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説教をされるのは心配されているからなのです。

「ごめんっ!本当にごめん!」

 俺は事務所のテーブルに両手をついて、頭を下げていた。

 テーブルの向かいの席ににはマーリヤがいて、その後ろにこころさんが立っている。

 二人の目の下には隈ができていて、あまり寝ていなかったことはすぐに分かる。

 しかも、マーリヤの目が若干潤んでいるのも見えてしまっている。

「謝るぐらいだから、どれだけみんなに心配をかけたと思ってるのかは、理解してますよね?」

「ああ。」

「そもそも、あなたは商会の主なんですよ。あなたにもしもの事があったら、どれだけの人に迷惑をかけるか理解してますよね。」

「うん。」

「それで、一体何をしに行ってたんですか?」

「前に会ったストーンカさんに会いに行ってきた。」

「ココロさん、ストーンカって誰ですか?」

 マーリヤがこころさんに聞く。

「魔物。牛の。」

「いや、先に言ったら、マーリヤは反対するだろ?」

「だから?」

「裕紀は魔物と仲良くなれる。」

 こころさんが代わりに答えるけど、答にはなっていない。

「危ないのが分かってるのに、何故、独りで行ったんですか?」

「俺独りじゃないと上手くいかないからだ。今回はもちろん上手くいったよ。次からはちゃんと話をするから。」

「必ずですよ。」

「分かってる。約束する。」

 ふと、締まりきってない扉から視線を感じ振り向いてみると、ペタルがこちらを覗き込んでいた。

「ペタル、そんなとこで見てるなら、入ってきたらどうですか?」

 マーリヤに言われ、気まずそうにペタルが入ってくる。

「いやぁ。兄貴に報告があってさ。」

「とりあえずこちらの話は終わったから、ペタルの報告を聞いてください。」

 それだけ言うと、マーリヤとこころさんは部屋を出ていった。



「大丈夫?」

「ペタル、心配かけて済まなかったな。」

「いや、俺らは心配してなかったよ。兄貴のことだもんな。」

「まぁいいや。それで、報告というのは?」

「そうそう、ハルグラドって街で魔物の大量発生があったんだって。」

「いつの話だ?」

「昨日だよ。」

「昨日って?確か、パンティアの南の端の方だったよな。片道だけでも何日かかかるんじゃないのか?どうやってそんなに早く情報が来たんだ?」

「それが、飛翔魔法を使って王都まで連絡するのに、トリキアが中継点になってるんだ。そこから情報が漏れた。ヴォイシルさんから聞いたんだよ。」

 飛翔魔法か。

 そんな便利な魔法があるんだな。

 普及していないところをみると、コストがバカ高く付くとか、使える人間が少ないとか問題があるんだろうな。

 まぁ、手段として確保するのは有りだろうな。

 江戸、大坂間を最速で行き来する飛脚も円に換算すれば何百万かかかるようなものみたいだったし。

 まぁ、使い途だな。

「なるほどな。ついでに硝石の納入増は頼んでくれたか?」

「ああ。それに、ソーセージの増産についてはボリスからべセリンさんに打診はしてる。」

「上出来だ。」

「ここからだと馬車でどれぐらいかかる?」

「片道、3日ってところじゃなかったっけ。」

「そんなに遠くないな。ベーコンも欲しいけど、メインはソーセージだな。多分、作れば作っただけ売れる。少し値を上げても買い取れるだけ買い取って、べセリンさんの店に回すぞ。」

「農家にも声を掛けた方が良いか?」

「頼む。」

「それと、馬は定期便の方から借りるようにする?」

「いや、別のところから借りて出してくれ。定期便は通常どおり運行する。目の前の金より先の信用のほうが大事だ。」

 そういや、震災の時ってどんなことしてたかな?

 まぁ、とりあえず、食べ物だな。

 ウチのソーセージやベーコンなら充分日持ちもするだろうし、軽く炙るだけで食べることができる物だから向いてるだろう。

 金本位制の世界だから、避難とかするにも金目のものを持って逃げてるだろうから、金は取れるか。

 見た目もそうだが、元の世界でいうと気性もやや欧米人に近いような気もするので、金を取らないと、余計な混乱を招くかも。

 警備の人間はそれなりに連れていく必要はあるだろうな。

 いや、そもそもこの世界に炊き出しって文化なんてあるのか?

「なぁ、ペタル。災害とかがあった時って、被害にあった人たちに食事を振る舞うのって聞いたことあるか?」

「災害っていってもなぁ。飢饉のときはどうしようもないし。」

 この近くは地震とか水害とか少なそうだしな。

 遠くで起こったことだとなかなか伝わらないしな。

 普通は炊き出しとか無いと判断しとこう。

「そうだよな。そういや、ハルグラドって男爵領だったよな。」

「多分。」

「こういう時こそ、テオドルの力を借りようか。」

「テオドルの?」

「騎士爵とはいえ、爵位持ちだからな。俺たちがボロ儲けしてるのを横取りなんて真似されるのは癪だからな。」

「はぁ、そういうもんなんですか?」

 まぁ、この世界に来てから貴族って奴で良い噂を聞いたことがない。

 貧すれば盗賊まがいのこともする輩もいるってのも、よくある話みたいだし。

「まぁ、色々と交渉もしないといけないだろうから、俺が行くしか無いだろうな。」

「仕方ないね。」

「とりあえず、俺は今からべセリンさんの店に行ってくる。ペタルは肉の確保を進めていってくれ。」

「了解。」

「っと、その前にマーリヤにちゃんと話をしないとな。」

「いつする?」

「今だ。」

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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