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原爆投下とはどれだけ恐ろしかったのでしょうか。

「マーリヤには隠し事はしたくないと思って、柊華に会わせようと思ったんだ。」

「うむ。娘や。その信頼裏切るでないぞ。」

「ごめんだけど、今日はこれぐらいしかあげれるものが無いんだ。それに人がいるから料理もできないし。また、今度、遊びに行くから。」

 そう言って、ベーコンひと塊と何本かのソーセージを柊華に渡す。

 ソーセージの方は塩をかなり少なめにして自分で食べようとしていた良い物だ。

「まぁ、我も今日はその積りも無かったが。また、今度、何かご馳走してくれるのを楽しみにしておるぞ。」

 そう言いながらも、柊華はウィンナーから口をつける。

「ベーコンはちょっと塩辛いかも知れないけど。」

「うむ。ちょっと食い辛いな。」

 ベーコンは少し残していた。

 こちらは保存が効くように、少し塩が強めの物だったからな。

 それに粥に入れるのに濃い方が良いし。

「今から向かう場所には、王級の魔物がおると聞いたことがある。流石に心配になるからの。我の声が聞こえたら必ず退くようにな。」

「分かったよ。ありがとう。」

「もう帰らんと怪しまれよう。番をしとるのが心配そうにしておるわ。」

「ああ、分かった。もう戻るよ。」

 そう言って帰ろうとすると、柊華がマーリヤを呼び止める。

「娘や。コヤツはすぐに人をその気にさせることばかり言いよるて。しっかり見張っておくんじゃぞ。」

「はい。」

 何で狼にこんなこと言われないといけないんだよ。

 心配そうにしていた見張りが俺らの姿を見て、ホッとしていた。



 テントに戻り2人で話をし始めた。

「ねぇ。ポチとか言ってたのって、前にヴィネフとココロが言ってた牛の魔物のこと?」

「ああ。あと、ゴブリンとも仲良くなったよ。」

「…。」

「多分、会ったのは森の奥にいる集団で、人に追われたことが無いコたちだったから、大丈夫だったよ。それに、族長は言葉を喋れるし。」

「魔物と仲良くしようとしてるの?何のため?」

「ああ、それが本題なんだよね。」

 ひと晩かけて、これまでの事、親父の目的、そして俺の目的をマーリヤに話した。

「こころさんには怪しまれるから、少しだけ話をしたけど、まだ、マーリヤ以外、誰にも本当の事は話してない。これからも2人だけの秘密にしておいて欲しいんだ。」

「うん、分かってる。ねぇ、ユーキは目的を果たしたら、元の世界に帰るの?」

「帰りたいけど、それより大事な物を見つけたから。お前を連れて帰れるならそうする。」

 少しの沈黙の後、不意にマーリヤの顔が近付いてきた。

 俺の頬をマーリヤの手が包む。

 マーリヤの高い鼻が当たる。

 次の瞬間、お互いに軽く首を捻ると唇に柔らかい物が当たる。

 ほんの数秒だけの接触だった。

 だけど、少しだけ何か繋がったような気がした。

 甘く、柔らかく、蕩けそうな唇だった。

 思わず彼女の肩を抱き、首筋に顔を埋める。

 思っていたより、細くて、そして柔らかいその感触に思わず力が入る。

 衝動と彼女を大事にしようと思う気持ちが拮抗するのと、こうしているだけで感じる幸福感のため、しばらく動けずにいた。

「好きだ。今更になるけど。だけど、もう少しだけお互いの気持ちを確かめ合いたい。」

 マーリヤは黙ったまま、首を軽く下に振った。

 俺は彼女への気持ちを再認識した。

 ただ、夜はもう明けており、周りが出発の準備をする音が聞こえ始めていた。



 あと少しでハルグラドというところで、一度、トロールのつがいに遭遇したが、『銀灰の翼』を含めた全員に引き止められ、彼らが退治するのを見守るだけだった。

 小隊長は槍のスキル持ちらしく、3メートルに迫ろうかという巨体を真っ向から捩じ伏せていた。

 強ぇな、随分と良い人間を送ってくれたもんだ。

 テオドルには感謝しとかないとな。

 行程は遅滞なく、日が傾き始めたぐらいの時間にハルグラドの城に到着する。

「マジかよ…。向こうの川沿いに街があったんだ。」

「酷いな。」

 ハルグラドに来たことのある隊長が思わず漏らす。

 ハルグラドの街があった場所は瓦礫が散乱するだけの荒れ地に成り果てていた。

 まるで、教科書で見た戦後の日本のようだ。

「まさかな。」

 不安を抱え、領主の城に向かう。

 小高い丘の上にあるそれは、城というよりは、砦といった感じのものだった。

 ただ、その砦は門扉も高く、厚く、防衛能力は優れているようにみうけられる。

 扉は鉄骨と鉄板で補強されており、一度閉めると開けるのが大変そうなほど重厚なものだが、今は開け放たれていた。

 門番が形だけ立ってはいるが、往来は激しく、監視する様子は無く、形だけになっている。

 流石に荷馬車を引き連れた俺たちを見つけて近付いてきたのに気付いたので、手を振って招く。

 特に警戒する様子もなく衛兵は話しかけてくる。

「お前ら、どこから来たんだ?」

「トリキアから来た肉屋です。状況を聞きつけましたので、こちらで商売をさせていただこうと思いまして。その辺りの相談はとちらでさせていただければよろしいでしよう?」

「肉屋って、肉か!?こんなに早く来るなんてな。」

「肉って言いましても、ソーセージとベーコンですが。」

「ちょっと待ってろ!」

 そう言うと、衛兵は砦の方に駆け出した。

「もう、皆に配る食料も減ってき始めた頃だからな。アイツも嬉しいんだよ。」

「減り始めってことは、まだ余裕があったんですか。」

「まぁ、ここは定期的に魔物の大発生が起こるから備えは欠かさないようにはしてるんだが、限度があるからな。」

「なるほど。さっきの彼を待つついでに、いくつか聞いても良いですか?」

「ああ、構わんぜ。」

 上から見るとよく分かるが、街があっただろう場所は酷い状態になっている。

 まず、立っている物が何も無い。

 だが、更地と言うわけではなく、その地面は瓦礫で埋め尽くされている。

 5,000人は超えない程度の都市と聞いてはいたが、この城の規模だと少な過ぎる。

 城門から外を望むと、この城と同程度の規模の教会を中心とした城塞が丘の中腹に見え、麓あたりに高い壁だけが残る廃墟が見える。

 だが、その廃墟から煙が上がっているのが見えるので、そこにも人が居るということなんだろう。

「残りの人間はあの教会と廃墟に分かれて避難してたんですか?」

「ああ、街の住人は教会の方に避難する。あの廃墟は基本的に流れ者や貧民街の人間たちだな。」

 世知辛い世の中だな。

 金がなけりゃ、安全も買えないか。

「しかし、どんな化物が暴れたら、こんなふうになるんでしょうね?」

「強大な魔物同士が戦ったらしい。凄い光と音と風が来たぜ。あんなの初めてだ。」

 光と爆音と爆風か。

「ピカッ、ドーンって感じですかね?」

「おう、それだ。そういう感じだ。よく分かったな。」

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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