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親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。  作者: まさきち
親父が本格的に動き始めました(まだまだ事業の多角化は進んでいきます)
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強襲されてしまいました。

「はぁ…」

 思わずため息が漏れるのも仕方ないだろう。

 何せ珍しく親父に呼ばれたと思ったら、パンティアとガルディアと全面戦争するとか聞かされるんだから。

 どうも、親父の話では、トリキア辺境伯はこちら側に付く可能性があるみたいとか言ってたけど、どこに勝算があるのか分からない。

 ただ、親父がこちらの世界に来た本当の理由も分かった。

 俺の叔母の由佳さんが転生者として来ていたことだ。

 母の腹違いの妹で、母の事故死からすぐに、電車に飛び込んだのだ。

 会社での過重労働とパワハラが原因だったらしい。

 母も生前は彼女のことを気にかけてはいた。

 でも、高校生の俺では何の力にもなれなかったので、ただ見てるだけしかできなかったけど。

 それに、祖父が浮気してできた娘だというのと、母が大きくなってからできた子どもだというのもあって、そこまで親しい付き合いをしていたわけでもない。

 ただ、普段から彼女のことを気にかけていた母が大切に思ってたいたのは間違いない。

 親父の性格からすると、母のためにも今度こそ彼女を助けてあげたいと思っているんだろう。

 しかし、どうやってアウト・オブ・レンジの連中がその情報を掴んだのか、親父がそこまで動くと分かっていたのか。

 なんか怪しいと思うけど、今更、どうしようもないから、一旦棚上げしておくことにする。

 あと、親父からは隠れるというのもアリだとは言われたものの、隠れるとなると全て捨てて逃げ出すしかない。

 みんなの生活もあるし、同居メンバー以外の従業員も今は50人以上はいる。

 動かしてる事業も中断させる訳にはいかないだろうし。

 逃げずにトリキアにいるというなら、ルース教が大陸全土で信仰されているので教会や信者それに便乗する人間たちからの非難されるのもあるだろうから、対策は考えないといけないな。



 家に戻り、事務室の扉を開けると見知らぬ少女がウチの女性メンバーに囲まれて座っている。

 年齢は16か17歳ぐらい。

 どう見ても日本人としか思えない容姿だ。

 整っているというより、溌剌として愛らしい感じの女の子だ。

「おかえりなさい。お客様がいらっしゃってますよ。」

 少しマーリヤの語調が少しばかりいつもと違うのは、気のせいではないだろう。

「あーしから来てやったぜ。」

 流暢なパンティアの言葉で話している。

 と言うことは、使徒ではない。

 どこかで会ったことがある気はする。

 そう、つい最近。

「あーしって、まさか、アン?」

 うわぁ、何でこのタイミングで来るんだよ。

「何だよ、うわぁって。」

 俺の心の声漏れてた?

 思わずこころさんの様子を伺うが、こちらは特に変わった感じはしない。

 魔族や魔物と人間はシステムにより、嫌悪感が発生するが、アンはシステムから外れるように自分で身体を弄ったといっていたから、大丈夫なんだろう。

 5歳ぐらいの姿で来られても困ってたけど、今の姿もなかなか困るな。

 それより、どう説明したら良いんだ?

「前に森に入った時に会って、友だちになったんだ。同郷の人だから食べ物の話をしたらウチに来たいって言っててさ。こころさんもその気持ちは分かるだろ?」

「分かる。」

 こころさんは横で激しく首を振っている。

 よし、何とか誤魔化せるか。

 誤魔化しきってやる。

「さて、みんなが揃ったし、アンもせっかくここまで来てくれたことだし、今日の晩に向けて準備するか!」

 女性しか揃ってないけど、ペタルとヴィネフが店にいるのは分かっているから揃ったのも同じだ。

「よし、今日はご馳走にするぞ!」

「裕紀、何を誤魔化そうとしてるの?」

 そりゃそうだろ。

 あなたの隣にいるのは伝説の魔王です、そのうえ、使徒と魔王が一緒にお茶してまったりしてますよ、なんて言える訳ないだろ。

「あ、そうそう、自己紹介は?」

「もうしてますよ。それと、働き口が無いから置いてほしいとも言われてますが。」

 マーリヤが答える。

「いや、そもそも働き口なんて要るの?」

「ユーキ、女性に向かってなんてこと言うんですか。」

 いや、相手は魔王だから。

「まぁ、食うには困らんケド、稼ぐ当ては欲しいし。ここにいれば、日本食が食えるんだろ?」

「いや、日本食でもないし。」

「読み書き計算も出来るから余裕で商売を手伝えるぜ。」

 そりゃそうだけどさ。

 そもそも魔王と使徒のいる肉屋なんておかしいだろ。

「雇うにしても適材適所ってもんがあるんじゃない?」

 アガタ、要らないこと言わない。

「おっ、用心棒か?」

 過剰戦力だな。

「2・3日、見学?」

「こころさん…」

 マーリヤは少し抵抗があるみたいだ。

 まぁ、普通はそうだろうけど。

 こころさんは日本から来た彼女にどこか共感するものがあるんだろう。

 ただ、ここで働くなんてのはなぁ。

 それに、さっき親父から聞いた話もみんなにしないといけないんだけど、ついでにアンにもしたかったんだけど、一緒に話すのはどうなんだろ。

 ただ、それをそんなにウチに関わっていないアンにするとみんながどう思うのか。

「それに、女神の情報も欲しいしな。」

「おい、何をみんなに話したんだ?」

「自分が転生者ってことも話したぜ。」

「転生者ってことを!?」

「ああ、この街には他にもいるみたいだしな。」

 それはそうなんだけど、もうカミングアウト済かよ。

 まぁ、日本人の外見だから、誤魔化しきれないのは分かるけど。


 ああ、もう、どうしたら良いか分かんねえよ。

 もういいや、なるようになれ。


「とりあえず、今日はご馳走作るぞ!デザートも作るぞ。」

 こころさんが笑顔になる。

「砂糖と卵の手配はこころさん、頼むよ。」

「ん。」

「えっと、まだ生ハムは残ってたっけ?」

「充分あるわ。」

「育てているレタスも食べ頃だしな。」

「レタスがあるのか!」

「ええっと、丸くなくてチシャ菜みたいなのだけど。」

「いい、それでも。」

「よっしゃ、ひと頑張りするか。」

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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