼が信じると決めたテーレさんの技と、そして私を信じているから。そして、信仰する神様の『幸運』を信じてる。善意によって成り立つ、私が少しでも彼を傷付けようとはしないっていう、善意を前提にした成功を。

 だったら……


「ぅ……手、動かさないでね。ぶつかったら、危ないから」


「はい、どうぞ」


 ゆっくり、ゆっくりと手を近付ける。

 狂信者さんの肌が火傷しそうになったらすぐに引けるように。少しずつ、少しずつ……けれど、彼の手が燃え上がることはない。

 そうして……指先から、彼の肌の感触が伝わってくる。

 肌をすりあわせながら、指を奥深くへと絡ませて、私の手より大きな男の人の手をちょっとだけ力を入れて握る。


 その間には壁も熱もない……ドキドキで上がった私の体温と、狂信者さんの手の温度だけ。

 私は感じないけど冬の気温のせいか少しだけヒンヤリとした、彼の手だけ。少し固い、けど危険は感じない、そんな右手だ。


「ふむ……そう言えば、伺っていませんでしたね」


「……え?」


「日暮さん、あなたは自由に物に触れられるようになったら、まずは何がしたいですか?」


 拍子抜けするような質問だ。

 だって、このタイミングで……あまりに遅すぎて、そんなことはもっと前に聞いておくべきというか、そんなことも聞かずに何で私を助けようと思ったのかわからないっていうか……そんなの、今こうなった瞬間に……世界が広がったみたいな気がした瞬間に、『特別なことは何も』とか、言えないじゃない。


「……おいしい物が食べたい。病院食じゃない、身体に悪そうなジャンクフードとか、外で焼いたお肉とか。ずっと、憧れてたから」


「なるほど……お安い御用です。昼食にしましょう、テーレさん。今日の料理は三人前でお願いします」







side テーレ


「よっぽど嬉しかったんですね……それに、とても楽しそうでした」


 午後は、日が沈むまで彼女の人生で初かもしれないという焼き肉パーティーや、テンションの上がりまくった思い出話に付き合うことになった。

 といっても、焼き肉パーティーは持ち合わせていた保存食の肉を小さな手鍋で炒めただけだし、思い出話は入院中にオンラインゲームで一番になったとか、ほぼ文字通りの『箱入り娘』らしい話題の偏りが目立ったけど本人はそれでも楽しそうだった。


 いっぱい食べて、いっぱい話して、いっぱい笑って、疲れきったように眠った。一応、寝床は離れた場所を使ってもらってるけど、これまでは使えなかった毛布(本来はマスターの分)に包まって、それだけでも幸せそうだ。


「これまで、この世界で触れられたものはあの分厚い耐火服越しで摘まんだものくらい。身体の周りを守護者の壁が覆ってて、動かすのには不便しないとしても触れた感触がしない。ある意味、あの子の世界はずっと何者にも触れられない空間に浮かんでいたようなものだったんでしょうね。そりゃ嬉しいわよ……けど、わかってるわよね」


「ええ、彼女が十分に慣れてから、ですがね。安全を見てしばらくはそのままで行きましょう」


「ふーん……嘘は嫌いなのに?」


「まあそうなんですが、お医者様(テーレさん)が必要な処置だというのなら仕方ありませんよ。もちろん、ちゃんと告白し誠心誠意謝罪することまで含めてですが」


 相変わらず、偏屈というか強情というか。

 けど、そのおかげで……こいつが嘘つかないって信用を得ているおかげで、ちゃんと効果が出ているんだから仕方がない。

 なんたって……


「既に治ってる病気を治すなんて、偽薬効果(プラシーボ)でもなければ難しいわよ」


 何よりも必要なのは、あの子自身が『信じること』だけだから。

 昨日の時点で、『後天性免疫不全症』というのを聞いた時点で、治療法はこれが一番だと確定した。


「彼女の免疫不全は感染症の影響です。しかも、死因とも言える。であれば、転生者となった時点で治っていなければおかしい」


「そうね。致命傷や死に至る病を持ったまま転生してすぐ死んだら意味ないし、最低限の体力や免疫力だってこっちの世界に合ったレベルに順応してるわ。ていうか、そもそも世界が違えば菌だって違うわけだし。異世界のウイルス持ち込まれてパンデミックとか起こされたらこっちもたまんないわよ……普通は、『身体を弄られてるとか気持ち悪い』とか言う転生者もいるからあんまりハッキリとは言わないんだけど」


「日暮さんの場合、転生時に言われたとしても信じられないでしょうね。彼女にとっての免疫不全はもはや個性のようなものでしたでしょうし。それが簡単に治ったなんて……私なら『さすがは神様、人知を超えたことを平然とやってのける』で済むのですが」


「十何年間の悩みが指先一つで解決したとか言われても信じられないでしょ。『豊穣神アルファ』も、言っても信じないってわかってたから言わなかったか、自分で気付くのを待ったのか……」


「彼女は未だに、自分のことを免疫不全だと思い込んでいます。こればかりは口で解決したと言われても無意識から信じられなければ意味がない。守護者の魔人さんの防衛反応は日暮さんの無意識レベルの『害悪判定』によるもののようですからね。実際に無害であっても、彼女が心底安心できなければ接触できない」


