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やっぱりこの街の食事は口に合いません。

 また、親父が金をだして、夕食を一緒に食べる。

 パンは高くつくとは聞いていたものの、無理を言ってパンを買ってきてもらったのであるが、カチカチで黒くて酸っぱい。

 拍子抜けだ。

 あまりに固いので、スープの中にぶち込んで食べた。

 今日は少し具も増えていた。

 野菜といっても、いんげん豆と玉ねぎの分量が増えただけだが。


 次の日は、親父とタペルの2人で街にでかけていった。

 しかし、男の子たちは稼ぐために街に出る。

 俺は女の子達と留守番することになるが、俺が残るのを不安に感じたのか、ボリスという男の子を残すことになった。

 俺にナイフを突き付けていた男の子だ。

 12歳にしては、かなり身体が大きい方で、がっちりとした印象がある。

「お前らは何しに来たんだ?」

「さあ?俺は兄貴に巻き込まれてここに来ただけだ。何か目的はあるみたいだけど、そのことはあまり話してくれないし。」

 良く分からない顔をしている。

 親父には兄弟だと言っておけと言われている。

 子供だと思われると舐められるのと、親父を疎ましく思う人間の標的になるからと言っていた。

「君たちは、孤児だったりするのかな?」

「お父さん、お母さんと、ずっとこの城壁の外に住んでた。4年前に二人共病気で死んだ。」

「そっか。ペタルが仲間に入れてくれたの?」

「うん。」

「他の子たちも、似たような境遇なんだよね?」

「マーリヤとサムイルは、農家だった家で口減らしで二人とも売られた。」

「うん。」

「アガタは去年ペタルが拾ってきた。前にここにいたエレナって女の子は、攫われた。殺されて川に浮かんでいたって。」

 暗い顔をしながら、言葉を続ける。

「マーリヤは少し前に、スラムの男に襲われた。」

「大丈夫だったの?」

「お前らは何を企んでいるんだ。女の子たちが欲しいのか?」

 泣きそうな顔で俺を見つめる。

「まぁ、俺たちは子供には興味はないし。色々と仕事をするのに手がいるから、手伝って欲しいだけだよ。」

 ボリスは硬い表情を崩さない。

「暇だし、剣かナイフの稽古でもつけてあげようか?」

 少し迷った表情をする。

「おいで。」

 そう言って、俺はボリスの手を引き、広くなっている場所へ向かう。


 ボリスに剣の稽古をつけたあと、昼近くになった。

 昼食の準備を聞くと、基本的に一日一食らしい。

 昨日は、ペタルと一日中街中を歩いていたので、食べるのを忘れていた。

 親父から貰った金だけでは昼食までは準備できないみたいなので、俺から2枚銅貨を渡して食料を買いに行ってもらう。

 少し多いかも知れないけど、良いか。

 水は、女の子たちが近くの川から毎日汲んできている。

 少し濁ったものだ。

 子供たちは気にせずその水を飲んでいた。

 うーん、この水で粥を炊いていたのか。

 アウト・オブ・レンジは、高い山に囲まれた盆地で、綺麗な川が流れている場所だったので、あまり気にしていなかったが、下流になるこの辺りだとこんなものか。

 衛生面も気になるな。

 豆は夕食用に戻して準備し、女の子たちが適当に土瓶に食べ物を突っ込んでいくのを見守っていた。

 調味料といったものは何も置いてはおらず、塩気は塩漬け豚のものだけだ。

 豚が微妙に傷みかけているのもあり、泥の様とは言い過ぎだが、さして美味くもない粥をかきこみ終わったところで、親父とペタルが帰ってきた。

 辛うじて残っていたものは、ペタルに食うように言い、俺を手招きする。

「今日の夕方か明日の朝に、デボラんところにまた毛皮を持って行くわ。」

「毛皮って、残ってるのはアレだけだろ?」

「ああ。」

 最後に残していた雪豹の毛皮だ。

 見るからに高級そうな毛皮で、かなりの値が期待できそうだ。

 これも、前に売った分も俺たちが弓の使い方を教わるついでに仕留めたものである。

 鞣しは女衆にお願いしたが。

「別に良いけど、あの店は大丈夫には見えなかったけど。」

「まぁ、大丈夫や。子どもらに金を渡したんか?」

「昼食代だけ。都会だからか思ったより食べ物が、物価が高いみたい。」

「まぁ、それやったらエエけど。あんまり金をひけらかすなよ。後は、ちゃんと話聞いとけよ。」

「分かってるよ。」

「やっぱ、早速、行ってくるわ。」

「えっ。独りで?」

 返事はせず、荷物袋を担いで、街にとってかえした。


 昼食を終えると、ボリスに再び剣の稽古をつけてやることにする。

 親父に言われるまで、忘れてたが、この世界には『スキルとステータスのシステム』というものがあり、ほとんどの人間はジョブを得ることにより、『スキル』を覚えられるものらしい。

 しかし、アウト・オブ・レンジの人間や俺たちはその『スキルとステータスのシステム』の範囲外にある。

 この『スキル』なのだが、ジョブを得てなくても、適正がある場合には『スキル』を習得できる場合があるらしい。

 もし、彼らが『スキル』を持っている場合は、それを聞き出せというのが、親父からのミッションだ。

 因みに、ジョブは教会で授けてくれるらしいのだが、一回につき金貨10枚もの寄付が必要となる。

 金貨1枚で元の世界の物価でいうと、10から15万円ぐらいだから、安い自動車1台分か。

 そう言うと、何とかなりそうな金額に聞こえるけど、貧富の差が激しいので、貧しい人たちにとっては、手が届くものではなおと思う。

 そのうえ、適正のあるものしか選べないということもあって、かなり博打的な要素があるため、かなり裕福な人間しかジョブの習得は行わないらしい。

 逆に『スキル』を先に覚えることがあれば、それに関連するジョブを習得できる証左となるため『スキル』を覚えたからジョブを習得しにくる場合が多いらしい。

 ただ、俺たちが『スキルとステータスのシステム』が適用されていないことは伏せておけとのことだった。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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