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何とか新製品の開発に漕ぎつけました。

 宗一郎さんと話をした翌朝、少しだけゆっくりと朝の支度をしてから仕事にかかる。

 今回の旅で持ち帰った薬草・ハーブの整理と検証をこころさんとしてゆく。

 怪しげな木の根は苦味が強く、身体には良いらしいのたが、却下だ。

 そもそも木となると、栽培に時間がかかるうえ、量を確保するのが難しいような気がする。

 今回持ち帰ったサンプルは5種類で、次で最後になる。

「今回、ライコス無かった。でも、コレ、負けてない。」

 そう言って取り出した薬草を見る。

 そう言えば、この薬草だけ、多めに株を持ち帰っていた気がする。

「芹?芹は兄貴が好きでよく鍋に入れられたな。こどもの口には合わなかったよ。」

「似たようなモノ。アンジェリカの亜種。」

「アンジェリカって?人の名前みたいだけど。」

「西洋当帰。」

「当帰って漢方でよく聞く名前だよね。」

「うん。」

「匂いはセロリっぽい?やっぱり芹かな?少し爽やかだけど。」

「ん。食べてみて。生も美味しい。」

 そう言えば、現地で味見してたかも。

 パクチーほどキツくもなく、爽やかな香りがする。

「えっ?辛い。」

 わさびに近い爽やかな辛さがある。

「ん。」

「少しなら美味しいけど、大量には食べれないな。」

 コレをソーセージに入れた時の味の想像をしてみる。

 肉の臭みを消し、爽やかな辛さもある。

 もしかして、辛味が殺菌作用になってたりするのかな?

 加工するとちょうど良いくらいになるんじゃないか?

「葉は殺菌作用、食欲増進。栄養豊富でカロテン、ビタミンB1、B2、C、カルシウム、カリウムがある。根は少し苦味があるけど、日本の当帰に近くて、冷え性、月経不順、貧血、鎮静、鎮痛、滋養強壮の効果がある。」

「何だよその万能ぶりは?根の味は分からないけど、葉は味も効果も完璧じゃだな。何て名前なの?」

「名前はまだ無い。収穫してスキルのリストに載った。新種。」

「そうなんだ。じゃ、こころさんがつけられるな。」

「別に何でも良い。」

「栽培は?」

「二年草だけど大丈夫。」

「え?収穫は再来年だよね。」

「秘策がある。来年から収穫に漕ぎ着ける。」

 おっと、味の想像がしやすい食材だったため、栽培を確定しかけたけど、まだ試作もしてないぞ。

「あ、その前に試作はしてみたいんだけど。その分はある?」

「ん。大丈夫。」


 早速、ペタルに声をかけて、明日に試作を作る段取りを整える。

「そんじゃ、明日は頼むぞ。」

「了解。でも、こんなに早く成果が出たんだったら、ココロも1年も居なくていいのかも。違約金を払えば期間を短縮しても大丈夫なんじゃないかな?」

「そんな訳ないだろ。本格的な栽培まで面倒を見てほしいから、1年でも足りないかもな。」

「そんなモンなの?」

「ああ、そんなモンだな。」



 早速、西洋当帰の亜種を使って、ソーセージを試作してみようと思ったが、葉と根を乾燥させて使う方法も試してみたかったため、予定を変更して翌日にそれらの作業をしてから、3日後に試作をすることになった。

 スモークしていない作りたてをいくつかみんなで試食してみる。

 ハーブ入りのウィンナーをイメージして作ってみて、色も再現できた気はするんだけど、思ったよりケーシングが固くて食べにくい。

 ただ、味は想像どおりに仕上がっていて、セロリとディルを混ぜたような香りが肉の臭みを消すともに、爽やかな辛さが食欲を掻き立てる。

「こりゃ、幾らでも食えるぞ。」

「美味しい。こんなの食べたことない。何でこんなに白いの?」

 ペタルもマーリヤもお気に召したようだ。

「細かく肉を挽くのと燻製をしていない。それにソルトピーターを使っていないからだよ。」

「じゃ、すぐに傷んでしまうんじゃない?」

「これは、保存より味を優先した高級品だよ。当日中に食わないと傷むかな?」

 2人が不思議そうな顔をしている。

「貴族からの受注も増えてる。せっかくの儲ける機会。」

 こころさんが説明してくれる。

 親父のお陰で、クリスピーローストポークなどが話題になり、貴族からも注文が来るようになった。

 将来的には高級ケータリングみたいにできれば良いと思っているが、貴族に料理を卸しているのはウチぐらいだろし、今後はどうなるか分からない。

 目玉商品を少しでも増やして、事業の規模を拡大するのも1つの手だと思っている。

「そっちが、保つように作ってる方だな。こっちにには、乾燥させた葉と根も入ってる。ただ、保つように作ってるんだけど、こっちも高級品なんだよ。」

「高級品?」

「やっぱり新種の薬草を使うし、今、こころさんに試算をしてもらってるけど、手間がかかるし、どうしても値段を上げないといけない。栽培が軌道に乗ってもウチが独占したいのもあるけど。それと、この薬草は凄く身体に良いから、高く売れる。」

「凄く滋養がある。薬効は冷え性、月経不順、貧血、鎮静、鎮痛、滋養強壮。保存も利く。」

「何だよそれ?何でもアリじゃないか?」

「まぁ、それだけの物だったら、高くなるのは仕方ないんでしょうけど。」

 味の方は、少し根の苦味があるが、その苦味も美味い気がする。

 乾燥させた葉は、セロリからパクチーと三つ葉を合わせたような香りなっているものの、生よりは控えめになっているとともに、辛味が消えている。

「これは、これで美味しいけど、売れるのかしら?」

「この薬草は特に女性に良い。」

「珍しいわね。女性向けなんて。」

 滋養強壮、精力増進なんてのは、男社会だから開発は進んでるが、女性向けというのは少ない。

 俺が狙うのはニッチな市場だ。

「まぁ、売り先に関してはアテもあるしな。」

「売る方は兄貴に…」

 恐る恐る聞くなよ。

「そうだな、加工食品の販売の方はしばらく俺がメインかな。」

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『エンチャンター(戦闘は女の子頼みです)』 を隔日・交互に掲載しています。 こちらもよろしくお願いします。


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