 あの子が実験で触った最初の二枚の銀貨……あれは、予め熱湯と消毒液への漬け込みで消毒したものだ。時間もそれほど経ってないし、清潔さでは後の二枚と大差はない……けれど、問題なく触れられたのは目の前で消毒した一枚だけだった。

 熱湯消毒でも防衛反応が和らいだ辺り、熱感とか消毒液の匂いとか、そういう無意識に得られる情報まで含めて本人が絶対に安全だと確信できなければいけないのだろう。


 本当ならこの手の精神的な問題は慎重に長い時間をかけて解決すべき問題だけど、あの子の場合はそうしている間に洒落にならない規模の被害が出る。だから、危険な賭けだけど敢えてあっさりし過ぎてるくらいの解決法を提示して、疑心暗鬼になる暇も与えずに『実はちょっとした工夫で簡単に解決できることだった』って思い込ませるのが現実的だった。


「だからって……まさか、信じさせるためにマスターが直接触れるなんて。リスキーな提案、自分でもよく承認したと思うわ」


「彼女に信じてもらうにはまず、こちらがあの方法にそれだけの確信を持っていることを示さなければいけませんから。そこでの躊躇いや妥協、安全策はむしろ彼女に疑念を生みます」


「だからって、よく顔色一つ変えずに……」


「テーレさんの言葉の説得力と、日暮さんが本当は他人を傷付けたいわけではないというのをちゃんと信じていたのは本当ですから。私に触れれば、他の物にも触れられるようになるでしょうしね。あの時は勢いが大事でしたから」


 私が自分の手に垂らした毒液……あれは、確かに有害だ。直接触ったら危ない。


 けれど……実は、手がすぐに溶け出すほどの強酸というわけじゃない。石は溶けるけど、有機物にはそれほど反応しない石材加工用の魔法薬だ。予め手にはそれを弾くための薬品を塗っておいたし、万一事故でそれ以外の部分にかかったとしても私の肉体の薬品耐性なら目に見える変化はすぐには起きない。


 私の髪留めが毒物や汚染物質に耐性を与えるものであるのは本当だけど、あらゆる病原菌を防げるみたいに言ったのは嘘。この世界の細菌とかは魔力でその手の画一的な耐性をすり抜ける。本気で感染遮断の結界を張りたければそれこそレグザル治療院にあったような据え置きサイズの設備がいる。


 あの子に渡したのも多少の防汚、防塵効果はあるけど、さすがにそこまで万能じゃない。後はほとんど防火の呪紋(ルーン)維持に機能を割り当てたアクセサリーだ。あの子自身があれを『自分の役に立つ大事なもの』と認識しているなら、あの子自身の髪の毛とかと同じように簡単に燃え尽きたりしないとは思うけど。


「あの髪留めはあの子が『物に触れても大丈夫だ』と自覚するためのきっかけになればいい。ちゃんと自分の能力を制御できるようになったら、種明かしする。それでいいんでしょ?」


「ええ。彼女に必要なことは、自身の能力と精神に向き合うこと。彼女は今、自分がどのように呼吸しているのかすら自覚していませんからね」


「やっぱりマスターも気付いてた? あの子……全身が魔人に覆われてる時、呼吸してないもんね」


「食物も燃やしたものから栄養を得ていたそうですし、呼吸に必要な酸素も魔人さんが代わりに取り込んでいるんでしょうね。あの炎は外付けの防具ではなく彼女の一部として認識すべきなのでしょう」


「後の問題は、『夜な夜な勝手に動く』って部分よね。そっちもたぶん根本的な原因は……」


 そこまで口にしたところで……周囲の岩が朱に染まる。

 いや、これは岩の色が変わったわけじゃなくて、赤い光が照りつけて……


「っ……テーレさん、見てください」


「ええ……ざっと三十メートル、あの時と同等のサイズね」


 日暮さんの寝床に……立ち膝をついた火焔の魔人が出現している。怒りの形相で、どこかを……町の方向を、睨み付けて。

 そして、その手は地面を握りしめ、引き抜いた大岩を……


「っ……【失敗率証明(ミッシングワン)】!」


 大きく振りかぶって投げた。

 それは、凄まじい速度で空を横断する。けれど、魔人はその一発で満足せず……二発、三発、そして四発目を投擲する。

 そして……


「テーレさん、大丈夫ですか!?」


「くっ……妨害しきれない……っ!」


 町から悲鳴が上がった。

 『黒い光輪』を飛ばして町の方向に視野を向けると、そこには何軒かの家や畑が燃え、阿鼻叫喚の様相で慌てる町の住人がいる。

 火焔の魔人もその高い視線によって町のその様子を見ていて……その姿は、実験の時と同じように小さくなって消えていく。

 後に残ったのは、眠り続ける日暮蓬という少女と、火災に見舞われた町だけ。


 今日の前進を覆してしまうような……明らかに、手遅れの状態だった。





 女の子と笑顔で握手するだけの簡単なお仕事。

 狂信者自身は嘘つけないので今回は活躍少なかったですね()。

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