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肉を売る交渉をすることになりました。

 道具などの準備は俺と親父で準備を進める。

 残りの子供たちには、屠殺場を見学するように伝える。

 2台のリヤカーに様々な道具を載せて出発する。

 今日は一頭だけだ。

 街に豚を売りに来た農家に俺は声を掛けて、豚を買い取る。

 屠殺場の正規の値段ではあるが、実際は買い叩かれるため、もっと安くなる。

 別に農家からすれば、別に誰に売っても関係ない。

「これ、豚なんだよな。」

「ああ、家禽化があんまり進んでないみたいやな。」

 その姿はほぼ猪だ。

 一応、アウト・オブ・レンジでも解体の方法は習っていたし、親父は得意なようなので、不安はない。

 早速二人で取り掛かる。

 解体とその後の処理に大量の水が必要なので、川原で作業をしている。

「そう言えば、昔の日本って、解体を河原者がしてたっけ?やっと意味が分かった気がする。」

 手早く木に吊るして血を抜く。

 その間に、石を組んだ即席の釜で湯を沸かす。

 湯が湧く前に血抜きが終わるので、足に紐をつけたまま、川に浸しておく。

 短い時間なので、気休め程度だろうけど。

「せやけど、あいつら、勿体無いのう。血も内臓も川にそのまま捨てとったで。勿体無いし、川も汚れるしな。」

「皮はどうする?」

「手間はかかるけど、質と珍しさを売りにしたいから、剥がさんと毛は抜くか。」

 そう言えば、この辺りの宿屋では、アイスバインのように大きな塊で煮込んだものをよく見かけた。

 煮込みが多ければ、皮ごと料理するのが一般的だろう。

 こちらでは、毛は焼いて処理するのが主流のようだが、皮まで食べるのなら、抜いた方がいい。

 毛を抜いて処理すれば、他との質の差になる。

 柄杓で熱湯をかけながら、毛を抜いていく。

「熱っ!何しよんねん!」

 この作業には手袋は必須だ。

 買い足しておこう。

 毛を抜いた豚は真っ白になる。

 再び豚を吊るし、内臓を抜いていく。

 内臓を川で洗っている間に、再び湯を沸かし、湧いたら内臓を茹でる。

 親父が肉の切り分けをしている間に、俺は茹でた内臓をミンチにして、塩を混ぜた血と一緒に腸に詰めてから、これをケーシングが破れないようにゆっくりと茹でる。

 不揃いなうえ、幾つか割れたが、馴れれば大丈夫だろう。


 1回目の作業で慣れていないのもあり、思ったより時間はかかったが、何とか間に合ったか。

 俺たちはリヤカーを引き、肉を積んで街に向かう。

 途中で見張りに立っていたペタルに道具を積んだ方のリヤカーを渡して親父と街に入っていく。

 宿屋『べっぴん亭』の裏口にリヤカーをつけると、人の悪そうな肥え太った店主が出てくる。

 買い取りをしそうな宿屋は盗品の買い取りをしていたカロヤンから紹介してもらった。

 まあ、宿というよりは、溜まり場みたいなところだ。

 小金を稼いだゴロツキどもが集まるため、肉の消費は多い。

 肉の売買の交渉は俺がし、用心棒役である親父が監視するという役割にした。

「ご主人、今回は試しで使ってもらうために、卸値で融通する。」

 積荷を見て、驚いた顔をしている。

「何でこんなに白いんだ?」

 通常、獣の毛は焼く、剃る、抜くの処理がある。

 このうち、毛を抜くと皮が真っ白になるのだ。

 当然、毛根などもないため、食感も良い。

 この辺りは毛を焼く方法が主流であり、街中の屠殺場でもそれは確認している。

 親父はそれが売りになると考えたのだ。

 また、屠殺場で解体される場合、皮革として皮を外されることが多く、皮の部分を食用とすることが少ないのもある。

 皮を食べるとしても、足の部分だけということがほとんどのようだ。

「それをバラしたら、こっちはおまんまの食い上げだ。皮ごと食べれば更に驚くぞ。」

「これを毎日届けてくれるんだな。」

「ああ。」

「明日は一頭分頼めるか。」

「ああ。明日までに値を決めておいてくれ。」

 そう言って、半身分を店の厨房に運び込んだ。

 もう一軒の宿屋にも、同じように半身分を渡すと、こちらからも一頭分の注文をもらった。


 ねぐらに戻ってから、みなを集めて今後の方針を説明することになった。

「明日から、豚の解体の手解きをしていく。」

 基本的に俺が主になって解体の仕事を進めていくことを改めて説明していく。

「それって儲かるのかよ?」

 ペタルが心配そうに聞いてくる。


 銅貨4枚で銀貨1枚、日雇い労働者の日当が銅貨2から3枚といったところである。

 屠殺場では価格が固定されており、こちらの単位で4ソリ、約2kgが銀貨1枚となっている。

 これが小売店への卸値だ。

 まだ、家禽化がそこまで進んでおらず、成獣でも40~50kg程度のものが多い。

 一頭から精肉になるのは4割程度で、50kg程度の豚から20kgほどとなる。

 直接、 屠殺場に持ち込んだ場合、豚1頭あたり、50kg程度の大物で銀貨30枚、そこから大きさによって値が引かれていくことになる。

 正規の卸値なら、かなりの儲けがでるだろうが、食料、つまり普段から手に入る物の密売となるので、買い叩かれるのは目に見えている。

 それでも、それなりの利益は見込めるところは確保しなければならない。


 俺が交渉役に選ばれているので、交渉方法や収益など、すべて俺に任されている。

「買値はこれから交渉することになるから、今のところ具体的な儲けは分からないけど、それなりの儲けは出るはずだ。働いた人間にはちゃんと日当は支払う。」

「本当だろうな。」

「当然だ。」

「それに、役得もあるしな。」

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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