表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/94

こどもたちを食べ物で釣ることにしました。

「役得って何だよ。」

 俺はリヤカーから箱を取り出し、その中身を見せる。

 自分で解体する場合、内臓、中落ち、骨が手元に残ることとなるのもメリットのひとつでもある。

 解体の際に余る足先は、毛を取ってから、時間をかけて塩茹でにする。

 中落ちとアバラ骨はにんにくと塩、それに野菜くずと一緒に煮込んでスープにする。

 八角があれば、バクテーっぽくなるんだが、充分だろう。

 因みに料理は母親も俺も親父から教えてもらっていた。

 多趣味というか何でも出来る器用貧乏だ。

 親父からすると、解体は料理の延長の感覚らしい。

 美味いものを食うためにきれいに捌くとか言ってたな。


 早速、豚の血と内臓を使ったソーセージを食べてみるが、なかなかの臭いだ。

 次に作る時は内臓はしっかりと茹でこぼしするようにしよう。

 あと、香草類も入れたほうがいいな。

 しかし、肉などほとんど口にしたことのないこども達にとっては、違ったようだ。

「コレ、うめえ!」

「すごい!肉だ!」

 その言葉の後、みな無言で口に肉を詰め込んでいく。

 俺の取り分もほとんど食われてしまった。

 一体だけだと、10人分には全く足らないが、3体以上だと余りそうだ。

 屋台での販売も今後考えても良いかもしれない。



 翌日も朝から街道に出張り、豚を農夫から買って、解体していく。

 今日は3体の解体を予定しているため、早めに出てから、薪を女の子達が運んでくる手筈になっている。

 解体を教えながらなので、時間を少しでも節約したかった。

 女の子達にソーセージの作り方や内臓の処理を教える必要もあったからだ。


 解体とソーセージ作りを終え、俺は宿屋に売りに行く。

 宿屋『肉食い亭』に着くと、店主がでてくる。

「おお、来たな。」

「ああ、イヴァン。買値を聞こうか。」

「その前に、箱が3つあるのはどういう事だ?」

「何が言いたい?」

「いや、済まねえ。カリマンのとこも注文は一頭だった筈だろ?」

「転売か?」

「鋭いねぇ。」

「アンタらが店を持つまでの間だけで良い。構わないだろ?」

 どうしようか?

 今後の展開を考えた時に、人材の確保という問題もあるし、販路が一定確保されているのなら、後の成長も見込めるだろう。

 ただ、ほぼ初対面の人間を信じるなんて難しいだろうし、イヴァンの見た目は胡散臭い。

 とは言うものの、販売量が増えるのは有り難い。

「転売でも、売値は変わらんぞ。」

「ああ、大丈夫さ。」

 卸値で転売して儲けが出るってことは、かなりの値がつくってことか。

「買値を聞いてからだな。」

「一頭、銅貨24枚。どうだ、悪い話じゃないだろ。仲買以上、問屋以下だ。転売も見越してこの値だ。これ以上買い叩かねえ。場合によってはまだ上げる。」

 屠殺場からの卸値で銅貨20枚だから、最低限のラインは超えている。

 問屋の卸値は銅貨最大40枚というところだから、それに比べればかなり安いことにはなるが、屠殺場の卸値を超えているだけでも御の字だろう。

「分かった。それなら、転売も頼む。」

「決まりだな。」

 イヴァンがニヤリと笑った。

「それと、アンタら、内臓とかを料理できるらしいな。」

「どこで聞いた?」

「お前の兄貴からだよ。売れるようになったら持ってきな。」

「売れるのか?」

「ああ、みんながみんな金持ってくる訳じゃねぇからな。」

 なるほど。

 低価格メニューの提供か。

「そんなに料理が出てるのか?」

「ウチはそれが売りだからな。」

「考えておく。」

「それじゃあ、明日から最低2頭は欲しいな。3頭までは買い取る。」

「分かった。」

 あれ?

 胡散臭い外見と違って、意外に良いオヤジなのかも。

 次の宿屋『べっぴん亭』では、がっつり値切りに来られた。

 まぁ、女を売るのがメインなので、料理をそこまで出さないのもあるのかも知れないが。

 とりあえず、『肉食い亭』と同じ銅貨24枚で買い取らせた。

 ただ、主人のカリマンの食い下がり方が半端なく、少し心配になったため、再び『肉食い亭』に足を向ける。


「イヴァン、居るか?」

「ああ、ユーキの旦那。」

「ちょっと気になる事があってな。」

 カリマンの様子が気になるため、店に一人スラムの子を監視に付けることにした。

 こども達には、2日だけは報酬の支払いを待ってもらったが、今日から報酬を支払っていく。



 翌日は4頭を解体し、イヴァンのところに3頭、カリマンのところに1頭を卸し、女の子たちのところに向かう。

 女の子たちは、新しく買った大鍋一杯の骨の煮込みをスラムに売りに行くため、その護衛だ。

 少額貨幣が無いため物々交換にはなるものの、護衛は必要だろうし、儲ける手段を持てたというだけで、嫉妬の対象になる。

 ブラッドソーセージは、売れそうな仕上がりになるまで様子見で、みんなで食べることにしている。

 親父の方は、ほとんど別行動している。

 帰りは酒臭いし、一体、何をしているのやら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